英スコットランド第一首相、ユーサフ氏が就任へ 初のイスラム教徒

humza yousaf

画像提供, Reuters

画像説明, ハムザ・ユーサフ氏

イギリスのスコットランド国民党(SNP)は27日、ニコラ・スタージョン党首の後任に、ハムザ・ユーサフ氏(37)を党員投票で選出した。同国で主要政党を率いる初のイスラム教徒となる。同氏はスコットランド自治政府の第一首相にも就任する。

ユーサフ氏は、党内の深い溝をあらわにした党首選で、ケイト・フォーブス氏とアッシュ・リーガン氏を破った。

28日に議会の投票を経て、スコットランド自治政府の6代目となる第一首相に就任する見通し。

ユーサフ氏は現在、スコットランド自治政府の保健相を務めている。スタージョン氏が後継者に望んでいる人物とされてきたが、同氏は党首選でどの候補への支持も明確にしなかった。

党首選は党員7万2169人のうち5万490人が投票。ユーサフ氏は1回目の投票で過半数を獲得できなかったが、3位となったリーガン氏の第2希望票を配分した結果、52.1%の票を得て、フォーブス氏を破った。

「独立を勝ち取る世代になる」

ユーサフ氏は新党首に選出されると、「人生最大の名誉だ」とし、党の団結を呼びかけた。

また、スコットランドのイギリスからの独立は「目前」だと述べ、草の根運動の開始を宣言。「私たちはスコットランド独立を勝ち取る世代になる」とした。

ユーサフ氏はさらに、自らの祖父母について、1960年代にパキスタンからスコットランドに到着した時には英語を一言も話せなかったと紹介。孫がスコットランドの第一首相になるとは「夢にも思わなかっただろう」と述べた。

ユーサフ氏は2011年、グラスゴーからスコットランド議会議員に初当選。翌年には下級大臣に任命された。2018年にはスコットランド自治政府の法相、2021年には保健相となった。

スタージョン氏が祝福

スコットランド第一首相を史上最長の8年以上務めてきた現職のスタージョン氏は先月、辞任の意向を表明した

同氏はユーサフ氏の選出を祝福し、「傑出した」指導者になるだろうと述べた。

ユーサフ氏は党首選で自らについて、これまでの路線を継続する候補だとアピールしてきた。スタージョン氏への敬意をたびたび表明しながらも、「私は自立した男であり、自分のやり方で物事を進める」とも強調してきた。

ユーサフ氏の支持者らは、同氏を洗練されたコミュニケーション能力の持ち主だと評価。SNPをまとめ、スコットランド緑の党との協力関係を維持するのに最適だとしている。

SNPをめぐっては、独立の是非を問う住民投票のために使うとして集めた60万ポンドの使途について警察が調べを進めている。また、スタージョン氏の夫ピーター・マレル氏が2021年6月にSNPに10万ポンド超の融資をした理由についても疑問が生じている。

SNPとマレル氏はともに、不正はないと主張している。スタージョン氏は、夫の多額の融資を知った時期について「思い出せない」としている。

humza yousaf and family

画像提供, PA Media

画像説明, ユーサフ氏は妻や娘、継娘の祝福を受けた

<関連記事>

Presentational white space

スコットランド緑の党は、SNPとの協力関係を維持し、ユーサフ氏の第一首相就任を支持することを全会一致で決定したと発表した。

ユーサフ氏は第一首相に就任するとすぐ、多くの厳しい決断を迫られる。スコットランドのジェンダー改革を英政府が阻止していることをめぐって法廷争いをするのか、プラスチック容器のリサイクルを促進する制度や新たなケアサービスなど賛否の割れるスタージョン政権の政策をどうするのか――などだ。

病院にかかるまでの待ち時間が記録的な長さになっていることや、家庭の経済格差を背景に子どもの学力格差が広がっていることなどにも、取り組むことになる。

スーナク首相や野党の反応

英首相官邸は、リシ・スーナク首相がユサフ氏と協力するのを楽しみにしているとした。ただ、独立問題より、インフレ抑制や生活費の急上昇への対応など「人々にとって重要な問題」が優先されると強調した。

スコットランド保守党のダグラス・ロス党首は、ユーサフ氏の能力には「深刻な懸念」があるとし、「ニコラ・スタージョン政権の保健相、法相、運輸相時代にしたような、失敗の連続にならないことを望む」と述べた。

スコットランド労働党のアナス・サルワル党首は、少数民族から第一首相が選出されるのは「スコットランドにとって重要な瞬間」だとした。しかし、スタージョン氏から権限を委譲されたわけではないとし、議会選挙を開くよう求めた。サルワル氏とユーサフ氏は、グラスゴーの私学ハッチソンズ・グラマーの同級生。

ロス氏とサルワル氏は、自由民主党のアレックス・コール=ハミルトン党首とともに、28日午後にスコットランド議会である第一首相の選挙に立候補する予定。だが、いずれも当選の見込みはない。