マレーシア、重罪での「強制死刑」制度を廃止へ 下院が可決

An activist holds a placard before submitting a memorandum to parliament in protest at the impending execution of Nagaenthran K. Dharmalingam, sentenced to death for trafficking heroin into Singapore, in Kuala Lumpur on November 3, 2021

画像提供, AFP

画像説明, マレーシアでは2018年以降、死刑が執行されていない。写真は2021年11月に首都クアラルンプールで行われた死刑への抗議デモの様子

マレーシアの下院は3日、強制死刑制度を廃止する法案を可決した。これにより、死刑判決を受けている1300人以上が刑の執行を免れる可能性がある。

マレーシアは2018年以来、死刑を執行していない。

同国ではこれまで、殺人やテロなど11の重罪で有罪となった場合、強制的に死刑が科せられていた。今回の採決では、圧倒的多数の議員が、強制死刑制度の廃止に賛成した。

裁判所は今後も、例外的なケースでは死刑判決を言い渡す権利を持つ。

しかし大半の重罪に関しては、最長40年の終身刑か、むち打ちなどの身体刑が言い渡されることになるという。

法案の成立には上院の承認が必要だが、承認される見通し。

ランカルパル・シン法務次官は3日、死刑は取り返しがつかない刑であり、犯罪抑止力として機能もしていないと議会で説明。

「死刑は求められている結果をもたらしていない」と述べた。

10年以上死刑廃止を議論

マレーシアでは、34件の罪で死刑を科せられる可能性がある。そのうち11件が、強制的に死刑となるものだった。

新たな法案は成立すれば、過去にさかのぼって適用され、死刑囚には90日間の刑の見直し申請期間が与えられる。

人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルによると、現在、同国の死刑囚は1341人。そのうち60%以上が強制的な死刑を言い渡されている。

強制死刑制度の改革法案は昨年6月、イスマイル・サブリ・ヤコブ前政権が提出した。

しかし、マレーシアではすでに10年以上、死刑制度廃止議論が続いている。1年にわたる議論の末、重要な改革法案が先週さらに2件、議会に提出された。

近隣国に影響及ぼすか

人権団体は今回の可決を、マレーシアや東南アジア全体にとって大きな一歩だと歓迎している。人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは、近隣諸国にも影響を及ぼすことを期待しているとした。

隣国シンガポールは昨年、麻薬取引に関する罪で11人の死刑を執行した。ミャンマーの軍事政権も、数十年ぶりに死刑を再開し、民主派活動家4人を処刑した。

公式データによると、マレーシアでは1992~2023年に1318件の絞首刑が実行されている。