【米大統領選2024】 共和党候補者の初討論会、トランプ氏は欠席

ジュード・シーリン(ワシントン)、サム・カブラル(ミルウォーキー)、BBCニュース

Republican presidential candidates on stage in Milwaukee, Wisconsin, on 23 August 2023

画像提供, Getty Images

画像説明, 論戦を交わした(左から)ペンス前副大統領、フロリダ州のデサンティス知事、起業家ラマスワミ氏

2024年米大統領選に向けた野党・共和党のテレビ討論会が23日、ウィスコンシン州ミルウォーキーで開催された。候補指名を争う8人はステージ上で、この日欠席した有力候補のドナルド・トランプ前大統領の座を奪い合うように言い争った。

8人はウクライナ侵攻から中絶問題に至るまで、論戦を交わした。

一部を除き大半の登壇者は、トランプ氏を進んで批判しようとはしなかった。

今後党内の予備選で共和党候補の座を獲得すると、2024年11月の本選で民主党の候補者(おそらくジョー・バイデン現大統領)と争うことになる。

新星やベテランが論戦

米FOXニュースで、23日のゴールデンタイムに放送された討論会には、フロリダ州知事のロン・デサンティス氏、バイオテクノロジー分野の起業家ヴィヴェク・ラマスワミ氏、サウスカロライナ州選出の上院議員ティム・スコット氏、元国連大使のニッキー・ヘイリー氏、元ニュージャージー州知事のクリス・クリスティ氏、前副大統領のマイク・ペンス氏、元アーカンソー州知事のエイサ・ハッチンソン氏、ノース・ダコタ州知事のダグ・バーガム氏が参加した。

デサンティス氏は支持率でトランプ氏に水をあけられているものの、何とか2番手の位置を維持しようとしている。デサンティス氏は、「バイデン氏を地下室に送り返す」と何度も誓った。

しかし、2時間に及ぶ討論で特に目立ったのは、億万長者の新顔ラマスワミ氏だった。

「皆さんは、スーパーPAC(特別政治活動委員会)の操り人形を求めていますか、それとも真実を語る愛国者を求めていますか?」。インド出身の両親を持つ38歳のラマスワミ氏は、観衆や視聴者に問いかけた。

討論経験が豊富なペンス前副大統領は、ラマスワミ氏の経験不足を突き、「今は職場内教育をやっている場合ではない。新人を入れる必要はない」と述べた。

Vivek Ramaswamy and Nikki Haley debate in Milwaukee, Wisconsin, on 23 August 2023

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画像説明, ラマスワミ氏(左)とヘイリー氏

クリスティ氏も、ラマスワミ氏は「素人」で、話す内容はまるでチャットボットのようだと皮肉った。

登壇者同士が口論になると、ヘイリー氏は割って入り、「(イギリス初の女性首相)マーガレット・サッチャーが『何か言ってほしいなら男性に、何かをしてほしいなら女性に頼むべき』だと言ってたのは、まさにこうなるからだ」と述べた。

ウクライナ支援や中絶権、党内の分裂露呈

ウクライナ支援と人工妊娠中絶の権利をめぐっては、共和党内の分裂が露呈した。

大半の登壇者は、ロシアに侵攻されているウクライナを支持すると誓った。

しかし、ラマスワミ氏は「ゼレンスキー教皇に会いにキーウを巡礼するプロの政治家たち」をあざ笑った。

するとヘイリー氏は、「あなたには外交政策の経験がない。それは見るからに明らかだ!」と、ラマスワミ氏の孤立主義的な姿勢を非難した。

また中絶が全国的に制限されるかどうかについても、衝突が起きた。

この日の女性はヘイリー元国連大使1人。ヘイリー氏は、そのための法案可決に必要な票数を共和党は上院で確保できていないのだから、「女性に決断を迫る」のは間違っていると述べた。

これに対し、ペンス氏はそれは「リーダーシップとは正反対」だと批判した。

Tim Scott debates in Milwaukee, Wisconsin, on 23 August 2023

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画像説明, スコット氏は議論が激しい場面ではほとんど参加せず、あまり印象を残せなかった

トランプ氏は不参加

司会者から、トランプ氏が共和党候補に指名されたら支持する人はと挙手を求められると、登壇者8人のうちクリスティ氏とハッチンソン氏の2人は手を挙げなかった。

ブーイングと歓声を同時に浴びたクリスティ氏は、「(トランプ氏の)行為はアメリカ大統領にふさわしくない」と述べた。

ハッチンソン氏が、トランプ氏はホワイトハウスから「失格になった」と述べると、同氏に対するブーイングはますます大きくなった。

トランプ氏は、候補指名争いで自分は圧倒的に優勢だからと、討論会を欠席した。代わりに、FOXの元司会者タッカー・カールソン氏とのインタビューを事前収録したものを、討論会と同時刻にオンライン上で流した。

その中で、格下のライバルから「嫌がらせ」を受ける必要はないと、トランプ氏は述べた。

米ソーシャルメディア「X」(旧ツイッター)によると、1億人がこのインタビューを視聴した。

インタビュー後、トランプ氏のスポークスマンを務めるジェイソン・ミラー氏は、前大統領は討論会を欠席したにもかかわらず勝利したと述べた。そして、討論会でのデサンティス氏の様子は、同氏にとって「終わりの始まり」だったとした。

2020年大統領選の結果を覆そうとしたとして起訴されているトランプ氏は、討論会の数時間後に、南部ジョージア州アトランタの拘置所に出頭するつもりだとしていた。

BBCがアメリカで提携しているCBSニュースが20日に発表した世論調査結果によると、法的トラブルを抱えているにもかかわらず、トランプ氏は支持率62%で候補者指名レースをリードしている。

2番手のデサンティス氏は16%。次いでラマスワミ氏の7%となっている。

キニピアック大学の世論調査では、トランプ氏はバイデン氏との仮想対決でも拮抗していた。回答者の47%がバイデン氏を、46%がトランプ氏を支持したという。

Republican voters get ready to watch the debate in Austin, Texas

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画像説明, テキサス州オースティンで討論会を視聴するために集まった共和党支持の有権者たち

ジョージア州アトランタで開かれた討論会の視聴会場では、共和党支持の若い有権者約100人が意見を交わした。

リチャード・ポルクさんは、トランプ氏は良い大統領だと思うが「自分の好き勝手にやる」人だと話した。

この地域の無党派層の有権者、アシュリー・ジャクソンさんは、候補者たちは決まり文句を減らして、自分の政策的立場についてもっと詳しく説明すべきだと感じたと話した。

次回の共和党討論会は、9月27日にカリフォルニア州シミヴァレーで開かれる。

有権者は来年1月、アイオワ州を皮切りに、予備選と呼ばれる州ごとの投票で各党の候補者を選ぶ。州によっては、予備選では党員のみが投票できる。

最終的な共和党候補は来年7月、ミルウォーキーで開催される党大会で決まる。そして4カ月後の11月に本選が行われる。

追加取材:ケイラ・エプスティーン(アトランタ)