ザポリッジャ原発の近隣住民、避難指示で「とんでもないパニック」 ウクライナ当局

The Ukrainian mayor of Melitopol, Ivan Fedorov, posted these pictures on Saturday evening of the "mad" five-hour queues to leave the evacuated area

画像提供, Ivan Fedorov

画像説明, ザポリッジャ州メリトポリを脱出しているイヴァン・フェドロフ市長は、数千台の車が避難を始め、5時間におよぶ「とんでもない」渋滞が発生したとしている。画像はフェドロフ市長が6日夜に投稿したもの

ウクライナ南部にある欧州最大のザポリッジャ原子力発電所に近い町の住民にロシア軍が避難を指示したことをめぐり、ウクライナ軍参謀本部は7日、住民がロシア占領地域の都市に避難していると発表した。「とんでもないパニック」が起きているとするウクライナ当局者もいる。

ザポリッジャ州の大半を占領しているロシア軍は、同州エネルホダルや前線に位置する18地域で住民に避難を命じている。ウクライナでは近日中に同国軍の反撃が始まると予想されている。

ウクライナ軍参謀本部によると、住民らはロシア占領地域内のベルディアンスクとプリモルスクに避難するよう指示されているという。

ザポリッジャ州メリトポリを脱出しているイヴァン・フェドロフ市長は6日、数千台の車が移動を始め、5時間の渋滞が発生したと述べた。

市長は、避難先の商店で商品や医薬品が底をついたと、メッセージアプリ「テレグラム」に書いた。

さらに、ウクライナが同地域を攻撃した場合、電気と水の供給が停止する恐れがあるなか、複数の病院が患者を路上に移動させているとした。

フェドロフ市長は、民間人で構成されているとされる避難の車列の3分の2は、実際には同地域から撤退するロシア軍だと主張している。BBCはこの主張が事実かどうか検証できていない。

「ロシアが発表した部分的避難があまりにも速いスピードで進められている。挑発行為に備えるために、民間人に焦点を当てている可能性がある」と、フェドロフ氏は付け加えた。

原発周辺で戦闘起きる可能性

国際原子力機関(IAEA)は、原発に駐在しているIAEA専門家が、「原発職員の大半が住んでいる近隣のエネルホダルで、あらかじめ発表されていた住民の避難が始まったとの情報を受け取った」と説明。「深刻な原発事故」が発生する可能性があると警告している。

IAEAのラファエル・グロッシ事務局長はBBC番組「ニューズアワー」に対し、原発の近隣住民の避難は、原発周辺でロシア軍とウクライナ軍が激しい戦闘を行う可能性を示しているとした。

IAEAによると、同原発にある原子炉は6基すべてが停止モードになっている。しかし、原子炉にはまだ核物質が残っていると、グロッシ氏は述べた。

また、数週間前に原発を訪問した際には、地雷原を通らなければならなかったと付け加えた。

IAEAは先の声明で、現場職員は原発にとどまっているが、「職員とその家族にとって、ますます緊迫感が増し、ストレスフルで難しい状況になっていることへの深い懸念がある」とした。

ロシアが任命した同州のエフゲニー・バリツキー知事は5日、「ここ数日、敵(ウクライナ軍)が前線近くの住宅地への爆撃を加速させている」、「そのため、子供たちとその親、高齢者、障害者、入院中の患者を最優先に避難を決定した」と述べた。

原発の安全性を警告

IAEAは先にも、ザポリッジャ原発の安全性について警告している。その際には、爆撃によって設備に被害があったほか、一時的な停電が起きていた。ただし、放射性物質の流出には至らなかった。

今年3月には、同原発の電線がダメージを受けたため、ディーゼル発電機で冷却システムを動かしていると明かしている。

昨年2月にロシアが侵攻を開始して以降、ザポリッジャ原発の職員は減っているものの、「管理担当者は、安全な運用に十分な人員は残っている述べている」と、IAEAは説明している。

ロシアはザポリッジャ州の大半を占領しているが、ドニプロ貯水池の対岸、エネルホダルの北東に位置する州都ザポリッジャは掌握していない。