プーチン大統領、「世界は戦後最も危険な10年」に直面と 演説で西側批判

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ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は27日、世界は第2次世界大戦後で「恐らく最も危険な」10年間に直面していると警告した。
この日の演説の内容は多岐にわたったが、プーチン大統領はこの中で、ウクライナ侵攻の正当化を試みた。ロシアは現在、このウクライナ侵攻が原因で国際的に孤立している。
プーチン氏はさらに、西側諸国がロシアを核で脅していると批判。同盟国に、ロシアに対して背を向けさせようとしていると主張した。
ロシア政府はこのところ婉曲な核の脅しを繰り返しており、西側はこれを非難している。
北大西洋条約機構(NATO)は今週初め、ウクライナが放射性物質を含むいわゆる「汚い爆弾」を使おうとしているというロシアの根拠のない主張を批判した。
NATOのイエンス・ストルテンベルグ事務総長は、NATO加盟国が「この疑惑を拒否する」と表明。「ロシアはこうした言説をエスカレーションの口実にするべきではない」と述べた。
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核兵器について
プーチン氏はこの日、毎年行われているヴァルダイでのフォーラムで演説。「ロシアが核兵器を使用する可能性があると積極的に発言したことはない。西側諸国首脳の発言に、ヒントと共に対応してきただけだ」と述べた。
プーチン氏はこの前日にはモスクワで、敵からの大規模な核攻撃への報復を想定した戦略核戦力の年次演習を指揮した。
大統領は演説で、イギリス首相を辞任したばかりのリズ・トラス氏が8月の保守党党首選で、必要ならば核のボタンを押すことも辞さないと述べていたことにも触れ、イギリスの同盟国がこれに反対しなかったことに驚いたと述べた。
「我々は何をすればいい? 黙っていろと? この発言を聞いていないふりをしろと?」と、大統領は強調した。
ただしプーチン氏自身も、ロシアは自国を守るために「利用できるすべての手段」を使うと警告を繰り返しており、これは明確な核の脅威と広く見られている。

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「歴史の最前線」
プーチン氏はこの日の演説でさらに、西側諸国は他の国の主権と独自性を否定する「危険で血生臭い汚いゲーム」を展開しているという、最近の批判をあらためて繰り返した。その上で、西側諸国による世界情勢の「集中的な支配」は今や終わりを告げようとしていると主張した。
「我々は歴史の最前線にいる。この先には第2次世界大戦以降で最も危険で予測の付かない、かつ重要な10年が待っているだろう」とプーチン氏は述べた。
プーチン氏は、欧米はもう主導権を握れないが、「必死で」そうしようとしているのだと主張。「未来の世界秩序が目の前で形成されている」と述べ、アメリカを中心とした西側諸国がロシアを破壊しようとしていると非難した。こうした主張を裏付ける根拠は、提示しなかった。
ロシア軍はこのところ、ウクライナの前線で敗退を続けている。国内では、約30万人の予備役部分動員に対する怒りが高まっている。

<解説>プーチンの世界に後悔なし――スティーヴ・ローゼンバーグ、ロシア編集長

ウラジーミル・プーチン氏によると、世界はこうなっている。それを私たちは今日、見聞きした。その世界では、ロシアは清廉潔白で、ウクライナでの戦争から世界的な食糧危機まですべてが、西側のせいだ。
我々が見たのは、自分のしたことを全く後悔していないか、もし後悔があったとしても、少なくともそれを公言しないロシアの大統領の姿だ。
つまり、プーチン大統領は現状に対する並行世界を描いてみせたのだ。そして、西側諸国がウクライナでの戦争を「引き起こした」と批判し、新しい世界秩序は「法と正義」によるものになるべきだと述べた。これが、8カ月前に独立主権国家に全面的な侵略戦争を仕掛けた、当の大統領の言葉だ。
プーチン氏はまた、ロシアが核使用を脅していると誤解され、批判されていると述べた。だが2月以降、この紛争にロシアのあらゆる武器を使用する用意があると、何度もほのめかしてきたのはプーチン氏だ。
私にとって最も示唆的だったのは、プーチン氏がこの「特別軍事作戦」での「喪失」について認めた時の言葉だ。
「失われた人命のことを常に考えている」とプーチン氏は語った。しかしそれに触れたのはここだけで、すぐに「ロシアの主権強化」を含め、本人いわくロシアが得たのだという「膨大な利益」に話を移した。
自責の念や後悔の様子も、Uターンの兆候もなかった。








