黒人男性を殴打の元警官5人、男性の死亡について無罪主張 米メンフィス

米テネシー州メンフィスで1月7日に黒人警官5人に殴打され取り押さえられた29歳の黒人男性が死亡した事件で、殺人罪などで起訴された元警官5人(事件後に免職処分)が17日、罪状認否で無実を主張した。
シェルビー郡刑事裁判所に初出廷したタダリウス・ビーン、ディミトリウス・ヘイリー、デズモンド・ミルズ・ジュニア、エミット・マーティン3世、ジャスティン・スミスの被告5人は、第2級殺人、暴力的な拉致、公務執行中の暴行や不法行為などの罪状について、無罪を主張した。ジェイムズ・ジョーンズ裁判長がこれを確認した。
5人はいずれもスーツ姿で、黒いマスクを着用。黙ったまま、弁護団と共に立っていた。裁判長に罪状認否を求められると、弁護団が代わりに無罪を主張した。
5人は現在、保釈中。次回公判は5月1日に予定されている。殺人罪で有罪となれば最長60年の禁錮刑を言い渡される可能性がある。
被告5人は1月7日夜、交通違反の取り締まり中にタイリー・ニコルズさん(当時29)の車を停車させた後、一方的に殴るけるの暴行を繰り返したとされる。ニコルズさんは病院に運ばれたが、同10日に死亡した。
被告5人はニコルズさんが危険運転をしたとして、車から引きずり出した。しかし、警察当局はその後、危険運転を立証できていないと明らかにした。
メンフィス警察は捜査の結果、「ニコルズ氏への身体的虐待に直接の責任がある」として、5人を解雇。当局は1月26日に第2級殺人などの罪で5人を訴追し、27日には事件当時の映像を公開した。

この日の法廷でジョーンズ裁判長は、被告5人と弁護団に対して、「この事件の審理には時間がかかるかもしれない。引き続き、忍耐強く、礼節ある行動をとってもらいたい」と語りかけた。
法廷では、ニコルズさんの遺族もベン・クランプ弁護士と共に傍聴していた。
裁判所前で記者団を前に、ニコルズさんの母ロウヴォーン・ウェルズさんは、被告5人を初めて直接目にしたことについて、「私を面と向かって見るだけの勇気も、(あの5人には)なかった」と述べ、「息子のため正義を獲得する」まですべての公判を傍聴するつもりだと話した。
ニコルズさんは事件当時、警察に殴打されながら「ママ!」と繰り返し叫んでいた。
事件を担当するポール・ヘイガーマン検察官は、「この事件で正義が実現するのを、メンフィスと全世界が目にする必要があるし、それは速やかに実現しなくてはならない」と、記者団に話した。
メンフィス警察のセレリン・デイヴィス本部長は、この事件は「単なる職務遂行上の失敗ではなく」、「他の人間に対する根本的な人間性の破綻(はたん)」だと述べた。
ニコルズさんの母、ウェルズさんはこれまでにBBCニュースに対して、この事件で重要なのは被害者の人種、つまり自分の息子の人種であり、犯人の人種ではないと話した。「警官の肌の色の問題ではない。黒だろうが白だろうが、ピンクだろうが紫だろうが、そんなことはどうでもいい。あの5人がやったことは間違っている」と、ウェルズさんは話していた。
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事件の影響で、メンフィス警察では被告5人のほかにも、複数の職員が解雇され、捜査を受けている。
5人が所属していた街頭犯罪対策の特殊部隊は、事件を受けて解散された。










