反戦の絵を描いた少女の父親に禁錮刑、前夜に逃走 ロシア
スティーヴ・ローゼンバーグ・ロシア編集長&ポール・カービー(ロンドン)、BBCニュース

画像提供, Olga Podolskaya
ロシアの裁判所は28日、SNSでロシア軍を繰り返し批判しておとしめた罪で、男性に禁錮2年の刑を言い渡した。この男性の娘(13)は昨年、学校で反戦の絵を描いたとして警察に通報されていた。
被告のアレクセイ・モスカレフ氏(53)はこの日、判決公判に出廷しなかった。イェフレーモフの裁判所の報道官によると、モスカレフ氏は自宅軟禁状態だったが逃げ出したという。
モスカレフ氏の弁護士ウラジーミル・ビリエンコ氏はBBCに対し、同氏の所在は知らないと述べた。
モスクワから南に320キロほど離れたイェフレーモフに住むモスカレフ氏は、ロシア軍を批判して禁錮刑を受けた一人に過ぎない。しかし、今月初めに当局がモスカレフ氏から娘のマーシャさんを引き離す決定を出したことで、国際的に注目されていた。マーシャさんの母親は近隣に住んでおらず、父子とは別居している。
マーシャさんは、裁判が始まった段階で児童施設に預けられている。
イェフレーモフのオルガ・ポドルスカヤ町議によると、モスカレフ一家の災難は昨年4月、マーシャさんの通っている学校が、マーシャさんの描いた絵について警察に通報したことから始まった。マーシャさんはこの時、「ウクライナに栄光を」と描かれたウクライナの国旗と、ロシアから飛んでくるロケット弾、そして「戦争反対」と描かれたロシア国旗を描いた。
モスカレフ氏は昨年のうちにポドルスカヤ氏に連絡を取り、自分と娘が受けている圧力について相談したという。
モスカレフ氏は当初、戦争をめぐってSNSに昨年投稿したコメントについて罰金を支払った。しかし昨年12月に自宅の家宅捜索が行われ起訴された。
ポドルスカヤ氏は、「ショックだ。自分の意見を言って禁錮刑になるなんてひどい。2年の禁錮刑は悪夢だ」と語った。
「モスカレフ氏が逃亡したと聞いて、さらにショックだった。彼が無事で、何も起きていないことを祈っている」

ロシアの人権擁護団体「メモリアル」は、モスカレフ氏は政治犯だとしている。「メモリアル」自体も、ロシア政府からの圧力で解散させられている。
BBCは今月、モスカレフ氏のアパートを訪ねたが、面会は認められなかった。弁護士のビリエンコ氏は、モスカレフ氏はマーシャさんと引き離されたことを非常に心配していると語った。
マーシャさんについては、イェフレーモフの社会福祉サービスが正式に面倒を見ることになっている。地元の青少年問題委員会はすでに、モスカレフ氏の親権を制限するための法的措置を講じている。先週には予備審問が行われたものの、モスカレフ氏は自宅軟禁のため出廷が認められなかった。
ビリエンコ氏は28日、判決公判を前に、マーシャさんが預けられている児童施設を訪ねた。しかし所長から、マーシャさんは料理フェスティバルに行っていると言われたという。代わりに、マーシャさんが父親宛てに書いた手紙と絵を2枚渡された。ビリエンコ氏はロシアのウェブメディア「ソタビジョン」の取材に対し、手紙には「お父さんは私のヒーローです」と書かれていたと話した。
ビリエンコ氏はその後、この絵を法廷で公開した。
モスカレフ氏は、27日には出廷していた。裁判所のオルガ・ジャチュク報道官は、モスカレフ氏が一晩のうちに自宅軟禁から逃げ出したと説明。判決後は拘束されるはずだったと述べた。











