プーチン氏が年次演説、「西側が戦争始めた」 バイデン氏はNATOの結束を強調

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ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は21日、ウクライナ侵攻開始から1年になるのを目前に、議会上下両院に向けた年次教書演説をし、西側諸国への非難を一段と強めた。一方、ウクライナ訪問を終えたばかりのアメリカのジョー・バイデン大統領は同日、ポーランドで演説し、ロシアのむき出しの侵略行為に立ち向かっている西側の民主主義をたたえた。
プーチン氏はクレムリン(大統領府)近くの展示場で演説。かつてナチスドイツを支援した西側諸国が、今度はウクライナを「反ロシア」のネオナチ政権に変えたと主張した。
ロシア軍のウクライナでの前進についてはほとんど触れず、戦争終結の見通しも全く示さなかった。
その数時間後、バイデン氏がワルシャワ王宮で演説した。プーチン氏を独裁者だとしたうえで、プーチン氏が唯一理解する単語は「ノーだ。ノーだ。ノーだ!」とした。
また、「プーチンは世界が抵抗しないと思っていたが、間違いだった」と主張。北大西洋条約機構(NATO)はかつてなく結束しているとした。また、ウクライナは強く、誇り高く、自由であり、同国への西型の支援が失敗に終わることはないと付け加えた。

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ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領は、バイデン氏のキーウ訪問によって、自由世界が何も恐れていないことが示されたと述べた。そして、NATOの役割は自由世界の防衛と支援だとし、ウクライナは「この戦争に勝たなくてはならない」とした。
プーチン氏の演説
プーチン氏はこれに先立つ年次教書演説で、2010年にアメリカと締結した新戦略兵器削減条約(新START)を停止させると発表した。同条約は核弾頭の数に上限を設けるもの。NATOやイギリスの首脳らはプーチン氏に再考を求めた。
同氏はまた、新たな地上システムを戦闘で使えるようにしたと説明した。プーチン氏は昨年すでに、ロシアとウクライナ占領地の防衛のためなら「あらゆる手段」を使うと脅している。

プーチン氏はさらに、「戦争を始めたのは向こうだ」と事実と異なる持論を展開。「私たちはそれを食い止めるために武力を使っている」と主張するなど、1年前の侵攻当日にテレビ演説で主張した内容の多くを繰り返した。
西側が関与したイラク戦争やユーゴスラヴィア空爆に言及した一方で、ロシアのシリア内戦での破壊的な役割や、隣国ジョージアへの侵攻、ウクライナ南部クリミアの土地収奪に関する話題は避けた。
この日、ロシア外務省は、アメリカのリン・トレイシー駐ロシア大使を呼び出し、ウクライナから「アメリカとNATOの軍備」を撤退させる措置を取るべきだと告げた。ただ、ウクライナでは西側の軍隊は展開していない。
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バイデン氏の演説
バイデン氏はキーウでゼレンスキー氏に会った翌日の21日、ワルシャワを訪れた。訪問では高度で複雑な安全対策が取られた。
バイデン氏はこの日の演説で、ゼレンスキー氏と、侵攻初期に占領された土地を取り戻したウクライナ人を重ねて称賛した。

また、ロシアがモルドヴァの政権転覆を画策しているとの見方をめぐり、欧州連合(EU)寄りのマイア・サンドゥ大統領を支持すると表明した。
モルドヴァをめぐっては、プーチン大統領がこの日の演説で、ロシア軍が駐留しているトランスニストリア地域の問題を解決する上でモルドヴァの主権を支持した2012年の取り決めを解消するとし、緊張が高まった。
22日にNATO加盟の東欧9カ国の首脳との会談を予定しているバイデン氏は、加盟国が攻撃された場合はNATOとして防衛するとしたNATOの条約第5条の内容を強調。アメリカはこれに「揺るぎなく」関与していくとした。
そして、「全てのNATO加盟国がそれを知っており、ロシアもまた知っている。一国に対する攻撃は全ての国に対する攻撃だ」と述べた。
ウクライナで続く被害
こうした演説の応酬のさなかも、ウクライナでは死傷者が増え続けた。
昨年11月にロシア軍から解放された南部ヘルソン市では、ロシア軍の砲弾で6人が死亡、多数が負傷した。市中心部ではバス停や薬局、住宅地が直撃を受けた。現地メディアによると、幼稚園も攻撃されたという。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は21日夜の演説で、ロシアの攻撃について「軍事的な目的はみじんもなかった」と主張。「恐怖」を覚えさせるのが目的だったと述べた。
またウクライナ軍については、現在の戦闘の大部分が行われている東部の最前線で大きな圧力を受けているものの、持ち場を維持しているとした。

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一方、イタリアのジョルジア・メローニ首相は21日、ウクライナを初訪問した。ロシア軍が数百人の市民を殺害したとされるブチャとイルピンの町を訪れ、ウクライナ人はイタリアを頼りにしていいと発言。「私たちは最初から最後まで、あなた方と共にある」と述べた。












