ドイツ大統領、プーチン氏とナチスを比較 ワルシャワ・ゲットー蜂起の追悼式で

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ナチス・ドイツによる迫害に抵抗したユダヤ系住民が集団虐殺された1943年4月の「ワルシャワ・ゲットー蜂起」を追悼する式典が19日、ポーランドの首都ワルシャワで行われ、ドイツのフランク=ヴァルター・シュタインマイヤー大統領が出席し、ナチスによる残虐行為になぞらえてロシアによるウクライナ侵攻について語った。ドイツの大統領が、ワルシャワでのこの式典で演説するのは初めて。
シュタインマイヤー大統領は、ウクライナ侵攻によってロシアのウラジーミル・プーチン大統領は「国際法に違反し、国境を無視し、領土を収奪した」と非難した。さらに、ナチス・ドイツによる「犯罪を許していただきたい」と謝罪した。
1943年4月19日に始まったユダヤ人の蜂起では、ワルシャワのゲットー(ユダヤ人が強制的に隔離された地区)で起きた。ユダヤ人を強制収容所に連行しようとするナチスに抵抗し、数百人が拳銃や機関銃、手りゅう弾などで3週間にわたりナチスと戦い続けた。ナチスはゲットーを区画ごとに燃やし、蜂起を弾圧した。約1万3000人のユダヤ人が殺害され、その多くは炎や煙によって死亡した。残るゲットーの住民約5万人のほとんどは、ナチス占領下のポーランドに作られていたマイダネクとトレブリンカの強制収容所に送られた。

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シュタインマイヤー大統領は19日の追悼式で、ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領、イスラエルのイツハク・ヘルツォグ大統領と共に、ゲットー蜂起の英雄をたたえる記念碑に花輪を手向けた。
追悼式では、プーチン大統領による戦争が「果てしない苦しみと暴力、破壊と死を、ウクライナの人たちにもたらしている」と述べた。
さらに、「ポーランドの皆さん、イスラエルの皆さん、あなた方は自分たちの歴史から、自由と独立のために戦わなくてはならないこと、自由と独立を守らなくてはならないことを知っています。民主主義が自らを守ることがいかに大事か、皆さんは知っています」と述べた。
その上で大統領は、「しかし私たちドイツ人もまた、自分たちの歴史から教訓を学んでいます。決して二度と。つまり、ロシアがウクライナに対して行っているような犯罪的な侵略戦争は、決して欧州であってはならないのです」と呼びかけた。
シュタインマイヤー大統領はさらに、これはつまりドイツをはじめ他の欧米諸国が「しっかりとウクライナと共に立ち、ウクライナを支え続ける」という意味だと強調した。
ワルシャワ・ゲットー蜂起の追悼式で、ドイツの大統領が演説するよう求められたのは初めて。
ドイツは他の欧米諸国と異なり、ウクライナ侵攻の開戦当初、ウクライナの関係は必ずしも良好とは言えなかった。ドイツが最新兵器の提供を渋ったことや、ロシア産天然ガスの購入を継続したことから、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領をはじめとするウクライナ政府幹部はしばらくの間、ドイツを公然と批判していた。
シュタインマイヤー大統領が昨年、他の西側首脳と一緒にキーウを訪れようとした際、ゼレンスキー大統領から断られたという報道さえあった。
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しかし、今やドイツは、ウクライナにとって最強の支援国の一つだと見られている。
昨年2月24日の侵攻開始以来、数万人が殺害され、多くのウクライナの市町村が破壊されてきた。
ウクライナとその協力国は、ロシア軍が大量虐殺や強姦や市民の強制移住など、無数の戦争犯罪を繰り返してきたと非難している。
ロシアの占領下にあった複数の地域では集団墓地が見つかり、民間人の遺体の一部には拷問の痕跡が残っている。
オランダ・ハーグに本部を置く国際刑事裁判所(ICC)は今年3月、ウクライナ侵攻をめぐる戦争犯罪容疑で、プーチン大統領らに逮捕状を出した。これについてロシア政府は激しく反発している。










