トランプ氏、ヴェネズエラが最大5000万バレルの石油をアメリカに「引き渡す」と

青いカーテンを背にしたトランプ米大統領

画像提供, Getty Images

ケイラ・エプスティーン記者、オズモンド・チア記者

ドナルド・トランプ米大統領は6日、南米ヴェネズエラが最大5000万バレルの石油をアメリカに「引き渡す」とソーシャルメディアで表明した。トランプ政権は3日未明にヴェネズエラの首都カラカスを攻撃し、ニコラス・マドゥロ大統領夫妻を拘束し米ニューヨークへ移送している。

トランプ氏は、ヴェネズエラが「引き渡す」石油はその後、市場価格で売却した後、売上金を自分自身が管理し、ヴェネズエラ国民とアメリカの利益のために使うと、自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。

トランプ氏は投稿で、「ヴェネズエラの暫定当局が、3000万から5000万バレルの高品質で制裁対象の石油をアメリカ合衆国に引き渡すことになった。この発表ができて、うれしい。この石油は市場価格で売却され、その金はアメリカ合衆国大統領である私が管理し、それがヴェネズエラ国民とアメリカ国民の利益となるようにする!」と書いた。

これに先立ちトランプ氏は、アメリカの石油産業が18カ月以内にヴェネズエラで「稼働し始める」と述べ、ヴェネズエラに巨額投資が流れ込むだろうと発言していた。

トランプ氏は5日、NBCニュースに対し「ヴェネズエラが石油生産国となることはアメリカにとって良いことだ。そうすれば石油価格が低く抑えられるからだ」と述べた。

主な米石油企業の代表者たちは今週にもトランプ政権と会談する予定だと、BBCがアメリカで提携するCBSは伝えている。

複数のアナリストたちはトランプ氏の展望についてBBCに対し、ヴェネズエラのかつての生産量を回復するには数百億ドル、そしておそらく10年必要だと述べていた。

アナリストたちは、トランプ氏の計画が世界の供給量、ひいては価格に大きな影響を及ぼすか疑わしいという意見だった。石油各社がヴェネズエラに投資するには現地政府の安定保証を必要とするだろうし、投資したとしても成果が出るまで数年かかるだろうというのが、複数のアナリストの見立てだった。

トランプ氏はヴェネズエラを攻撃した3日以降、アメリカの石油企業はヴェネズエラの石油インフラを修復できると主張している。ヴェネズエラの石油埋蔵量は世界最大の3030億バレルと推定されるものの、生産量は2000年代初頭から減少している。

トランプ政権は、ヴェネズエラの石油資源がアメリカのエネルギー供給に大きく寄与すると考えている。しかし、ヴェネズエラの石油生産を増やす作業は米企業にとって高いコスト負担となる。

原油の国別推定埋蔵量。ヴェズエラが3030億バレルで1位、サウジアラビアが2670億バレルで2位。以下、イラン、イラク、アラブ首長国連邦(UAE)、クウェート、ロシア、リビア、アメリカ、ナイジェリア、中国、カタール、ブラジルと続く

ヴェネズエラの石油は重質で精製が難しい。同国で現在操業しているアメリカ企業はシェブロンのみだ。

同社のビル・テュレーン広報担当はヴェネズエラにおけるアメリカの石油生産計画について、同社が「従業員の安全と福祉、そして資産の保全に引き続き重点を置いている」と述べた。

「我々はすべての関連法規に完全に準拠して操業している」とも、テュレーン氏は付け加えた。

今はヴェネズエラに活動拠点を持たない米石油大手コノコフィリップスのデニス・ナス広報担当は、同社が「ヴェネズエラの情勢と、それが世界のエネルギー供給と安定にどのような影響を与え得るか、注視している」と述べた。

「今後の事業活動や投資について推測するのは時期尚早だ」とも、ナス氏は述べた。

別の米石油大手エクソンは、コメント取材に直ちに回答しなかった。

動画説明, 【解説】 ヴェネズエラがアメリカの石油を「盗んだ」とトランプ氏は主張……実際はどうなのか

ヴェネズエラの石油は重質で精製が難しい。同国で現在操業しているアメリカ企業はシェブロンのみだ。

同社のビル・テュレーン広報担当はヴェネズエラにおけるアメリカの石油生産計画について、同社が「従業員の安全と福祉、そして資産の保全に引き続き重点を置いている」と述べた。

「我々はすべての関連法規に完全に準拠して操業している」とも、テュレーン氏は付け加えた。

今はヴェネズエラに活動拠点を持たない米石油大手コノコフィリップスのデニス・ナス広報担当は、同社が「ヴェネズエラの情勢と、それが世界のエネルギー供給と安定にどのような影響を与え得るか、注視している」と述べた。

「今後の事業活動や投資について推測するのは時期尚早だ」とも、ナス氏は述べた。

別の米石油大手エクソンは、コメント取材に直ちに回答しなかった。

トランプ氏は、カラカスでのマドゥロ夫妻拘束が正しいことだったと主張する中で、ヴェネズエラが「一方的にアメリカの石油を押収し盗んだ」とも主張した。

これについてJ・D・ヴァンス米副大統領も、マドゥロ夫妻拘束後にソーシャルメディア「X」で同じ主張を繰り返し、「ヴェネズエラはアメリカの石油資産を接収し、盗んだその資産を最近まで利用して富を築き、麻薬テロ活動に資金を供給していた」と書いた。

しかし現実はもっと複雑だ。アメリカの石油各社は長年にわたり、ライセンス契約のもとでヴェネズエラで石油を採掘した。

ヴェネズエラは1976年に石油産業を国有化し、2007年には当時のウゴ・チャヴェス大統領が、国内で操業していた米石油各社の残存資産への国家統制を強化した。

世界銀行の仲裁裁判所は2019年、2007年のこの措置に対する補償として、ヴェネズエラに87億ドルをコノコフィリップスへ支払うよう命じた。

ヴェネズエラはこの補償金を払っていないため、少なくとも米企業1社に対する未払いの補償金が残っている。

しかし、BBCヴェリファイ(検証チーム) のベン・チュウ記者は、石油そのものは常にヴェネズエラのみが所有していたというのが専門家らの見解で、ヴェネズエラがアメリカの石油を「盗んだ」という主張は単純すぎると説明する。