ドイツ海軍司令官、ウクライナ発言めぐり辞任 ロシアによる侵攻などないと主張

Kay-Achim Schönbach pictured with Defence Minister Christine Lambrecht

画像提供, Bundeswehr

画像説明, ドイツ海軍のシェーンバッハ司令官(右)とランブレヒト独国防相

ドイツ海軍のカイ=アヒム・シェーンバッハ司令官が22日夜、ウクライナ情勢に関する発言が物議を醸したことの責任をとり、辞任した。

シェーンバッハ中将は今月21日、インド・ニューデリー訪問中に現地の防衛シンクタンクで講演した際、ロシアがウクライナを侵攻しようとしているなど、ばかげた発想だと発言。ロシアのプーチン大統領は、西側から対等に扱われたいだけだとも述べていた。

中将は、「(プーチン大統領が)本当に求めているのは敬意で、それを与えるのは簡単なことだし、おそらくあの人は敬意を払うに値する」とも発言。

中将はさらに、ロシアが2014年に併合したクリミア半島について、「あそこはもう失われた、もう二度と戻ってこない」と述べた。

この講演の動画がユーチューブに公表され、物議を醸した。

ウクライナ外務省がこれに「絶対的に容認できない」と強く反発し、ドイツ大使に抗議するなどの事態を受けて、シェーンバッハ司令官は22日夜、「これ以上の悪影響を避けるため」、「ただちに」辞任すると発表した。

ウクライナ、ドイツを批判

ロシアがウクライナとの国境に軍備を集結させている事態を前に、アメリカやイギリスを含む複数の北大西洋条約機構(NATO)加盟国がウクライナに武器や装備を提供、もしくは提供すると発表している。

しかし、ドイツはこれまで、武器提供を求めるウクライナの要請を断り、代わりに野戦病院の装備提供を申し出た。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ドイツ製武器をエストニア政府がウクライナに送ろうとするのも、ドイツ政府は介入して阻止したという。

ドイツのクリスティーネ・ランブレヒト国防相は独日曜紙ヴェルト・アム・ゾンタークに対して、ドイツ政府はすでにウクライナへ人工呼吸器を提供しており、重傷のウクライナ兵はドイツの軍病院で治療中だと話した。

これに対してウクライナ政府はドイツの対応を批判。ウクライナへの兵器移転を拒否し、NATO加盟国による提供も阻止しようとするなど、ドイツ政府が西側の連帯を阻害していると非難している。

ウクライナのドミトロ・クレバ外相はツイッターで、ドイツの姿勢はロシアにとって、ウクライナを攻撃しても良いと促す材料になると批判した。

ロシアは、ウクライナを侵攻するつもりはないと一貫して主張している。しかしプーチン大統領は同時に、ロシアの安全を西側が保証する必要があると要求。そのためには、ウクライナのNATO加盟を認めない、ロシア周辺でNATOは軍事演習をしない、ロシアにとって脅威となる東欧地域に部隊や兵器を配備しない――などの条件を提示している。

一方でイギリス政府は22日、ロシア政府がウクライナに親ロ政府を樹立しようとしており、イーヴェン・ムラエフ元議員をこの政府のトップに据えようと工作していると声明を発表した。ムラエフ氏とは、かつてウクライナの親ロ政権下で最高会議議員だった人物。英外務省はこのほかにも、ロシア情報機関が連絡をとりあっているというウクライナの元政府関係者を複数名指ししている。