バイデン氏がイギリス訪問 アメリカのクラスター弾供与を同盟国が懸念する中

画像提供, Reuters
アメリカのジョー・バイデン大統領は9日、リトアニアで開催される北大西洋条約機構(NATO)首脳会議を前に、イギリスに到着した。10日にリシ・スーナク英首相と会談する。アメリカに対しては、ウクライナへのクラスター弾の供与をめぐって、複数のNATO加盟国が懸念を示している。
アメリカは7日、ロシアの侵攻と戦うウクライナを支援するため、クラスター弾を供与すると発表。この決定を、いくつかのNATO同盟国が問題視している。
クラスター弾は、一つの爆弾から多数の小型爆弾が飛び散る兵器。殺傷力が高く、不発弾が民間人に危害を及ぼす危険があることから、100カ国以上で使用が禁止されている。
イギリスとカナダなど複数の国は、クラスター弾の供与について懸念を表明している。
アメリカは、ウクライナの兵器が減っているため、供与が必要だと説明している。
バイデン氏とスーナク氏は10日、ウクライナでの戦争を含むさまざまな問題について協議する予定。
スーナク氏は、クラスター弾供与についてアメリカ側を直接批判はしていない。ただ、イギリスは、クラスター爆弾の製造や使用を禁止する国際条約であるクラスター爆弾禁止条約に署名している123カ国の一つだと、8日に述べている。
アメリカのほかの同盟国はさらに踏み込んだ反応をみせている。NATOのパートナー国のニュージーランドは9日、クラスター弾は「罪のない人々に甚大な被害を与える」可能性があるとの考えを示した。
アメリカは、ウクライナ軍がロシア国内や都市部でクラスター弾を使用しないことの確約を、ウクライナ政府から書面で得たとしている。
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クラスター弾供与に反対
バイデン政権がウクライナに提供する最新の武器供与パッケージは、8億ドル(約1140億円)相当。ブラッドリー歩兵戦闘車やストライカー装甲車、対空ミサイルや対地雷装備などが含まれる。
バイデン氏は米CNNに対して、「自分にとって非常に難しい決断だった」と認めた。「同盟各国と協議し、(米連邦)議会の仲間たちとも協議した」のだと言い、ウクライナへの供与を決めたのは「ウクライナが砲弾切れになりつつあるからだ」と話していた。
しかし、NATO加盟国の多くはすぐに、アメリカの決定と距離を置いた。
スペインのマルガリータ・ロブレス国防相は、「クラスター弾にノーを、ウクライナの正当な防衛にイエスを。正当な防衛はクラスター弾を用いて行われるべきではないと、我々は理解している」と述べた。
一方で、クラスター爆弾禁止条約に署名しているドイツは、自国はウクライナにそのような兵器を提供するつもりはないが、アメリカの立場は理解できるとしている。
ホワイトハウスのジェイク・サリヴァン大統領補佐官(国家安全保障担当)は7日、アメリカがウクライナに提供するクラスター弾は不発率が2.5%以下で、ロシアのクラスター弾の不発率よりもはるかに低いものだと話した。アメリカ当局によると、ロシア製クラスター爆弾の不発率は30~40%だという。
NATO首脳、弾薬備蓄の増強など議論へ
31カ国からなる軍事同盟のNATOは、11日と12日にリトアニアの首都ヴィリニュスで首脳会議を開く。弾薬備蓄の増強と防衛計画の見直しが議題となる。
4月に31番目のNATO加盟国になったフィンランドは、初めての首脳会議出席となる。スウェーデンも加盟を申請したものの、トルコに阻まれている。トルコは、自分たちがテロ組織とみなすクルド武装勢力をスウェーデンが支援していると非難している。バイデン氏は、トルコとの取引の仲介について、スーナク氏に支援を求めるとみられる。
ウクライナもNATO加盟を望んでいるが、バイデン氏は訪英前に米CNNの取材に対し、NATOの長年の方針に沿って、戦争が終結するまで加盟は実現しないだろうと語った。
また、NATOの相互防衛協定を引き合いに、加盟国は互いの領土の「隅から隅まで」を守る責任を負っている、つまり、「もし戦争が起きているのであれば、すべての加盟国が戦時下にある」という意味だと述べた。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は以前、こうした立場を受け入れつつ、戦争終結後には自国もNATOに加われるという「シグナル」を要求していた。ゼレンスキー氏は今週の首脳会議に出席するとみられる。








