スーダン危機「世界の悪夢」になる可能性、前首相が懸念

Former Prime Minister of Sudan Abdalla Hamdok speaks to reporters in Kenya

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画像説明, アブダラ・ハムドク前スーダン首相

国軍と準軍事組織「迅速支援部隊(RSF)」の戦闘が続くスーダンについて、前首相が紛争悪化を懸念した。

2019~2022年に2回首相を経験したアブダラ・ハムドク氏は、紛争がシリアやリビアでのものより悪くなる可能性があると指摘。戦闘が続けば「世界にとっての悪夢」になると語った。

スーダン国軍は、首都ハルツームを全方向から、重火器で攻撃していると述べている。

戦闘が始まって2週間近くがたち、これまでに数百人が死亡。数万人がスーダンから逃れている。

27日には、近隣諸国や英米、国連などの外交努力の結果、双方が72時間の停戦延長に合意した。

しかしハルツームの一部では、空爆や戦車などによる砲撃が報告されている。

ハムドク氏はケニアの首都ナイロビで記者団に対し、国際社会が団結して、国軍とRSFの両トップに和平交渉の席に着くよう説得するべきだと述べた。

「スーダンは広大で、とても多様性のある国だ(中略)このままでは世界にとっての悪夢になる」と、ハムドク氏は語った。

「これは国軍と小さな反政府組織の戦争ではない。訓練され装備も豊富な、2つの軍の戦争のようだ」

その上でハムドク氏は、スーダンの情勢悪化はシリアやリビアの内戦よりもひどくなる可能性があると述べた。両国では内戦によって数十万人の死者と数百万の難民が出ており、不安定な状態が周辺地域にも拡大している。

People fleeing Sudan arrive at Wadi Karkar bus station in Aswan, southern Egypt

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画像説明, スーダンからエジプト南部アスワンにたどり着いた人々

アフリカで3番目の大国のスーダンは、2021年のクーデター発生後、軍将軍らで構成する主権評議会(暫定政権)が実権を握っている。中心人物は、国軍トップで実質的な大統領のアブドゥル・ファッターハ・ブルハーン将軍と、RSFを率いるモハメド・ハムダン・ダガロ司令官。ダガロ司令官は「ヘメティ」の名で知られる。

今回の衝突は、この2人が国政の方向性と民政移管をめぐって対立していることが背景となっている。主な対立点は10万人規模のRSFを国軍に編入する計画で、誰が新たな軍組織を指揮するかが問題になっている。

どちらの勢力にも、20年近く前にダルフールで行われたとされる戦争犯罪について、国際刑事裁判所(ICC)で裁かれる可能性のある人物がいるため、スーダン国内で権力を失うことを恐れているとされる。

首都ハルツームでは食料や水、燃料などが不足しているが、数百万人が立ち往生したままになっている。

国軍は、RSFに制圧された地域の奪還のために戦車や大砲などを展開しており、ハルツーム住民に対し、屋内に留まって窓から離れているよう呼びかけている。

一方のRSFは、市民への残虐行為で知られる「中央武装警察隊」を国軍が投入し、紛争を拡大させていると指摘している。

西部ダルフール地方のジュナイナでも戦闘はのほか、武装集団による市場の略奪や放火が報告されている。

RSFのヘメティ氏はBBCの電話取材で、戦闘が停止するまで交渉には応じないとの意向を示した。

ヘメティ氏は、3日間の停戦が延長されて以降も、RSFの戦闘員が「容赦なく」爆撃されていると語った。

「我々はスーダンを破壊したいわけではない」とし、国軍のブルハーン将軍が暴力行為を行っていると非難した。

ブルハーン将軍は、南スーダンでの対面交渉に暫定的に同意している。

Evacuees are welcomed by Saudi soldiers

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画像説明, サウジアラビアのジッダには避難した約2000人が到着した

こうした中、東部ポート・スーダンでは、サウジアラビアやイエメンへ向かう船に乗ろうとする人々で混乱している。

ポート・スーダンからは、約2000人がサウジアラビアの沿岸都市ジッダに到着している。大半の人は数日以内に、各国政府が手配したチャーター便で帰国する予定だ。

夫と共に退避したイラン人土木技師のナズリさん(32)は、戦闘の様子をBBCのリズ・ドゥセット主任国際特派員に語った。

「バルコニーに座っていることすらできないほど、あちこちで銃声がした」と、ナズリさんは語った。

4人の子供を持つスーダン系アメリカ人のラシャさんは、3日間おびえて隠れてたと語り、「スーダンの家族を助けてください」と話した。

ラシャさんは、「スーダンを守るよう世界に呼びかけたい」と訴え、外国人が全員脱出すれば、それを機に戦闘が激化するかもしれないと懸念を強調した。