ロシア反体制派ナワリヌイ氏の新たな裁判始まる 両親は法廷入れず、非公開に
スティーヴ・ローゼンバーグ、BBCロシア編集長(メレホヴォ)

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ロシアで最も厳重な警備が敷かれる第6刑務所施設で、当局はひとつの目的を達成しようとしていた。
刑務所の外には、巨大なロシアの三色旗が地面に広がっている。その上には、国旗と同じ赤、青、白の花々が3列に並んで植えられている。ロシアの刑務所に設置された、愛国的な花壇だ。
だが私は、ガーデニングを見に来たわけではない。
この壁の向こう側では、ロシアで最も有名な囚人で、ロシア政府を最も声高に批判する野党指導者、アレクセイ・ナワリヌイ氏が裁判にかけられようとしていた。そう、またしても。
刑務所の守衛は、私たちの荷物を徹底的に調べる。探知犬の出番だ。
ようやく、私たちは通された。許可されるまではビデオカメラの電源を入れてはいけないと、厳しい指示を受けながら。
ウラジーミル州メレホヴォまでやって来たほかのジャーナリストたちとともに、建物の中に案内された。
臨時の法廷となっている広間への立ち入りは認められなかった。ナワリヌイ氏の両親も同様だ。その代わりに、別室のビデオスクリーンで裁判の様子を見ることができた。

信号を受信して映像が映し出された。仮設法廷をロングショットで撮影している。クローズアップはない。
それでも、アレクセイ・ナワリヌイ氏が弁護団と一緒にテーブルに着いているのが見える。
収監されてから、見るからに体重が落ちている。しかし、気力はあふれている様子で、裁判長に向かって強い調子で、ここで自分を裁こうとする決定を非難した。
形式上は、この審理を担当しているのはモスクワの裁判所だ。しかし、ここはロシアの首都から約240キロ離れた場所にある。
ナワリヌイ氏をモスクワに移送すれば必然的に世間の注目を集めることになる。ロシア当局がそうした事態を避けたがっていることがうかがえる。

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法廷内の映像中継は、長くは続かなかった。裁判が始まって1時間半が経ったころ、検察官はこの後の審理を非公開で行うよう求めた。
裁判官はこれを支持し、映像は途絶えた。
そのため、ロシアで最も著名な野党指導者の裁判で何が起きているのかを追うことは、さらに難しくなった。
2021年に収監されたナワリヌイ氏は、 宣誓釈放違反や詐欺、法廷侮辱の罪で禁錮9年を言い渡された。この判決は、政治的動機によるものだと広く受け止められている。
今回の裁判を経て、刑期が大幅に延長されるとみられる。
ナワリヌイ氏に対する罪状は、過激派組織の創設や過激派活動への資金提供など、有罪となれば刑期が数十年延びる可能性のある内容だ。
当局はすでに、ナワリヌイ氏の選挙事務所ネットワークと、反汚職財団を「過激派」と断定し、閉鎖している。
事態は今後、さらに悪化するかもしれない。ナワリヌイ氏は捜査当局から、今度はテロ容疑に関連する別の裁判があるだろうと言われたとしている。
なぜ、ナワリヌイ氏に対する裁判がいくつも続くのだろうか。ロシア当局はナワリヌイ氏を獄中に留めようと圧力をかけているようだ。なぜなのだろうか。
獄中でも脅威
ウラジーミル・プーチン大統領率いるロシア政府は、長年にわたり、プーチン氏のライバルとなり得る人物をすべて排除し、同国の政治的状況を一掃してきた。だからこそ、最も声高に政府を批判する人物を、ロシアの政治部隊から遠ざけたいのだ。
ナワリヌイ氏は10年以上にわたり、ロシアの権力の中枢で起きている腐敗を暴いてきた。同氏の調査ビデオは、オンライン上で数千万回再生されている。

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しかしそれ以上に当局は恐らく、ナワリヌイ氏が市民を、とりわけロシアの若者を駆り立てることに、彼のその能力に対して、神経をとがらせている。
近年では、反プーチンの街頭デモを全国規模で組織できる野党指導者は、ナワリヌイ氏しかいなかった。
2018年の大統領選への出馬を計画し、地域の選挙事務所ネットワークを立ち上げたこともあったが、出馬を禁じられた。

2020年には、ロシア・シベリアを旅客機で移動中に体調が悪化した。後に西側の研究所は、神経剤ノビチョクが使用されたことを確認した。
ナワリヌイ氏、分を暗殺しようとしたのはロシア政府だと非難した。ロシア当局は関与を否定している。
ドイツで緊急治療を受けた後、2021年1月に帰国した。

ロシアに戻るというこの決断を、ロシアの権力者たちはロシア政府に対する直接的な挑戦ととらえたのだろう。ナワリヌイ氏はロシア到着時に逮捕された。











