習近平政権3期目が発足、最高指導部を習派で固める

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画像提供, Getty Images

中国の習近平国家主席(69)は23日、自身に忠実な人物を集めた新たな指導部を発足させ、異例の3期目政権に突入した。

中国共産党(CCP)は23日、第20期中央委員会第1回全体会議(1中全会)を開き、最高指導部を構成する党政治局常務委員を選出した。習主席は総書記に3選された。

観測筋は、選ばれた顔ぶれから、習氏が専門知識や経験よりも、自分への忠誠心を重んじているようだと指摘。実力主義を掲げる共産党の信条に反するものだという意見もある。

ロシアや北朝鮮から祝電

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画像説明, 中国共産党大会の期間中は北京市内に厳重な警備が敷かれた

新たな最高指導部は、北京で1週間にわたり開かれた第20回中国共産党大会の閉幕後に発表された。

5年に1度の党大会には党員の代表2300人以上が集まり、党幹部の選出や重要政策に関する議論を行う。今回、習主席の「党の核心」としての地位と、政治思想の指導的地位を固める党規約の改正案が採択された。習氏に党内における新たな権限が付与され、数十年続いた伝統を断ち切ることとなった。

国家主席を3期務めるのは、中国建国の父・毛沢東氏以来。

習主席の3期目続投が決まると、中国の同盟国ロシアのウラジーミル・プーチン大統領や北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記がいち早く祝電を送った。

政治局常務委員の顔ぶれ

党大会閉幕式翌日の23日、北京の人民大会堂では習氏の後に続き、6人の政治局常務委員が登壇した。

習氏は短く演説し、自分への党の信頼に感謝した上で「中華民族の偉大な復興を全面的に」実現すると誓った。

序列3位に入った腐敗撲滅担当の趙楽際氏と、序列4位の政治理論家、王滬寧氏以外は、新たに政治局常務委員会に加わった。

党ナンバー2の李克強氏ら4人は、同委員会を去ることとなった。

任期終了後に政治局常務委員会の大幅な入れ替えはよくあることだが、習氏は李氏らを排除することで自分と異なる視点を持つ人物が取り巻きにいないようにしたのだと、観測筋は指摘している。

「習氏は代替派閥に席を譲る必要はないと感じていた。つまり、国際的な圧力を受けている状況で、寛大さよりも強い支配力を示すことを優先した」と、オーストラリア国立大学の講師ウェンティ・ソン氏は指摘する。

次期首相は李強氏か

常務委員の正式な肩書きは来年の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で確定する。

しかし、事細かに演出された式典で習氏のすぐ後ろを歩いていた李強氏が次期首相となり、中国経済を管理することになるというのが、大方の見方だ。

李強氏は現在、上海市共産党委員会書記を務める。数千万人が深刻な食料不足に陥った同市でのロックダウンを監督し、物議を醸した人物だ。

李強氏を首相に任命すれば、習氏が経済活動を優先していないというシグナルを送ることになるとの見方もある。

動画説明, 習近平政権3期目が発足、新指導部の顔ぶれや経済問題への取り組みは

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経験より忠誠心重視か、女性政治局員は0人に

アメリカン大学のヤン・ジャン教授は、「この昇進だけでも、習氏3期目における中国の権力構造を再考するにあたって重要だ」と述べた。中央政府での実務経験なしに昇進するのは李強氏が初めてという。

また、今回の最高指導部人事で大勢を驚かせたのは、北京市長の蔡奇氏の任命だ。

蔡氏は新型コロナウイルスのパンデミックの最中に開催された冬季オリンピック開催を成功させた。しかし、2017年に同市の人口削減計画を打ち出し、結果的に多くの低所得者を市内から追い出したことで物議を醸した人物でもある。

「蔡氏は党大会前、共産党の上位370人の中にさえ入っていなかった。しかし今や中国で5番目の権力者だ」と、米コンサルティング会社ユーラシア・グループのシニア中国アナリスト、ニール・トーマス氏は言う。

今回もまた、政治局常務委員会に女性が1人もいないという指摘もある。中国のフェミニストにとっては残念なことだろうが、決して意外ではない。

政治局員25人のうち唯一の女性だった孫春蘭氏も引退し、女性は0人となった。

「これは非常に残念な、衝撃的な配置だ」とヤン教授は述べた。

市民の反応

北京市の住民たちはこの顔ぶれに驚いてはいない。「全員が同じ派閥に属している。予想通りだ」とBBCに話す人もいた。

別の住民は、「習国家主席が3期目に入ろうが、みんなが食べていけるなら問題ない。自分たちで自力で食べていくことはできるが、やっぱり厳しいので。特に多くの企業が大変な思いをしている」と語った。

多くの一般市民は、党大会後に当局が新型ウイルス対策を緩和するのかどうか注視している。

習氏による厳格な「ゼロCOVID」政策に従う市民の忍耐力は薄れつつある。党大会の数日前には、1人の男性が北京で同政策の停止と習氏の排除を求める異例の抗議を行った。

しかし習氏は党大会初日の16日、同政策を直ちに緩和するつもりはないことを示唆した。

中国が厳しく検閲するソーシャルメディア上では、市民の反応は鈍い。23日の新指導部発足を何千万人もの中国人が国営メディアのライブストリームで見ていたが、コメント欄はすべて使用不可になっていた。

中国のソーシャルメディア「微博(ウェイボー)」では、公式メディアのみが新指導部関連のニュース投稿を認められた。コメントは削除され、新指導部を称賛する書き込みがわずかに残された。

しかし、中国では禁止されているツイッターなど別のプラットフォームでは、中国人ユーザーは批判的な内容を投稿していた。中国人はVPN(仮想プライベートネットワーク)を通じてツイッターなどにアクセスしている。

「習氏の軍はその名に恥じないよう行動し、国中が帝国の復活を歓迎している」と、あるツイッター・ユーザーは皮肉を書き込んだ。

(追加取材:グレイス・ツォイ、BBC中国語)