バイデン米大統領、キーウ電撃訪問 ゼレンスキー大統領に「必要な限り」支援約束

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ジョー・バイデン米大統領が20日午前、ウクライナの首都キーウを電撃訪問し、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談した。共同声明でバイデン氏は、アメリカが「必要な限り」ウクライナを支援し続けると約束した。バイデン氏はこれに先立ち、5億ドル相当の新しい軍事支援パッケージをウクライナに提供すると明らかにしていた。米政府はバイデン氏のキーウ訪問について、ロシアに事前通告していたという。
バイデン氏のポーランド訪問はすでに発表されていたが、キーウ訪問は明らかにされていなかった。朝になってキーウ市内各地の道路が封鎖されるなどしたことから、開戦1周年を目前にしたウクライナに「重要な来客が予想される」と取りざたされていた。バイデン氏は午前8時(日本時間午後3時)ごろ、キーウに到着し、さらに約30分後にマリインスキー大統領宮殿でゼレンスキー大統領夫妻をはじめ、ウクライナ政府幹部とも会談した。

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両大統領はマリインスキー大統領宮で会談。ゼレンスキー氏によると、長距離兵器の提供などについて協議したという。
ゼレンスキー大統領は「テレグラム」にバイデン大統領との写真を投稿し、「ジョセフ・バイデン、キーウにようこそ! あなたの訪問はすべてのウクライナ人にとって、非常に大事な支援の印です」と書いた。
ホワイトハウスはこの時点でバイデン大統領の声明を発表。バイデン氏は、「ロシアによる残虐なウクライナ侵攻の1周年に世界が備える中、私は本日キーウを訪れている。ゼレンスキー大統領に会い、ウクライナの民主主義と主権と領土的一体性に対する我々の不断で揺るぎない支援を再確認する」として、「砲弾や対装甲車システム、防空レーダーなど、ウクライナの人たちを空襲から守るために不可欠な機材の提供を発表する。さらに今週中には、制裁を回避しロシアの戦争遂行機関を支えるロシアの支配層や企業への追加制裁を発表する」と表明した。

「プーチンは完全に間違っていた」=バイデン氏
両大統領はこの後、共同声明の発表に臨んだ。ゼレンスキー氏は、「民主的な世界は」「この歴史的な戦いに勝たなくてはならない」と強調。開戦後初で開戦1周年を目前にしたバイデン氏の訪問は、両国関係の歴史で「もっとも重要なもの」で、「これまでの成果を強調するもの」だと述べた。
ゼレンスキー氏は「今日の私たちの交渉は実り多いものだった」として、この日のバイデン氏の訪問による成果は戦場に反映されると話した。アメリカが主力のエイブラムス戦車を提供するという決定は、すでにウクライナの防衛強化に寄与しているとゼレンスキー氏は述べ、この日は長距離兵器についても協議したと明らかにした。
「非常に重要な包括支援がウクライナに提供される、これはロシアの侵略にまったく勝ち目はないと、明確に示すものになる」とゼレンスキー氏は述べ、「ウクライナにとってこれほど大事な時に来ていただき、感謝しています、大統領」とバイデン氏に語りかけた。

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続けて発言したバイデン大統領は、昨年2月24日の侵攻開始直後にゼレンスキー氏と電話で話した際のことを振り返り、「(電話の向こうで)爆発の音がしていた」と述べた。
バイデン氏は「どうやって世界を奮い立たせるか」が開戦当初に重要だったとした上で、「野放図な侵略は私たち全員を脅かすものだ」と強調。日本を含む世界中の国が団結し、ロシアに制裁を科し、ウクライナを支援するために連携していると述べた。
「プーチンの侵略戦争は失敗している」、「ロシア軍は一時的に占領した領土の半分をすでに失った」、「若い有能なロシア人は数万人単位で国外に脱出している」とバイデン氏は続け、侵略を前にして「何かしなくてはと立ち上がった、ウクライナの皆さんの驚くべき姿を世界は見ている」と、ウクライナ国民を称賛した。
「1年近く前にこの侵略を開始した時、ウクライナは弱く、西側はばらばらだとプーチンは思っていた。北大西洋条約機構(NATO)の団結は維持されないだろうと、たかをくくっていた。ウクライナの側に立つよう他の国を我々が説得できるはずがないと、たかをくくっていた。自分の方が我々よりしぶといと思っていた。しかし、今やそうは思っていないはずだ。(プーチンは)何もかも完全に間違っていた」ともバイデン氏は言い、「あれから1年たち、証拠はまさにこの部屋にある。私たちは共に立っている。キーウはまだ立っている。ウクライナは立っている。民主主義は立っている。アメリカと世界は皆さんと共に立っている」と強調した。
さらにバイデン氏は、「自由は値段のつけようがないほど貴重」で、自由を守るためにアメリカは「必要な限り戦い続けるし、私たちはそれまでずっと、必要な限りいつまでも(ウクライナを)支え続けます」とゼレンスキー氏に約束。ゼレンスキー氏も「一緒にやりましょう」と答え、2人は握手を交わした。
バイデン氏は、追加提供される兵器のほか、米連邦議会の協力を得て数十億ドルをウクライナに直接提供するとも述べた。バイデン氏はこれに先立ち、5億ドル相当の新しい軍事支援パッケージをウクライナに提供すると明らかにしていた。

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共同会見後に両大統領は午前11時半ごろ、空襲警報が鳴り響く中で聖ミハイル大聖堂を訪れたほか、ロシアによる2014年のクリミア併合以降の戦死者の慰霊碑に花輪を手向けた。
バイデン氏はその後、正午ごろに米大使館を訪れた後、キーウを離れてポーランドへ向かった。
ロシアに事前通告
バイデン氏に同行したジェイク・サリヴァン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、大統領一行が19日未明にワシントンを出発する数時間前に、ロシア政府にはキーウ訪問を知らせてあったと、記者団に話した。
サリヴァン氏によると、バイデン氏のキーウ訪問は数カ月前から準備されていたものの、敢行の最終決断は18日だったという。
米政府はこれまで、バイデン大統領のポーランドなど東欧訪問は発表していたものの、その際にバイデン氏がウクライナも訪れるのかと聞かれても否定していた。ワシントン出発も伏せられていた。米紙ニューヨーク・タイムズによると、「ホワイトハウスは19日夜に、大統領の20日の公式予定を発表したが、それによると大統領はまだワシントンにおり、20日夜にワルシャワへ出発するとなっていた。その時点で大統領はすでに世界の反対側にいた」のだという。
米紙ワシントン・ポストによると、ごく少数の記者団がワシントンからバイデン氏に同行。米東部時間19日午前4時15分(日本時間同午後6時15分)にワシントンを出発したという。
ニューヨーク・タイムズによると、バイデン氏一行はポーランドに到着後、列車で10時間近くかけてキーウに入った。










