コロナ対策の学校閉鎖、23カ国でなお続く 子ども4億人超に影響=ユニセフ
ブランウェン・ジェフリーズ、教育編集長

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国連児童基金(ユニセフ)は29日、新型コロナウイルスの感染流行により、23カ国でいまも学校の部分的または全面閉鎖が続き、4億500万人の生徒が影響を受けていると発表した。
ユニセフは、対面授業の半分以上を受けられなかった子どもは1億4700万人に上ると推定している。
新型ウイルスの影響を受けやすい一部の子どもたち(特に女の子)は、学校が再開された後も授業に戻っていない。
ユニセフのキャサリン・ラッセル事務局長は、子どもたちが「パンデミックの隠れた犠牲者」になっていると指摘する。
子どもは一般的に、新型ウイルスによる最も深刻な健康被害を受けにくいとされる。だが、学校閉鎖により生活は一変している。
2020年3月の時点では、150カ国が学校を全面閉鎖。さらに10カ国で部分的な閉鎖が行われていた。
それから2年が過ぎたが、19カ国で一部の学校の閉鎖が続いている。
さらにフィリピン、ホンジュラス、ソロモン諸島、南太平洋のバヌアツの4カ国では、少なくとも7割の学校が閉鎖されたままになっている。ユニセフはこの割合を全面閉鎖に分類している。
「恐ろしい運命」
「以前は文字を読めていたのに、いまは読めなくなっている子どもがいます。計算ができていた子が、計算ができなくなっている状態で学校に戻ってきています」と、ユニセフのラッセル事務局長はBBCニュースに語った。
ラッセル氏は、子どもたちが学校を中退し、大人に搾取される危険にさらされることを一番恐れているという。
「家庭が貧しかったために、労働力として働かされた子どもたちもいます」
「女の子が若くして結婚することもある。恐ろしい運命が待ち受けているのです」
フィリピンでは子どもたちが外で遊ぶことが制限されている。そのため、昨秋にいくつかの学校が再開された後も、ほとんどの生徒は家の中で過ごしている。

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クロエ・アルモジュエラ・ディキットさん(13)はオンライン授業についていこうと頑張っているという。
「授業やクラスメート、アクティビティ、学業。学校でやっていたことが恋しい」
クロエさんの父、ディオエクロ・アルビオール・ディキットさんは廃品回収で家計を支えている。
父親は娘に学校に戻ってもらいたいと考えている。授業だけでなく、社会的スキルなどを学ぶ機会を失っていることを心配しているという。「たくさんありますが、まずは人との接し方です。ほかの人と面と向かって接していないので」。
「それが1つ目です。他人とよく接することで、『これでいいのかな?』という考え方を学べるからです」
「そういう機会が本当に必要なんです」
激しい洪水
ユニセフによると、サハラ砂漠以南のアフリカでは、パンデミック以前から子どもたちの読み書きや数学の能力が最低水準だった。
ウガンダでは今年1月に学校が再開されたが、生徒の10人に1人が学校に戻らなかった。
また、多くの校舎が激しい洪水による被害を受けており、ユニセフは457の高性能テントを提供している。

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ウガンダ西部にある鉱山の町カセセにも、こうしたテントが送られた。
同地区のブレンビア小学校の教師、リリアン・ニカルさんは、「約2年間の空白期間は子どもたちに大きな影響を及ぼしました。学校が再開する頃にはたくさんのことを忘れていたので、また一から教えることになりました」とBBCニュースに明かした。
教師たちは生徒の自宅を訪問し、少女たちを学校に再び通わせるよう説得して回っている。こうした少女の中には、10代で出産した少女も含まれるという。

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現在17歳のシャロンさん(仮名)は、学校が閉鎖された2020年に妊娠した。
学校側は、シャロンさんが授業を受ける日中に、おばさんが赤ちゃんの面倒を見ていられる場所を近くに手配した。シャロンさんは1日3回の休憩をとり、授乳している。
「過ちを犯しても学校に戻れることを、ほかの女の子たちに見せたかった」と、シャロンさんは語った。
「授業中はしっかり集中しています」
「時には自分に子どもがいることを忘れてしまい、おばが迎えにきて思い出すこともあります」
シャロンさんは1年留年しているが、このまま教育を受け続けてシェフになりたいと思っている。
学校生活を経験できず
パンデミックは子どもたちの学習を遅らせるだけでなく、社会的接触や家庭以外での人生経験さえも奪っている。
トリニダード・トバゴでは世界でも最も長い間、学校の部分的閉鎖が続いた。4月に小学校がようやく再開される予定となっている。
ほかの国はなんとか授業を再開しているのに、自分たちの国では理解しがたい遅れが生じていると、いら立ちを覚える保護者もいる。
幼い子どもたちが通う学校の閉鎖が続いた一方で、ビーチやバーは再開された。
エリンさん(9)はこの2年間、学校でいろいろな経験をするはずだった。それが、自宅の寝室にある小さな机の上のラップトップを使った1日4~5時間の勉強に変わってしまった。
「時々、聞き逃してしまうことがあるけど、聞くのが怖い」と、エリンさんは話した。
「すごく控えめな性格に」
エリンさんは今年度一度だけクラスの担任に会ったが、昨年度は担任と実生活で接触する機会が全くなかったと、母親のケイト・ノートナゲルさんはBBCニュースに語った。
「2人の間に信頼関係がないので、娘はあまり自信が持てないようです」
「娘は本来、すごく積極的な子なのに、すごく控えめな性格になってしまったように思います」
エリンさんは、音楽や美術、体育などの授業はオンラインでは行われないと付け加えた。
それでも、勉強ができる静かな場所があり、電子機器やインターネットが整っているエリンさんは、そうではない子どもたちに比べて恵まれている。
深刻な不平等さ
トリニダード・トバゴのほかの保護者たちは、社会的孤立が子供にもたらす精神面のウェルビーイング(人が健康で幸せな、良好な状態にあること)への影響を心配しているとBBCに明かした。
また、子どもたちが失った学習機会を補うための国家的な計画も知らなかったという。
ユニセフが122カ国からデータを集めたところ、教育を回復させるための計画を発表しているのはこのうちのわずか60%で、こうした計画が十分に真剣に受け止められていないことが示された。
新型ウイルスの流行が、子どもの教育へのアクセスにおける深刻な不平等さを露呈し、拡大させたと、ユニセフは警告している。
国際的取り組み
ユニセフは、人生のチャンスが損なわれる破壊的な連鎖反応を避けるため、より大規模な投資を行うよう呼びかけている。
教育分野に割り当てられる海外開発援助の割合は、世界的には2019年の8.8%から2020年には5.5%にまで減少した。
ユニセフのラッセル氏は、世界中の教育当局が計画を立てなければならないとしつつ、教育の回復を支援するため、国際的な取り組みも必要だと述べた。
「こうした子どもたちが生き生きと成長できるように、私たちは真剣に彼らの面倒を見る必要がある」






