ゼレンスキー氏、侵攻後初のカナダ訪問 前日にはバイデン氏と会談

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ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は22日、カナダの首都オタワでジャスティン・トルドー首相と会談した。カナダ訪問はロシアの軍事侵攻開始後初めて。これに先立ち、国連総会に出席するため米ニューヨークを訪れていたゼレンスキー氏は21日にワシントンへ移動し、ジョー・バイデン大統領とも会談した。
ゼレンスキー大統領は21日夜、ロシアの軍事侵攻開始後初めて、カナダを訪れた。カナダのテレビ局は、トルドー首相がオタワの空港でゼレンスキー大統領夫妻を出迎える様子を報じた。
トルドー氏は同日、3年間で6億5000万カナダドル(約714億円)の軍事支援を追加拠出すると発表した。
軍事侵攻をめぐっては、ウクライナ政府への援助をどのように継続すべきか、世界の協力国から懸念が高まっている。こうした中でのカナダ訪問となった。
19日午後、ゼレンスキー氏は米ニューヨークで始まった国連総会に直接出席。ロシア軍を退けるためにウクライナへの支援を継続するよう、世界各国の指導者に訴えた。
21日にはワシントンへ移動し、ホワイトハウスでバイデン大統領と会談。アメリカ政府はその後、3億2500万ドル(約481億円)の追加軍事支援を発表した。ただし、ウクライナ支援に反対する声の多い野党・共和党が米議会の下院で多数党のため、議会が速やかにこれ以上の追加支援を認めるかは、不透明な情勢となっている。
加えてゼレンスキー氏はポーランド、スロヴァキア、ハンガリーが、ウクライナ産穀物の輸入を禁止していることを批判しており、近隣国との外交的緊張が高まっている。3カ国は、自国農家を安価な輸入品から守るため、輸入禁止措置が必要だと主張している。ポーランドのマテウシュ・モラヴィエツキ首相は20日、ウクライナへの武器供与をやめると表明。自国軍を近代的な武器で充実させることに専心するとした。
侵攻開始後初のカナダ訪問
ゼレンスキー氏は妻オレナ・ゼレンスカ氏とともに、オタワ国際空港の駐機場でトルドー氏やカナダ政府高官からハグで迎えられた。
カナダはゼレンスキー氏の到着後、ウクライナに対するコミットメントを再確認した。同国のボブ・レイ国連大使はAP通信に対し、ウクライナを「助けるためにさらに取り組む」必要があると話した。
「我々はウクライナの人々を支援するため、できる限りのことを続けていく」
ゼレンスキー氏のカナダ訪問は侵攻後初めてだが、3月にはカナダ議会でビデオ演説を行っている。
そして今回は対面で、カナダ議会で演説。ロシアとの戦争におけるカナダからの援助に謝意を表明し、援助によって多くの命が救われたと述べた。
ゼレンスキー氏は、「この戦争とテロ行為に対するロシアへの制裁でカナダがリーダーシップを発揮し、世界のほかの国々にカナダに追随するよう促してくれた」と、カナダ議会に感謝した。
カナダの支援総額はすでに約60億ドル(約8900億円)に上るが、トルドー氏は6月、ウクライナ支援の継続を約束。この日は、3年間で6億5000万カナダドルの軍事支援を追加拠出すると発表した。
バイデン氏と会談
国連総会に出席するためアメリカを訪れていたゼレンスキー氏は、カナダ訪問に先立ち、ワシントンでバイデン氏と会談した。
ゼレンスキー夫妻はホワイトハウスでバイデン氏と妻ジルさんに出迎えられた。

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現地で取材したBBCのギャリー・オドノヒュー記者によると、両首脳は短く握手を交わし、少し立ち止まって集合写真を撮影した。
記者から援助提供の重要性について質問が飛ぶと、「非常に重要だ」とゼレンスキー氏は答えた。
両首脳の会談は今年に入って6回目で、ホワイトハウスで行うのは3回目。
ゼレンスキー氏は会談冒頭、事前に用意した挨拶文を読み上げ、アメリカとバイデン氏にこれまでの援助に対する謝意を伝えた。
「招待に感謝します(中略)そして、ロシアのテロ行為と戦うためにアメリカがウクライナに提供してくださる、不可欠な援助に感謝します」
バイデン氏も原稿を手に、ロシアの侵攻からウクライナを守ろうとするゼレンスキー氏とウクライナ国民の勇気を称賛。「文字通り、世界を鼓舞している」、「アメリカ国民は(中略)世界は、あなたたちを支持している」と述べた。

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米共和党は支援に難色
バイデン大統領は19日の国連総会で、「世界がいずれこの戦争にくたびれ、ウクライナへの残虐行為をおとがめなしで容認するだろうと、ロシアは信じている」と演説。同様に大統領はアメリカ国民に対しても繰り返し、ウクライナに背を向けないよう呼びかけ続けている。しかし、野党・共和党の間では、軍事支援継続に否定的な意見が増えている。
ゼレンスキー氏は21日、バイデン氏との会談に先立ち、米議会を訪れた。しかし、下院多数党・共和党のケヴィン・マカーシー下院議長はセレンスキー氏の出迎えには立ち会わなかった。
また、ゼレンスキー氏から、上下両院の合同会議で演説したいとの要請があったが、マカーシー氏は直前の依頼で時間がないとして断ったと明らかにした。
米議会はこれまですでに、1100億ドル超のウクライナ援助を承認してきた。しかし、複数の世論調査から、これ以上の支援拠出について国民の支持が低下している様子がうかがえる。
多くの共和党議員は、こうした資金を国内問題に投じた方が良いと主張している。それでも、バイデン政権はゼレンスキー氏のアメリカ訪問に合わせて、計3億2500万ドルの追加支援を発表した。
さらに、複数の米メディア報道によると、バイデン大統領は長距離射程の地対地ミサイル「ATACMS(陸軍戦術ミサイル・システム)」をウクライナに供与する方針だという。アメリカ政府は報道内容を認めていない。











