ジョンソン首相、退任前に大きな政策転換はしないと約束
英与党・保守党の党首辞任を表明したボリス・ジョンソン首相は7日、残された首相としての時間を使って「大きな方向転換」をすることはないと、閣僚らに約束した。一方、党内では党首選に向けた動きが始まっている。
ジョンソン氏は、閣僚らの退陣圧力に屈して党首を退くが、党が後任を決めるまでは首相職にとどまる意向。
新たに任命された閣僚によると、ジョンソン氏は「世話役」として首相を続けることに同意したという。
ただ、ジョンソン氏への支持は消滅状態にあり、一部の党議員らは同氏に、すぐに首相を辞めるよう求めている。
党首選の公式日程は来週にも決定される見通し。立候補が予想される議員らは、すでに支持集めに動いている。
党首選の期間は未定だが、9月までには新党首が誕生し、首相に就任する見通しだ。
「史上最高の内閣」
首相官邸によると、ジョンソン氏はこの日の閣議で、「大きな方向転換」や「大きな財政上の決定」をすることはないと述べた。
ジョンソン氏は閣僚らに、「首相から急進的または奇抜な新政策への支持を無理強いされることはない」と説明。一方で、「手を抜くことは許されない」と述べたという。
ジョンソン氏はまた、相次ぐ辞任による空席ポストを埋めるために任命された新閣僚らを加えた内閣について、自身にとって「史上最高の内閣」だとジョークを飛ばした。
新任のロバート・バックランド・ウェールズ担当相は、ジョンソン氏が「世話役」として首相を務めることに同意したと、BBCの番組「ニューズナイト」で説明。
「これは非常に明確なことだ。これが今日、内閣が明確に打ち出したことだ」と述べた。
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立候補予定者らの動き
これまでに立候補を表明しているのは、スエラ・ブラヴァマン法務長官と、若手のトム・トゥーゲンハート下院議員だけだ。ただ、今後さらなる立候補が予想される。
トゥーゲンハート氏は、減税を実施し、政府に「新しいエネルギーとアイデア」を持ち込むと、英紙デイリー・テレグラフの記事で約束した。
BBCの取材では、ジョンソン氏に反旗を翻したサジド・ジャヴィド前保健相とグラント・シャップス運輸相も、立候補を検討している。
リズ・トラス外相、リシ・スーナク前財務相、ジェレミー・ハント元外相らも立候補に前向きだ。
スティーヴ・ベイカー元ブレグジット担当閣外相は、立候補を「真剣に」検討していると発言。一方、マイケル・ゴーブ前レベリングアップ相とドミニク・ラーブ副首相は、立候補はしないと表明している。
首相の即時辞任を求める声
ジョン・メイジャー元首相は、ジョンソン氏が直ちに首相を辞めるべきだとの考えを示している。後任の決定まで首相を続けるのは「賢明ではない」との主張だ。
メイジャー氏は、党首選を早期に実施するか、ラーブ副首相を暫定的に首相にすべきだと党指導部に提案している。
最大野党の労働党は、議会の不信任決議によって、ジョンソン氏を直ちに首相の座から追い出すと脅しをかけている。ただ、これを成功させるには、多くの保守党議員の支持が必要になる。

画像提供, Number 10 Flickr
ジョンソン氏の党首辞任は、閣僚らが同氏のリーダーシップに大規模に異を唱えたことが決め手となった。抗議の直接のきっかけは、クリス・ピンチャー前院内副幹事長の性的問題行為をめぐる、ジョンソン氏の対応への不信感だった。
ジョンソン氏は当初、自分を見捨てた閣僚を交代させることで、退陣要求に抵抗しようとした。しかし、党の信頼を失い、続投が不可能なことが明確になった。
ジョンソン氏はここ数カ月間、窮地に追い込まれていた。新型コロナウイルス対策のロックダウン中に政府高官らが飲み会を重ねていた「パーティーゲート」問題で罰金刑を科されたことや、同問題で議会を欺いた疑惑などで、与党におけるジョンソン氏の権威は失墜していた。

<分析> ニック・アードリー政治担当編集委員
ジョンソン氏は本当に秋まで首相を続けられるのか? 7日午後時点の答えは「たぶん」だ。
一部の議員は、続投を心から嫌がっている。ここ数日の出来事に激怒し、嫌悪感が渦巻いていると感じている。首相の辞任を何とか早めたいと思っている。
しかし、みながそう思っているわけではない。首相を厳しく批判してきた人でさえ、ジョンソン氏を排除するのは困難だと感じている。党首選に向けた準備を進めている党幹部らは、アイデアや政策を議論する時間を少し確保するのは、そう悪いことではないかもしれないと言っている。
党首選の現時点での計画は、今後2週間で候補者を2人に絞り込み、夏休み中に決選投票を行うというものだ。そして、9月には新首相が誕生する。首相のファンとは言い難い議員らも、その計画を受け入れる用意があると、私に話した。
首相を早期に辞めさせるといっても、どうすればそうできるのかは不明だ。保守党には、ジョンソン氏を数週間早く追い出すためだけにクーデターを起こす気概が、まだあるのだろうか。
ジョンソン氏が内閣に対し、大きな政策転換はしないと伝えたことで、状況は落ち着くとみられる。
つまり、ジョンソン氏が9月まで首相を続ける可能性は、かなりある。












