イスラエル、ガザ市付近まで進軍か ネタニヤフ首相は停戦を拒否

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パレスチナ自治区ガザ地区での地上作戦を進めるイスラエル軍が、ガザ北部のガザ市付近まで到達したもようだ。北部と南部を結ぶ主要道路で30日、イスラエル軍の戦車が目撃され、車に砲撃する場面の映像も浮上した。同国のベンヤミン・ネタニヤフ首相は、停戦はしないと強調。ガザ地区の人道危機は悪化の一途をたどっている。
イスラエル軍は、ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスの壊滅を掲げている。地上作戦の拡大においてガザ市を焦点にしていることは明らかだと、BBCの記者らは伝えている。
ガザ市の3キロメートルほど南にいたフォトジャーナリストは30日、ガザ地区を南北に走るサラ・アル・ディン通りで撮影した動画を投稿した。イスラエル軍がガザ市付近に進軍した一場面とみられている。
ジャーナリスト、ユセフ・バサム氏による動画では、前方で車が戦車に接近した後、向きを変えている。戦車は車に向けて砲撃し、破壊したように見える。
バサム氏は、ガザ市から約3キロ南、イスラエルとのフェンスから2.8キロ離れたネツァリム交差点を通過して間もなく、自分の車を止めて、前方の戦車と車の様子を撮影している。
同じ地域にいた別のフォトグラファーは、「後ろを振り返るとイスラエルの戦車が見えた」とBBCに話した。写真を数枚撮って逃げたという。
イスラエル軍報道官のダニエル・ハガリ少将は、記者会見でこれらの戦車について質問されたが、説明を避けた。そして、「私たちは装甲車、歩兵によるガザ地区での作戦を拡大している。ハマスに対抗し、拉致された人々を帰還させるという、戦争の二つの主目的を達成するためだ」と述べた。
ガザ地区各地では空爆も続いている。イスラエル軍は30日朝、過去24時間で600カ所の標的を攻撃したと発表した。
ハマス運営の保健当局は、イスラエルの攻撃が始まって以来、地区内の死者が8000人を超えたとしている。
イスラエル当局は、ハマスの攻撃によって約1400人が殺され、少なくとも239人が人質に取られたとしている。
イスラエル首相「今は戦争の時だ」
イスラエルのネタニヤフ首相は30日夜、テルアヴィヴで記者会見し、停戦は考えていないと表明した。
ネタニヤフ氏は、「アメリカが真珠湾攻撃や9・11のテロ攻撃の後に停戦に同意しなかったように、イスラエルも10月7日の恐ろしい攻撃の後にハマスとの敵対行為の停止に同意することはない」と強調。
「停戦を求めることは、イスラエルにハマスやテロリストへの降伏を求めることだ」と述べた。
また、「聖書には、平和の時があり、戦争の時があると書かれている」、「今は戦争の時だ」と主張。
「私たちに共通する未来のための戦争だ。私たちは今日、文明の力と野蛮の力の間に線を引くのだ」とした。
ネタニヤフ氏はさらに、今回の戦争はイスラエルが始めたわけではないが、勝利すると宣言。ハマスについて、イランが形成している「悪の枢軸」の一員だと述べた。
記者から、地上作戦とハマスの人質となっている人々の解放との関連について問われると、「地上作戦は人質解放の確実性ではないとしても、可能性を生み出す。ハマスは圧力を受けなければ解放はしないからだ」と答えた。
その上で、「人質全員の帰還に全力を尽くしている」と付け加えた。
3週間で子ども3200人が死亡
ガザ地区では住民らの危機的な状況がいっそう悪化している。
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のフィリップ・ラッザリーニ事務局長は30日、国連安全保障理事会の緊急会合で、ガザ地区では「耐え難い」悲劇が広がっており、安全な場所はないと強調した。
ラザリーニ氏は、わずか3週間で子ども3200人が殺されたと報告。これは2019年以降に世界の紛争地帯で1年に殺される子どもの合計を上回る人数だとし、巻き添えと呼べるものではないと主張した。また、UNRWAのスタッフの死者も64人に上っていると説明。そのうち1人はつい2時間前に、妻と8人の子どもたちとともに死亡したと述べた。
ラザリーニ氏はさらに、パレスチナ人とイスラエル人の現在と未来が、即時の人道的停戦にかかっていると主張。燃料を含む人道支援の継続的な実施と、民間人と民間インフラの保護も求めた。
この日の安保理緊急会合では、国連児童基金(ユニセフ)のキャサリン・ラッセル事務局長も、ガザ地区の惨状について報告。毎日420人以上の子どもたちが殺されたり、けがを負わされたりしていると述べた。
ラッセル氏はまた、子どもへの暴力はガザ地区以外でも広がっていると説明。ヨルダン川西岸地区では、少なくとも37人の子どもが殺されたと報告されているとした。さらに、イスラエル人の子どもも30人以上が殺されたと報告されており、ガザ地区で人質になっている子どもは少なくとも20人に上っているとした。
そして、パレスチナとイスラエルの子どもたちの恐ろしいトラウマは、一生続く可能性があると述べた。

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慈善団体「セーブ・ザ・チルドレン」パレスチナ支部のジェイソン・リー氏はBBCの取材に対し、ガザ地区では10分に1人の割合で子どもが殺されていると話した。
エルサレムにいるリー氏は、ガザ地区の民間人負傷者2万人の3割は子どもだと説明。
過密状態と衛生状態の劣化により伝染病が広がっており、インフルエンザの流行も心配だと述べた。
また、ガザ地区に入ってくる支援トラックは「大海の一滴」に過ぎないとし、医療施設では包帯のような医療用品が不足し、外科医が麻酔なしで手術をせざるを得ないとした。さらに、燃料不足で発電ができず、130人の未熟児が入る保育器の電源が切れる恐れもあると述べた。
人質のイスラエル兵を救出
ハマスは30日、ガザ地区で人質に取っている女性3人の映像を公開した。どのような状況で撮影されたのかは不明だが、3人は健康を保っているように見え、けがは確認できない。
女性の1人はネタニヤフ首相を批判し、人質の解放に努めるよう訴えている。
一方、イスラエルの軍と治安当局は、ガザ地区でハマスの人質となっていたイスラエル軍の女性兵士を救出したと発表した。
発表によると、軍の夜間の地上作戦で、オリ・メギディシュ上等兵を救い出した。上等兵は元気で、家族と面会したという。

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イスラエルのヨアヴ・ガラント国防相は記者会見で、メギディシュ上等兵が拘束されていた状況については説明しないと発言。「残念ながら、そこには他にも多くの人質が捕らえられている。そのため、状況の詳細は伏せなておかなくてはならない」と述べた。











