英インフレ率、過去40年で最高を記録 家計を圧迫

Shopper holding a basket full of food

画像提供, Getty Images

英国家統計局(ONS)は17日、7月のインフレ率が前年同月比10.1%と、1982年以来の高水準となったと発表した。食品価格の高騰を受け、前月の9.4%を上回った。

イギリスでは現在、物価上昇率が賃金上昇率を上回っており、生活費の高騰が家計を圧迫している。

中央銀行のイングランド銀行は、インフレ率は年内に13%を超える可能性があると指摘している。

7月のインフレ上昇を後押ししたのは食品と非アルコール飲料。パンとシリアルは12.4%、牛乳、チーズ、たまごは19.4%、油類は23.4%それぞれ値上がりした。

野菜や肉、チョコレートのほか、エネルギー、ガソリンとディーゼルの価格も上昇。トイレットペーパー、ペットフード、歯ブラシといった日用品も値上がりした。

運輸も大きな押上げ要因となっており、航空運賃や国際鉄道の運賃が特に上昇した。需要増に伴い、パッケージツアーの価格も上がっている。

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ロシアのウクライナ侵攻を受けた世界的な食品価格の上昇が、スーパーマーケットでの買い物でかかる費用を押し上げている。ロシアとウクライナは共にヒマワリ油や小麦の主要輸出国だが、戦争によって供給が止まってしまっている。

一部の食品、特に穀物や食用油の供給は大幅に改善されたものの、スーパーでの価格に反映されるには約6カ月のギャップがあるという。

大手会計事務所PwCのリテール戦略ディレクターを務めるキーン・タン氏は「スーパーもサプライヤーからの値上げを転嫁するしかないし、スーパー自体、原材料や食材の仕入れ価格で、前例のないインフレに直面している」と説明した。

「こうした現象は特に、労働力や設備投資のかかる乳製品などのカテゴリーで顕著で、一部の店舗では牛乳1パイントの価格が年初から2倍に上がったという報告もある」

「何もかもが値上がりしている」

インフレ率は、光熱費の上がる10月にさらに上昇すると予想されている。

一般家庭の光熱費は10月には3582ポンド、来年1月には4266ポンドまで上がる見込み。同月には、電気会社やガス会社が顧客に請求できる金額の上限がさらに引き上げられる。

イングランド銀は、2022年第4四半期(9~12月)から2023年末にかけてイギリス経済が縮小すると予測。今年後半にも景気後退(リセッション)に陥るだろうと警告している。

レストランを経営するシャフ・イスラムさんは、ホスピタリティー業界が大きな価格上昇に直面していると話す。

BBCの取材でイスラムさんは、「食塩からソフトドリンク、米、油、何もかもが値上がりしている」、「電気代は月1000ポンドから3000ポンドに上がった」と語った。

そのため、コストの一部をメニュー価格に上乗せしたという。

「開業して5年、初めて価格改定をした。みんなにとって厳しいことだと分かっているので、本当はしたくなかった」

Shaf Islam restaurant owner
画像説明, レストランを経営するシャフ・イスラムさん

ノッティンガム大学の博士課程に所属するレベッカ・ブラウンさんも、この冬に生活費がどれだけ上がるか心配している。光熱費はすでに月80ポンドから140ポンドに上がったという。

ブラウンさんはもともとの学生ローンに加え、アルバイトで稼いで収入を増やし、生活費はパートナーと分担している。

「家賃と光熱費、交通費と電話代、それにネットフリックスとスポティファイの利用料を差し引くと、食べ物と娯楽、必需品に充てられるのは毎月300~400ポンドほどだ」

「歯医者や美容院はかなり『無理』の部類に入る。でも本当にひどい時には両親が助けてくれた」

次期首相にとって最大の課題

生活費危機は、9月に保守党の党首選で決まる次期首相にとって最大の課題となる。決選投票に臨んでいるリズ・トラス外相とリシ・スーナク前財務相はすでに、その対策で意見が対立している。

有力候補とされているトラス氏は減税を約束している一方、スーナク氏はインフレ率が下がってから減税するべきだと述べている。

ナディム・ザハウィ財務相はインフレ率の上昇に直面する中、政府に「簡単な選択肢はない」と話した。

その上で、次期首相が行う家計への追加支援のために「あらゆる選択肢」を用意していると述べた。

これに対し最大野党・労働党は、与党・保守党が「危機の規模を無視している」と批判した。

レイチェル・リーヴス影の財務相は、「家庭が家計のやりくりに不安を感じる原因であるインフレ率の上昇をコントロールしなければならない」と話した。

「しっかりと予算を費やして光熱費の上限を凍結する労働党の計画なら、今冬のインフレ率を下げられ、家庭や企業の負担を軽減できるだろう」