サンクトペテルブルクのカフェで爆発、ロシア著名軍事ブロガー死亡

Vladlen Tatarsky - pic from his Telegram channel

画像提供, Vladlen Tatarsky/Telegram

画像説明, 死亡したウラドレン・タタルスキー氏

ロシア西部サンクトペテルブルクのカフェで2日、爆発があった。ロシア内務省は、著名な軍事ブロガーのウラドレン・タタルスキー氏が死亡したと発表した。捜査当局は3日、爆発に絡んで女性を拘束したと発表した。

爆発はカフェ「ストリート・フード・バーNO.1」で起きた。保健省によると、他に少なくとも24人が負傷し、6人は重体だという。

ソーシャルメディアに投稿された動画には、爆発が発生し、道端に負傷者がいる様子が映っていた。

ウラドレン・タタルスキー(本名マクシム・フォミン)氏は、ロシアのウクライナ侵攻を支持している。事件当時、このカフェで開催されていたイベントにゲストとして参加していた。

ロシアメディアでは、爆発物について情報が錯綜(さくそう)している。国営メディアは内務省筋の話として、タタルスキー氏に贈り物として渡された像が入った箱に、爆弾が入っていたと報じた。

一方、メッセージアプリ「テレグラム」で拡散された動画では、タタルスキー氏が像を直接渡され、それについて冗談を言っている。BBCはこの像が爆発物だったのか特定できていない。

捜査当局は3日、タタルスキー氏殺害に絡んでダーリャ・トレポヴァ氏(26)を拘束したと発表した。

彼女は拘束される直前に、内務省の指名手配リストに加えられていた。ロシアのメディアは、同氏が過去に反戦抗議デモで逮捕されたことがあると報じている。

Russian investigators working at the scene of an explosion at the cafe in St. Petersburg

画像提供, ICRF Press Service/ EPA

画像説明, ロシアの捜査当局が公開した、爆発後のカフェの様子
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事件当日は、テレグラムで「ロシアの情報部隊」を自称している「サイバー・フロントZ」というグループが、現場となったカフェを貸し切っていた。

同グループはテレグラムに「テロ攻撃があった。我々は一定のセキュリティー対策を講じていたが、残念ながら十分ではなかった」と投稿。「素晴らしい戦争特派員であり友人だったウラドレン・タタルスキー氏を知る全ての人に追悼の意を表明する」とした。

サンクトペテルブルクはウラジーミル・プーチン大統領の故郷で、この場所でプーチン氏は政治的な頭角を現した。

また地元メディア「フォンタンカ」によると、現場となったカフェはかつて、ロシアの雇い兵組織「ワグネル・グループ」の創設者エフゲニー・プリゴジン氏が保有していたという。

The scene outside the cafe after the bomb blast, 2 Apr 23

画像提供, EPA

画像説明, カフェの外には、爆発により吹き飛ばされたものが散乱した
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タタルスキー氏はテレグラムに50万人以上のフォロワーを有している。

BBCのオルガ・イヴシナ・ロシア特派員によると、タタルスキー氏はウクライナにいる他のロシアの軍事ブロガーや国営メディア記者とは異なり、自ら武器を持って戦闘作戦に参加していたという。

タタルスキー氏はウクライナの前線で取材し報告していた。同氏が「我々は全員を負かす。我々は全員を殺す。必要であれば全員から盗む。好きなようにやるだけだ」とクレムリン(ロシア大統領府)内で発言している、昨年投稿された動画は、大きな反響を呼んだ。

この動画は、ロシアが占領したウクライナの4州について一方的に併合を宣言した際、プーチン大統領が大統領府で行った式典で撮影されたもの。この併合は、国際的な非難を受けている。

タタルスキー氏は、ウクライナ東部ドネツク州のマキイウカ出身。BBCのイヴシナ特派員は、タタルスキー氏は2014年、ロシア寄りの分離派がドネツクとルハンスク両州を占領した際、この分離派に参加していたと報じている。タタルスキー氏自身は、強盗罪で服役した後、ドネツクの分離派に参加したと述べていた。

ドネツク州は、プーチン氏が併合を宣言した4州の一つ。

2022年2月にロシアのウクライナ侵攻が始まると、タタルスキー氏は戦闘に戻り、ソーシャルメディアやロシアの国営メディアで戦争について解説を行った。戦闘では、軍事ドローンの発射や防衛の強化などを助けたと主張していた。

Floral tributes to Vladlen Tatarsky

画像提供, Reuters

画像説明, カフェの外でタタルスキー氏を追悼する市民
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ウクライナのミハイロ・ポドリャク大統領顧問はツイッターに、ロシアでは「クモがつぼのなかでお互いの脚を食い合っている」と投稿。また、ロシアの政治的内紛が「国内テロ」行為に発展していると示唆した。

一方、ロシアのマリア・ザハロワ外務省報道官は、タタルスキー氏や彼のようなブロガーは「真実の擁護者」だとたたえた。

ザハロワ氏はテレグラムで、「ロシアのジャーナリストは、ウクライナ政府からの報復の脅威を常に感じている」と書いた。また、タタルスキー氏はウクライナにとって「危険な存在」だったが、「最後まで勇敢に任務を遂行した」とした。