バイデン氏、ウクライナ支援継続を約束 支援予算除外の「つなぎ予算」成立受け
マット・マーフィー(ワシントン)、ジェイムズ・ウォーターハウス(キーウ)、BBCニュース

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アメリカのジョー・バイデン大統領は1日、アメリカはロシアの侵攻を受けるウクライナへの支援を継続すると約束した。前日には、米連邦政府の閉鎖を回避する「つなぎ予算案」が成立期限前に土壇場で可決・成立したが、ウクライナへの追加援助はこれに盛り込まれなかった。
野党・共和党の強硬派は、ウクライナへの軍事支援追加に反発している。強硬派の多くは、ウクライナでの戦争に対するバイデン大統領の姿勢に公然と反対している。
しかし、バイデン氏は、ウクライナはアメリカの支援を「あてにできる」と述べた。つなぎ予算成立を受けてホワイトハウスで会見する中で、ウクライナ支援を継続すると強調した。
「どのような状況だろうと、ウクライナへのアメリカの支援が中断されることを、我々は容認できない」と、大統領は述べた。
バイデン氏は軍事支援の回復について、「確実に提供すると(ウクライナには)安心してもらえる」と述べた。さらに、「アメリカの同盟諸国とアメリカ国民とウクライナ国民には、アメリカは必ず皆さんを支援すると、あてにしてもらいたい。アメリカは皆さんを見捨てて立ち去ったりしない」と強調した。
9月30日夜に成立したつなぎ予算には、ホワイトハウスの最優先事項であるウクライナ政府への60億ドル(約9000億円)相当の軍事援助は含まれていない。
数万人の連邦職員は10月1日午前0時1分(アメリカ東部標準時夏時間、日本時間10月1日午後1時1分)から無給の一時帰休となり、様々な政府サービスが停止される可能性があった。
共和党内の少数の強硬右派議員は、頑なに歳出削減を要求し、議会での交渉を妨げた。大多数の議員は連邦政府の閉鎖回避を優先させたため、共和党強硬派が強く反対していたウクライナへの追加援助は、今回のつなぎ予算案に盛り込まれなかった。
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ロシアが昨年2月にウクライナへの全面侵攻を開始して以降、アメリカはすでにウクライナに対して約460億ドル(約6兆8900億円)の軍事援助を行っている。
バイデン氏はさらに、240億ドル(約3兆6000億円)の追加予算を要請している。
今年に入ってからは、米軍の主力戦車「M1エイブラムス」をウクライナに供与したほか、長距離射程の地対地ミサイル「ATACMS(陸軍戦術ミサイル・システム)」をウクライナに供与する方針だと報じられている。ウクライナ軍は同国南部で、ロシア軍に対する反転攻勢をじわじわと続けている。
共和党強硬派が反発
9月30日夜に成立した、10月1日から45日間の予算執行を可能にする「つなぎ予算」では、当面の軍事資金提供の継続は見送られた。
与野党の上院幹部は共同声明で、今後数週間で「米政府による」ウクライナ支援の「継続を確保する」意向を示した。
しかし、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が追加支援を求めてワシントンを訪れてからわずか9日後に、ウクライナ支援を盛り込まないつなぎ予算が成立した。このことは、下院の共和党強硬派がここ数カ月で、戦争に反対する姿勢を強めていることを映し出している。
下院では共和党が僅差で、上院では民主党が1議席差で過半数を占めており、あらゆる財政措置の実施にも両党の賛成が必要となる。
マット・ゲイツ下院議員(共和党、フロリダ州)は9月30日に記者団に対し、「議会ですでに承認された資金の額は、必要以上の額と多すぎる額の間くらいだ」と述べた。
マージョリー・テイラー・グリーン下院議員(共和党、ジョージア州)は、ウクライナ政府への提供が決まっている額はすでに大きすぎると批判し、「ウクライナは51番目の州ではない」と述べた。
こうした共和党強硬派のアプローチは、民主党議員から猛反発を招いた。
マーク・ワーナー上院議員(民主党)は、「このタイミングでウクライナから手を引くなど、信じられない」とした。
こうした騒動とは裏腹に、ウクライナ政府関係者は、45日間の期限のつなぎ予算は自国にとっての外交的「チャンス」と位置づけようとしている。この間にウクライナは、さらに長期的な支援を確保しようという姿勢で、その外交努力に「45日」という締め切りが一方的に押し付けられたようなことだと、ウクライナ政府筋は話している。
ウクライナ外務省は、「アメリカからの援助の流れに変化は起きない」としており、30億ドル相当の人道的・軍事的支援は今でも届く予定だという。ただ、「現在進行中の事業」に影響が出るかもしれないことは認めている。
ウクライナの国会議員オレクシイ・ゴンチャレンコ氏は、アメリカからの資金援助停止はウクライナ政府にとって懸念材料だと認めた。
「米議会での採決は気がかりだ。アメリカは必要な限りウクライナと共にあると言っていたのに、その場しのぎの取り決めからウクライナ支援が除外された。これはウクライナだけでなく、ヨーロッパにとっても警戒すべき兆候だ」と、ゴンチャレンコ議員はBBCに語った。

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「ウクライナ疲れ」
この政治的混乱は、西側諸国が抱える「ウクライナ疲れ」の症状の1つだ。米共和党内でウクライナ支援への懐疑的な見方が強まっていることや、スロヴァキアで最近実施された選挙でロシア政府寄りのポピュリスト政党が勝利したことは、ウクライナと欧州連合(EU)にとって懸念材料といえる。
キーウでBBCのインタビューに応じた、EUのジョセップ・ボレル外交安全保障上級代表は、ウクライナへの資金援助に関する米議会の今回の決定を「心配している」という。
「私には今後どうなるかはわからない」としつつ、「ひとつはっきりしていることがある。我々ヨーロッパ人にとって、ロシアのウクライナに対する戦争は、存亡に関わる脅威なので、我々はそれにしかるべく対応しなくてはならない」とボレル氏は述べた。
ゼレンスキー氏は毎晩定例の演説で、誰かがウクライナの戦いを止めさせるなど、あり得ないことだと述べた。
「我々のたくましさ、我々の忍耐、しぶとさ、不屈の精神を、誰かが『停止』させるなど、あってはならないし、そんなことはできない。日常的にも緊急的にも。我々のたくましさにも忍耐にも、どれにも『消費期限』や『使用期限』などない。我々が抵抗を止める、戦いの期限などない。唯一の期限は、我々の勝利だ。そして、勝利を引き寄せる連日の戦いの中、我々はこう言う。『必要なだけ、戦い続ける』と」 「(2022年)2月24日の最初の数分間にもそうしていたし、この585日間ずっとそうしてきた。これからもそうする」と、ゼレンスキー氏は強調した。








