豪総選挙で野党・労働党勝利、9年ぶり政権交代へ

Anthony Albanese celebrating with his wife and son.

画像提供, Reuters

21日に投開票が行われたオーストラリア下院(任期3年、定数151)総選挙で、アンソニー・アルバニージー氏(59)率いる野党・労働党が、スコット・モリソン首相(54)の与党・保守連合を破り、勝利が確実となった。政権交代は2013年以来約9年ぶり。

次期首相となるアルバニージー氏は歓喜に沸く支持者たちに対し、オーストラリア国民は「変化を求めて投票した」と語った。

また、人々を団結させ、社会事業に投資し、「気候をめぐる戦争を終わらせる」と誓った。

早ければ22日にも首相就任の宣誓を行う。

ただ、労働党が過半数議席を獲得できるかは依然不透明。今回の選挙では、気候変動対策を掲げた緑の党や無所属候補への支持が急上昇した。

労働党が過半数の76議席を確保できなければ、緑の党などの影響力が増すことになる。公共放送オーストラリア放送協会(ABC)は、21日時点で労働党が72議席、保守連合が55議席を獲得するとの見通しを示していた。

モリソン現首相は敗北を認め、「オーストラリア国民が起こしてくれた奇跡」に感謝した。モリソン氏は2019年総選挙で事前予想を覆して逆転勝利した時のことを「奇跡」と呼んでいた。

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画像説明, オーストラリア下院総選挙(任期3年、定数151)での暫定の獲得議席数。アンソニー・アルバニージー氏率いる野党・労働党は72議席、スコット・モリソン現首相率いる与党・保守連合は55議席となっている 出典:オーストラリア放送協会(ABC)
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「とてつもない名誉」

アルバニージー氏はシドニーで開かれた労働党の勝利パーティーで拍手喝さいを浴びた。そして、国を率いることは「とてつもない名誉」だと語った。

「私の労働党のチームは、オーストラリア国民を一つにするため日々働く。そして私は、オーストラリア国民にふさわしい政権を率いるつもりだ」

アルバニージー氏はまず、先住民族アボリジニやトレス海峡諸島民のオーストラリア国民を認め、3年の任期中に先住民族の諮問機関「議会への声」について、国民投票を実施すると改めて述べた。

また、「障害年金受給者のシングルマザーの息子として、公営住宅で育った」自分の生い立ちにも言及した。

アルバニージー氏はモリソン氏の首相としての奉仕に感謝し、モリソン氏が「非常に寛大に私の幸福を祈ってくれた」とした。

アルバニージー氏は演説後、BBCのシャイマ・ハリル豪特派員に対し、米英との安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」を強く支持していると語った。また、気候変動対策で世界のリーダーとなることを望んでいるとした。

ボリス・ジョンソン英首相は、「今後数週間、数カ月、数年にわたり、共通の課題に共に取り組み、我々の共通の価値観の重要性を示す」ことを楽しみにしていると述べた。

アルバニージー氏は日本、インド、アメリカの首脳との会談を予定しており、23日に東京入りする。

アルバニージー氏は、オーストラリアで政治家としての活動期間が最も長い人物の1人で、2013年に当時のケヴィン・ラッド政権で副首相を短期間務めた。労働党の左派の間では長年人気が高く、2019年に党首に就任してからはより中道寄りの姿勢を見せている。

「大激動の時代」

2018年に辞任したマルコム・ターンブル首相(当時)の後任となったモリソン氏は、自然災害や新型コロナウイルスのパンデミックに支配された時代に、オーストラリアを導いた。

総選挙では僅差での敗北が予想されていたが、与党連合は無所属候補に重要な議席を奪われた。選挙結果は支持の暴落を示していた。

モリソン氏は自由党党首を退任すると表明し、「大激動の時代」だったと述べた。

「オーストラリア国民がこの数年間耐えてきたことは、とてつもない人格の深みと、回復力、そして強さを示してきた」

ジョシュ・フライデンバーグ元財務相が議席を失う可能性があることから、自由党の新党首にはピーター・ダットン元国防相が有力視されている。

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画像説明, 2019年と2022年総選挙での各党の得票率。上から与党連合、労働党、緑の党、ワン・ネイション党、統一オーストラリア党。無所属候補が最も得票率を伸ばした 出典:オーストラリア放送協会(ABC)
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