米国務長官、中国が「ロシアへの殺傷兵器提供を検討」 「深刻な結果」もたらすと警告

Antony Blinken stepping off a plane

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画像説明, アントニー・ブリンケン米国務長官

アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は19日、ウクライナ侵攻を続けるロシアに対して中国が、「殺傷力のある」兵器と弾薬の提供を検討しているとの見方を示した。

ブリンケン長官は18日、ドイツ・ミュンヘンでの安全保障会議で中国の外交トップの王毅氏と会談後、米CBSニュースのインタビューに応じた。

ロシアへの支援をめぐっては、すでに中国企業がロシアに「殺傷力のない支援」を提供しているものの、ブリンケン氏は中国政府が「殺傷力のある支援」を提供する可能性があると示す新情報を得たと述べた。

そして、このようなエスカレーションは中国にとって「深刻な結果」を意味すると警告した。

中国は、軍装備品の提供をロシア政府から要求されているとの報道を否定している。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を支持する中国の習近平国家主席は、ロシアによるウクライナ侵攻をいまだ非難していない。ただ、習氏はこの戦闘をめぐり中立の立場を維持しようとしており、平和を呼びかけている。

中国外務省は、ロシアとの関係についてアメリカから「非難」されたり「強制」されることは受け入れないとしている。

外交トップに「深い懸念」表明

ブリンケン氏は王氏との会談の中で、「中国がロシアに殺傷力のある支援を提供する可能性」について「深い懸念」を表明したという。

「現在に至るまで、我々は複数の中国企業が(中略)ウクライナで使用するための殺傷力のない支援をロシアに提供しているのを確認してきた。それが今では、中国が殺傷力のある支援提供を検討していると情報を得ており、我々はこれを懸念している」と、ブリンケン氏は述べた。

中国の計画についてアメリカがどのような情報を入手したのかは、長官は明らかにしなかった。中国がロシアに具体的に何を提供しそうだと、アメリカとして考えているのか重ねて問われると、ブリンケン氏は主に兵器と弾薬だろうと述べた。

ブリンケン氏はCBSに対し、「言うまでもなく、中国では民間企業と国家の間に、実質的な区別がない」と述べた。

そして、中国がロシアに兵器を提供すれば、「アメリカにとって、そして米中関係にとって、深刻な問題」を引き起こすことになると付け加えた。

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ブリンケン氏はまた、ロシアが西側諸国による経済制裁の影響を回避できるよう、中国が支援することを懸念していると述べた。中国はロシアとの貿易を拡大しており、石油やガス、石炭といったロシアのエネルギー市場の最大の取引先の1つとなっている。

ウクライナへの支援は

アメリカを含む北大西洋条約機構(NATO)加盟国はウクライナに対し、車を含む様々な兵器や弾薬、装備品を送っているが、戦闘機の供与には至っていない。ブリンケン氏は、アメリカが他国の戦闘機供与を支援するかについては回答を避けた。

「特定の兵器システムに固執したり、焦点を当てたりすべきではない。この点について、我々は立場を明確にしてきた」

しかし一方で、「今後数カ月」の内にあり得るウクライナの反攻に向けて、西側諸国はウクライナが必要なものを確実に入手できるようにすべきだと強調した。ロシアは現在、ウクライナで激戦地のひとつになっている東部で、前進しようとしている。

中国の立場は

王毅氏は18日にミュンヘンで、ウクライナでの戦争を「傍観していたことも、火に油を注いだことも一度もない」と述べたと、ロイター通信は報じた。

Chinese foreign affairs Minister Wang Yi

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画像説明, 独ミュンヘンで演説した王毅氏

王氏によると、中国は紛争解決に関する同国の立場を記した文書を公表する方針だという。その文書には、すべての国の領土保全が尊重されなければならないとの文言が含まれるとした。

「この戦争を止めるために何ができるか、欧州の友人たちをはじめ全員が、冷静に考え始めるよう提案する」

王氏はさらに、「交渉の成功や、戦争の早期終結を望まないかのように見える勢力」が存在するとしたが、誰を指しているのかは明言しなかった。

イタリアのアントニオ・タヤーニ外相によると、習主席はウクライナ侵攻開始から丸1年となる24日に「平和演説」を行う予定。

ロイター通信によると、タヤーニ氏はイタリアのラジオに対し、習氏の演説はロシアを非難せずに平和を呼びかける内容になるだろうと話した。

中国の「偵察用気球」めぐり関係悪化

アメリカと中国の関係は、今月上旬に中国の偵察用気球とみられるものが米上空を飛行しているのが確認され、その後米軍によって撃墜されたことをきっかけに、すでに悪化していた。

ブリンケン氏と王氏は会談の中で、気球をめぐり対立が深まっていることについても強い言葉を交わした。

ブリンケン氏は「我が国の主権に対するいかなる侵害行為も容認しない」、「この無責任な行為は2度と起こしてはならない」と述べた。

世界5大陸にまたがる中国の「偵察気球計画」に他の国々が懸念を抱いていると、ブリンケン氏はCBSに語った。

これについて王氏は、「アメリカが作り出した政治的茶番劇」だとし、「あらゆる手段を使って中国をブロックし、抑圧している」と非難した。

中国は、気球は偵察用ではなく、気象観測用のものが風で飛ばされたと主張している。

中国政府は19日朝、アメリカが気球をめぐる論争をエスカレートさせれば、アメリカは「すべての結果を負う」ことになると警告した。

ロイター通信によると、中国外務省は声明で、中国は「アメリカがこの問題を利用することにこだわる」のであれば、「最後まで徹底的に対応する」と述べた。