ゼレンスキー氏、米議会に追加支援を要請 共和党議員は「何も変わらず」と
バーンド・デブスマン・ジュニア(米連邦議会)、サム・カブラル、BBCニュース、米ワシントン

画像提供, Getty Images
アメリカを訪問中のウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は12日、米議員らに対し、ロシアとの戦いにおける追加支援を強く求めた。だがその「直訴」も、議員らの気持ちを変えることはほぼなかったもようだ。
ゼレンスキー氏はこの日、首都ワシントンで議会指導者らと会談。610億ドル(約8.9兆円)規模のウクライナ支援が、米議会で国境政策をめぐる対立の中で二の次にされるのを防ぐことに努めた。
ジョー・バイデン米大統領ともホワイトハウスの執務室で会談。バイデン氏は、議会がウクライナへの新たな軍事支援案を可決できなければ、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領への「クリスマス・プレゼント」になると警告した。
バイデン氏はまた、ゼレンスキー氏とともに記者会見に臨み、議会が「妥協」して「プーチンが間違っていることを証明」する必要があると訴えた。
しかし議員らは、ゼレンスキー氏と会談後も変わったことは何もないと、BBCに話した。
<関連記事>
ゼレンスキー氏が米首都を訪れるのは、昨年2月にロシアがウクライナ侵攻を開始して以来3回目。
過去2回と異なり、今回は赤じゅうたんの入場や儀式的なファンファーレはない。新たな支援をめぐる悲観的な空気が反映されている。
アメリカの最新のウクライナ支援案は、議会で党派対立に巻き込まれている。野党・共和党は、移民政策の抜本改革とセットでなければ支持しないと主張している。
バイデン氏と与党・民主党は、国境警備の予算増は認める意向だが、共和党が求めている政策変更については受け入れられないとしている。
議会はクリスマスの休会が迫っており、アメリカとウクライナの両政府は、アメリカの支援なしにウクライナが戦争をしなくてはならなくなると、厳しい警告を発している。
バイデン氏はゼレンスキー氏との共同記者会見で、「私はウクライナから手を引かない」と発言。「私たちが手を引かない限り、ウクライナはこの戦争から誇り高く、自由で、西側にしっかりと根を下ろして立ち上がるだろう」と述べた。
また、ロシアのウラジミール・プーチン大統領について、アメリカがさらなるウクライナ支援をしないことを当てにしているとした。
「年末までに強いシグナルを」
ゼレンスキー氏は、「侵略者」に対して「今年末までに非常に強いシグナルを送ることが非常に重要だ」と主張。
「ウクライナの防衛のおかげで、他の欧州各国はロシアの侵略を受けないでいる」と述べた。
バイデン氏との首脳会談に先立ち、ゼレンスキー氏は米上院議員らとの非公開会談に臨んだ。民主党のチャック・シューマー院内総務と共和党のミッチ・マコーネル院内総務がゼレンスキー氏を挟んだ。
その後、国境問題を重視する姿勢を崩していない下院のマイク・ジョンソン議長(共和党)とも1対1で会談した。
ジョンソン氏は会談後に記者団に対し、ウクライナへの追加支援の重要性を認めながらも、承認に向けた交渉に応じる姿勢は見せなかった。
「国境はまったくの大惨事だ」とジョンソン氏は言い、下院共和党は「変革的な」対策がなされるまで譲歩しないと警告した。
「考えはまったく変わらなかった」
最近の世論調査では、アメリカ人の大半がウクライナへの追加の資金援助を支持していないことが示されている。議会ではここ数カ月、ウクライナ支援に反対の声が高まっている。
エリック・シュミット上院議員(共和党、ミズーリ州)は、ゼレンスキー氏から「新しいことは何も」聞こえてこないと主張。民主党について、「南部の国境の安全確保に共和党がいかに尽力しているか」理解していないと批判した。
そして、「毎日1万2000人もが南部の緩い国境を越えてやってくるのを目の当たりにしている国民は、ウクライナに金額欄が空の小切手を渡すことに興味はない」とBBCに話した。
リンジー・グレアム上院議員(共和党、サウスカロライナ州)は、「何も変わっていない」と発言。「私は彼(ゼレンスキー氏)を尊敬している。だが彼は、私たちが何をすべきかについて、私の考えをまったく変えなかった」と述べた。
さらに、民主党を「国境に関して否定的」だと非難。「(ゼレンスキー氏を)よい効果を生まない方法で利用しようとしている」とした。
米支援の大きさ
ロシアによるウクライナ本格侵攻が始まって以来、米議会はウクライナへの軍事・経済支援を1100億ドル以上承認してきた。その大部分はすでに支出されている。
アメリカはウクライナの戦争支援に欠かせない存在となっているだけでなく、支援の調整でも大きな役割を果たしている。
軍事専門家らは、ヨーロッパがアメリカの提供分を補完することはできないと警告。アメリカの支援がなければ、ウクライナがすぐではないにしろ長期的に、戦争に敗れる現実的な危険性があるとしている。
アメリカから遠く離れた雪深いキーウでは、ウクライナの人々らがゼレンスキー氏の訪米について、何を達成できるかが自分たちの生死を分けるかもしれないと話した。
アリーナさんという女性は、「できるだけ早く戦争を終わらせるため、パートナーの助けを望んでいる」と発言。ただ、その助けが受けられないかもしれないとして首を振った。
隣にいたオルガさんという女性は、「一般的な人々はみんな、自分の命がそれ(パートナーからの支援)にかかっていること、すべてがそれにかかっていることを理解している。(中略)すべてがうまくいって、私たちを助けてくれると信じている」
追加取材:ジェシカ・パーカー(キーウ)











