米国務長官、パレスチナ人が「ガザにとどまれるようにすべき」 去るよう「圧力受けてはならない」

アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビに到着したアントニー・ブリンケン米国務長官

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画像説明, 中東歴訪中のアントニー・ブリンケン米国務長官は7日夜、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビに到着した

アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は7日、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続くパレスチナ自治区ガザ地区で暮らすパレスチナ人について、同地区を離れるよう圧力をかけられることがあってはならず、状況が許せば自宅があった場所に戻ることを許されなければならないと述べた。

イスラエルの一部の閣僚は、パレスチナ人をガザ地区外に再定住させることを求めている。ブリンケン氏はこうした主張を非難した。

中東歴訪中のブリンケン氏はこの日、カタールを訪れた。

ブリンケン氏の発言に先立ち、ガザ地区では北部ジャバリア難民キャンプが攻撃を受け、数十人が死亡したとの報道があった。

同キャンプを捉えた映像では、破壊された建物のがれきの中に、複数の遺体が横たわっているのが確認できる。遺体の多くは女性と子供だ。

イスラエル軍はこうした報道にまだ反応を示していない。

一方、南部の街ハンユニスでは1日で60人以上のパレスチナ人が殺害されたと報じられている。

ハマスが10月7日にイスラエル南部を奇襲したことで両者の戦闘が始まった。以降、ジャバリア難民キャンプは幾度も攻撃にさらされている。

ハマスが運営するガザ地区の保健省によると、同地区ではこれまでに2万2000人以上が殺害されている。そのほとんどは女性と子供だという。また、過去24時間のイスラエルによる砲撃で少なくとも113人が死亡したとしている。

ハマスによる奇襲では、イスラエル側で民間人を中心に約1200人が殺害され、約240人が人質に取られた。

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ブリンケン氏は7日、「パレスチナ市民は状況が許せばすぐにでも、自宅があった場所に戻れなくてはならない」と述べた。「パレスチナ人はガザ地区を離れるよう圧力をかけられてはならない」。

イスラエルの極右政治家、ベザレル・スモトリッチ財務相は、パレスチナ人はガザを去り、「砂漠に花を咲かせる」ことができるイスラエル人に譲るよう求めている。

また、同国のイタマール・ベン・グヴィール国家安全保障相は今週、現在の危機の「解決策」として、「ガザ住民の移住を奨励する」よう求めた。

イスラエル政府は、ガザ市民はいずれ故郷に戻れるようになるとの公式見解を示している。しかし、それがいつどのように可能になるのか、概要は明らかにしていない。

国際援助団体が中部病院から撤退

こうした中、ガザ地区の状況は悪化の一途をたどっている。同地区の保健省は、いまや病院を含む医療施設さえも安全ではないとしている。

イスラエルによる避難命令を受け、三つの国際医療援助団体がガザ地区中部のアル・アクサ殉教者病院からの撤退を発表した。

国連の人道問題調整事務所(OCHA)トップのジェマ・コーネル氏はBBCワールドサービスの番組「ニュースアワー」に対し、「この事態を非常に憂慮している」と語った。

「すでに過密かつ過剰な負荷がかかり、収容能力をはるかに超えている病院は、増え続ける死傷者に対処している。そうした病院が、絶対的に不可欠な支援の補強を受けられていないことを意味している」

戦闘拡大が懸念

ブリンケン氏の今回の中東歴訪は、ガザ地区の戦闘の拡大が懸念され、中東地域で緊張が高まる中で行われた。

イスラエルの報道官は2日、レバノンの首都ベイルートでイスラム組織ハマスの高官サレフ・アル・アロウリ氏(57)が殺害されたと発表した。アル・アロウリ氏は、イスラエルとハマスが昨年10月に戦争を開始してから殺されたハマス高官の中で最も高位。

レバノン・メディアによると、アル・アロウリ氏は、ベイルート南部で行われたドローン攻撃で殺された。他にハマスの軍事司令官2人と、その他のメンバー4人も殺害された。

イランの支援を受けているレバノンの武装組織ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ師は、アル・アロウリ氏暗殺は「明確なイスラエルの侵略」であり、必ず罰せられるだろうと述べた。

レバノンで殺害されたハマス幹部のサレフ・アル・アロウリ氏の葬儀

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画像説明, レバノンで殺害されたハマス幹部のサレフ・アル・アロウリ氏の葬儀。アル・アロウリ氏の暗殺はハマスだけでなく同盟組織ヒズボラにとっても打撃となった

ヒズボラは6日、アル・アロウリ氏の殺害に対する「予備的反応」として、イスラエルにむけてロケット弾を発射した。

ブリンケン氏は、「この地域はいま、深刻な緊張状態にある。この紛争が容易に拡大し、さらなる不安定化やさらなる苦しみを引き起こす可能性がある」と述べた。

カタールのムハンマド・ビン・アブドルラフマン・アル・サニ首相は、アル・アロウリ氏殺害が「複雑なプロセス」に影響を及ぼしたと指摘した。

ガザ地区南部では、中東の衛星放送局アルジャジーラのガザ支局長の長男でジャーナリストのハムザ・アル・ダドゥ氏が、イスラエル軍の空爆で死亡した。ブリンケン氏は、「想像を絶する悲劇」だと述べた。

そして、「あまりにも多くの罪のないパレスチナ人男性や女性、子供たち」がこの戦闘で死亡していると付け加えた。

ブリンケン氏はこれまでにヨルダン、トルコ、ギリシャ、カタールを訪問。7日遅くにアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビに入り、8日にはサウジアラビアに向かう予定。