中国・人民元が対ドル最安値を更新 米FRBの利上げの影響続く

US and Chinese bank notes.

画像提供, Getty Images

中国・人民元が28日、対ドルで最安値を更新した。

人民元はこの日、オフショア市場で下落。記録の残る2011年以降で最安値を記録した。

国内流通の人民元も、2008年のグローバル金融危機以降で最安値となる1ドル=7.2235元をつけた。

アメリカの中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを発表して以降、世界の主要通貨に対するドル高が続いている。

アジアの株式市場ではこの日、主要指数が大幅に下落。日経平均株価は前日比1.5%安で取引を終えた。香港・ハンセン指数も2.8%、韓国総合株価指数 (KOSPI)は2.4%、それぞれ前日より下げた。

<関連記事>

Presentational white space

経済状況に問題がある場合、多くの投資家が安全策としてドルを買う。これにより、英ポンドを含む主要通貨が軒並み下落している。英ポンドも26日、対ドルで史上最安値を更新した

中国人民銀行(中央銀行)は人民元を下支えするため、通貨の取引コストを高めたり、各行の外貨保有高の上限を引き下げたりと防衛策を取ってきた。

今回の元安は、ドルの強さを示すとともに、米中の国内での経済問題への対処法の違いを表しているという。

中国人民銀行は新型コロナウイルスのロックダウンからの景気回復に向けて政策金利を引き下げた。一方のFRBは、インフレ抑制のために真逆の方向を選び、利上げを続けている。

オーストラリア・コモンウェルス銀行の国際・持続可能経済主任のジョゼフ・キャパーソ氏は、こうした方向性の違いが全て問題になることはないと話す。

中国の通貨価値の下落は、たとえば中国国内の輸出業者にとっては、商品が安くなり、需要が増える可能性があるため、有利にはたらくという。

しかし、最近の中国経済では輸出の割合が20%ほどにとどまっており、中国政府の「ゼロ・コロナ」政策や不動産危機による根本的な弱さを好転させることはできないと、キャパーソ氏は指摘した。

ドル高の世界的影響

通貨の下落はまた、投資の撤退と金融市場の不透明性を招く。習近平氏が国家主席として初の3期目を迎える10月の全国人民代表大会(全人代)を前に、当局はこうした事態を避けたいと思っている。

さらに人民元の下落により、豪ドルやシンガポール・ドル、韓国ウォンといったアジア太平洋地域の通貨も影響を受けている。日本銀行は先週、対ドルでの円安を受けて1998年以降で初めて為替介入を行った。

ドル高は世界の市場を揺るがしているが、FRBの利上げ継続を抑えることは難しそうだ。

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)の外交政策シンクタンクに所属するディミトリ・ザベリン氏は、「ドル高は米市場でうまくはたらいている」と指摘した。

「為替市場の動きは検討事項にはなるが、国内のインフレ懸念ほど重要ではないだろう」