ドイツ地方選、ショルツ連立政権に打撃 移民排斥の極右政党に勢い
デイミアン・マギネス、BBCニュース(ベルリン)

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ドイツ南部バイエルン州と西部ヘッセン州で8日、注目を集める州議会選があり、保守派政党のキリスト教社会同盟(CSU)とキリスト教民主同盟(CDU)がそれぞれの州で最多得票した。中道左派のオラフ・ショルツ首相が率いる中央の連立政権に参加する3政党はいずれも低迷した。この影響は、ドイツ政治全体に大きな影響を与えることになるとみられる。
ドイツで最も大きく裕福なバイエルンとヘッセン両州の州議会選には、全体の有権者の25%が投票権を持つ。両州で保守派と右派ポピュリスト政党は、移民やエネルギー政策をめぐり、ショルツ政権を攻撃し続けた。
その結果、ヘッセン州の開票予測では、与党CDUが前回から大きく票を伸ばし、34.5%を得票。難民排斥を掲げる極右野党「ドイツのための選択肢(AfD)」も、予想通り票を数ポイント伸ばして18%を得票。同州の第2政党となる見通しだ。
対照的に、ショルツ政権に参加する3政党のうち、、社会民主党(SPD)と緑の党は得票率15%。自由経済主義的な自由民主党(FDP)は同4.9%を推移しており、州議会で議席を確保する得票率下限の5%を維持できないかもしれない。
バイエルン州では、1946年からほぼ一貫して同州政府を率いてきた保守与党CSUが、最多得票となった。ただし、開票予測での得票率は36.7%にとどまり、1958年以来の最悪の結果となっている。
CSUは州の政権を維持する見通しだが、右派ポピュリストの地域政党「自由な有権者(フライエ・ヴェーラー、FW)」との連立を維持する必要がある。予測得票率15%と過去最高の躍進を果たしたFWは、すでに州政府の閣僚ポスト追加を要求している。

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緑の党はやや後退して得票率15%。ショルツ首相率いるSPDは、8%というかなりの低水準まで得票率を下げた。予測得票率2.8%のFDPは、州議会の議席を得ることさえできない。
ヘッセンとバイエルンのどちらの州でもAfDと連立しようとする政党はないため、AfDが州政府入りする見通しはない。ただし、今回の選挙結果は全国的に影響を与えると予想される。
ドイツでは今後2年間で、各地で地方選が行われ、2025年の連邦議会選挙へと至る。今回の州議会選はその皮切りとなるだけに、AfDはこれで勢いをつけるとみられる。来年にはドイツ東部の3州で地方選が予定されており、現在の世論調査ではAfDが最多得票となる可能性もある。
一方で、すでにAfDが地方自治体レベルで首長ポストを得ている東部の一部地域では、極右との協力を禁止する保守派の鉄則が崩れつつあるもようだ。
右派大衆主義のAfDとFWがどちらも票を伸ばしたことは、ドイツの今後の国民的議論に影響すると思われる。さらに、CDUのフリードリッヒ・メルツ党首などはこの結果に勢いを得て、従来の移民受け入れ反対の姿勢をいっそう強める可能性もある。
他方で、ショルツ連立政権の参加政党がいずれも苦戦した結果、自分たちを結びつける根本的な価値観のための闘いに、党幹部たちは今後苦労するだろう。また、ただでさえ党ごとの差異が大きい連立を維持するための努力が難しくなると思われる。
特にFDPはバイエルン州で、そしてもしかするとヘッセン州でも州議会から追い出されることとなり、不安定さを感じることになるだろう。ビジネス重視で小さな国家を目指す同党は、すでに左寄りの緑の党にとって居心地の悪い仲間であり、連邦政府内でもさらに激しく戦うことになりそうだ。
両州の議会選で議論の中心になったのは、地域レベルの話題ではなく、全国的なテーマだった。例年になく激戦となったバイエルン州で保守派と右派は、ベルリンの連邦政府による化石燃料ボイラーの段階的廃止計画や、移民の多さを、激しく攻撃した。
ヘッセン州では、中道派CDUを率いるボリス・ライン州首相が、ベルリンの「左派と緑の党のカオス」に対する保守派の安定した対抗軸として、自らを押し出した。
しかし、有権者に影響したのはこうした中央批判だけではない。就任から2年間でショルツ政権はウクライナでの戦争やエネルギー価格高騰、インフレといった複数の危機の渦中にあって、ドイツのかじを握ってきた。
未来は暗いという予測が相次いだものの、ドイツの失業率は低レベルで推移しているほか、ロシアへのエネルギー依存から転換に成功し、インフレ率は安定した。
様々な意味で、ドイツはうまくやってきた。しかし8日の選挙結果が示すように、そう思わない有権者は大勢いる。









