ウクライナ東部バフムート、ロシアの死傷者は最大3万人=西側当局
ポール・アダムス外交担当編集委員

画像提供, Reuters
西側の複数当局者はこのほど、ウクライナ東部の前線となっているバフムート市で、昨夏に戦闘が始まって以降、2万~3万人のロシア兵が死傷しているとの見解を示した。この戦闘の規模と、同市の戦略的重要性は全く釣り合いが取れていないとしている。
凄惨な戦闘は6カ月以上にわたり続いている。いまも、バフムートの未来がどうなるかは分からないままだ。
戦闘が始まって以降、バフムートの人口の約9割が市外へ逃れた。
東部ドンバス地方にある、この小さな行政の街は、がれきになった建物や木々が広がる荒地と化している。
この街がロシアの手に落ちたとしても(時間がかかる可能性は残っているし、そうなる保証もないが)、ロシア政府が得るものは少なく、むしろ失うものが多いと、西側当局者は指摘する。
ウクライナにとって、バフムートでの戦いは「多くのロシア人を殺すまたとない機会」だったと、ある当局者は語った。
ウクライナ軍も大きな犠牲を払ってきた。ただ、ロシア国防省が7日に言及したウクライナ兵の死者数について、西側当局者は信用できないとした。
ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相はメッセージアプリ「テレグラム」に投稿された国防会議向けの声明で、ウクライナは2月だけで1万1000人の兵士を失ったとした。
「ウクライナ政権の自国民に対する無関心さは驚くべきものだ」と、ショイグ氏は述べた。おそらく、ロシア政府の人海戦術に対するウクライナの批判を意図的にひっくり返すためだろう。
西側当局者はショイグ氏が挙げた数字を「認めない」としている。
ロシアが「失速」か
一方で、バフムート制圧に向けたロシアの動きを主導している、ロシアの民間雇い兵組織「ワグネル・グループ」については、人員も装備も不足しているとみている。
ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン氏は、ロシア軍に対する一連の攻撃により、同グループがバフムートを占領するのに必要な弾薬がロシア軍から供給されていないと非難。
これは「ただの官僚主義、あるいは裏切り」の結果だと主張した。
バフムートがどうなるにせよ、ある当局者は、ロシア側の動きが「失速」していると考えていると述べた。ウクライナの同盟国の間では、この戦闘によってロシア政府が近い将来、意味のある前進を遂げる可能性が失われたという、明確な希望が広がっている。
ある西側当局者は、バフムートでの戦闘は「極めて小さな戦術的出来事」であり、「どちらの側にとっても」戦略的意義はないとした。
ロシアのショイグ国防相は「アルチョモフスク(バフムートのロシア語名)の解放に向けた活動は続いている」とし、これが突破口になるだろうと、テレグラムに投稿した。
「この街はドンバス地方にとどまるウクライナ軍にとっての重要な防衛拠点だ」
「この街を制圧すれば、ウクライナ軍の防衛線へのさらなる攻勢が可能になる」
しかし西側当局によると、現在、ロシアが広範囲に攻勢をかける兆候は見られない。
また、ロシアのウクライナ侵攻を統括するワレリー・ゲラシモフ総司令官が「プレッシャーにさらされている」とした。
「彼が主導権を取り戻すのは難しいようにみえる」
ウクライナ政府を支援する西側当局が、ロシア政府の作戦はうまくいっていないと示唆したのは、今回が初めてではない。昨秋にウクライナが電光石火の反攻を実施した際にも、同様の主張がなされた。
今冬にロシアが獲得した領土は極めて小規模だった。
こうした中、ウクライナは西側諸国から、戦車や装甲車といった軍事装備を新たに供与されており、早ければ5月にも実施するであろうロシアに対する攻勢に向け、計画を立てている。










