ロシア野党指導者ナワリヌイ氏に新たに禁錮19年の判決
スティーヴ・ローゼンバーグ・ロシア編集長(メレンホヴォ)、エジェ・コクセデフ記者(ロンドン)

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2021年1月のロシア帰国以来拘束されている野党指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏に対し、ロシアの裁判所は4日、過激派団体を創設した罪などで新たに禁錮19年の判決を言い渡した。ナワリヌイ氏は罪状を否定している。
ナワリヌイ氏はこれに先立ち、すでに仮釈放条件違反や詐欺、法廷侮辱罪などで9年の禁錮刑に服していた。
ナワリヌイ氏に対するさまざまな罪状は、プーチン政権の政治的な意図によるものと広く見られている。
判決公判はナワリヌイ氏が2021年から収監されている、モスクワ東方ウラジーミル州の刑務所内で行われた。
プーチン政権と真っ向から対立してきたナワリヌイ氏は、検察の求めに従い、「特別体制」の刑務所に収容される見通し。きわめて危険性の高い犯罪者や再犯者、終身刑の受刑者などが収容される施設で、これまで以上に世間との接触が制限される可能性が高い。
さらにこれまで以上に家族や弁護団との面会の機会が減り、独房に入れられる期間も長期化するおそれがある。
判決言い渡しの後、ナワリヌイ氏は代理人が旧ツイッター(現「X」)に投稿したメッセージで、「脅され、抵抗する意思を奪われているのは私ではなく、みんなだ。プーチンはその目的を実現してはならない。抵抗する意思を失わないで」と呼びかけた。
ナワリヌイ氏の今回の裁判は、収監中の刑務所内で行われた。報道陣も市民も審理の傍聴が認められなかった。
ただし今回の判決言い渡しに際して、BBCはモスクワから東に約240キロ離れたメレホヴォにある刑務所施設へ入ることを認められた。報道陣は、仮設法廷として使われた刑務所内の広い部屋には入れず、「プレスセンター」と呼ばれた小さい部屋で、判決言い渡しをスクリーン越しに傍聴した。
入室して座ったナワリヌイ氏は、落ち着いた様子だった。代理人が前日にソーシャルメディアに投稿していたメッセージでは、「スターリン的」な長期刑を予想していると言明していただけに、実際の判決も想定内の展開だったと思われる。
「プレスセンター」のスクリーンで法廷内の様子は見えたが、音声はとぎれとぎれでよく聞こえなかった。
裁判長が有罪判決と量刑を言い渡した際、新しい刑期が何年なのか報道陣にはただちには分からなかった。
のちにナワリヌイ氏自身が、代理人が投稿したソーシャルメディアのメッセージを通じて、量刑を確認した。
「特別体制刑務所で19年。この数字には意味がない。多くの政治犯と同様、私の量刑は終身刑なのだと十分に理解している。終身刑の長さは、私の寿命かこの政権の寿命で計られる」と、ナワリヌイ氏は書いた。
国連のフォルカー・トゥルク人権高等弁務官は判決について、「ロシアでは司法制度を嫌がらせに使い、裁判所を政治目的の道具に利用しているのではないかと、深刻な懸念が浮かび上がる」とコメントを発表した。
ナワリヌイ氏の広報担当キラ・ヤルミシュ氏は、「プーチンはアレクセイの支持者をできるだけ大勢、怖がらせようとしている」とコメント。「打倒プーチンに全力を尽くさなくてはならない。そうすればアレクセイは自由になる」と述べた。
ナワリヌイ氏は10年以上前から、ロシア政府の腐敗をあらわにしようと活動していた。調査ビデオはオンラインで数千万回、視聴されている。
カリスマ性のある活動家で、ロシア各地で反政府抗議に大勢を駆り立てられる反政府指導者はナワリヌイ氏だけとみられていた。
しかし2020年8月に旅客機でロシア国内を移動中に体調を崩し、中南部オムスクの病院に搬送された。さらにその後、ドイツ・ベルリンの病院へ転院。ドイツ政府は神経剤ノヴィチョクによる毒殺が図られた「明確な証拠」があると発表した。
同年12月には、ナワリヌイ氏が身元を偽りロシア連邦保安局(FSB)工作員に自ら接触し、神経剤ノビチョクを使った自身に対する攻撃の詳細を聞き出した内容を、調査報道団体「Bellingcat」が21日に報じた。
神経剤攻撃から回復後、ナワリヌイ氏は逮捕されると警告されながらも、2021年1月にロシアへ帰国。モスクワ近郊のシェレメチェヴォ空港で、直ちに拘束された。









