ロシアがウクライナ4都市にロシアへの「人道回廊」発表、ウクライナ反発 交渉続く

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ロシア国防省は7日、侵攻しているウクライナの首都キーウ(キエフ)など4都市で、市民らの「人道回廊」を設定すると発表した。モスクワ時間の同日午前10時(ウクライナ時間同9時、日本時間午後5時)から停戦を実施するとした。ウクライナ側は、人道回廊の目的地がロシアやベラルーシになっていると反発している。そうした中、3回目の停戦協議と外相会談が近く開かれる見通しとなった。
ロシア国防省によると、民間人避難のための人道回廊を設けるのは、キーウ、東部ハルキウ(ハリコフ)、南東部マリウポリ、北東部スーミの4都市。いずれもロシア軍が大がかりな侵攻作戦を進めている。
マリウポリでは週末にかけて2回にわたって市民の避難が試みられたが、ともに失敗に終わった。ウクライナ当局は、停戦で合意した時間帯に、ロシアが同市で砲撃を続けたとした。
3回目の停戦協議と外相会談
ウクライナとロシアによる3回目の停戦協議が7日午後、ベラルーシで開かれた。交渉開始に先立ち、ウクライナ交渉団のミハイロ・ポドリヤク氏は、「我々は間もなく、民間人への大規模暴力に説得力があると真剣に信じる国の代表と、協議を始める。決してそんなことはないと、証明してみせてほしい」とツイートした。
一方、ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相と、ウクライナのドミトロ・クレバ外相が、10日にトルコのアンタルヤで会談することが見込まれている。
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ロシア提案の6ルート
ロシアの国営通信社RIAによると、ロシアが7日に設定するとした避難ルートは6つある。うち4つは、ロシアかその同盟国のベラルーシが目的地になっている。
キーウからの避難路はベラルーシ南東部ゴメリを目指すもので、ゴメリからさらに航空機でロシアに移動する。
ハルキウから避難する人が使える人道回廊は、ロシア西部ベルゴロドに通じるルートのみ。ベルゴロドからは空路か陸路、鉄道でさらに移動する。
マリウポリの避難民は、ロシア南部のロストフ・ナ・ドヌーに移動し、そこから航空機か自動車、列車で、選択した目的地か一時的な収容場所に移る。または、ウクライナ南東部ザポリッジャ(ザポロジエ)に向かうこともできる。
スーミからは、ロシア・ベルゴロドに行き、そこからさらに何らかの交通手段で移動を続ける。また、ウクライナ中部ポルタヴァへと続くルートも用意される。
ウクライナの別の都市に避難できるのは、比較的人口の少ないマリウポリとスーミからだけに限定されている。
当局は声明で、ロシア軍が「ドローンを利用するなどして、避難を途切れることなく客観的に管理」するとした。

ウクライナ側は反発
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の報道官は、ロシア側の人道回廊の提案を「完全に道義に反する」と批判。ウクライナ国民は国内を通って避難が認められるべきだとした。
また、ロシアについて、「人の苦しみをテレビの絵作りに利用」しようとしていると述べた。
ウクライナのイリナ・ヴェレシュチュク副首相も、ロシアが提案した6ルートについて、「受け入れられない」とした。
「私たちの国民は、ロシア連邦へ行かされるために、わざわざキーウからベラルーシまで行ったりしない」
ヴェレシュチュク氏はさらに、アメリカ、イギリス、フランスに対し、避難路の設定を支援するよう求めた。

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英仏もロシアへの「人道回廊」を非難
イギリスの外務・英連邦・開発省(FCDO)のジェイムズ・クレヴァリー欧州・北米担当閣外相は、一時的に停戦して民間人をベラルーシかロシアに避難させるロシアの計画を、「信じられないほど冷笑的だ」と評した。
クレヴァリー氏はBBCの朝の番組に出演。「いま自分の国を破壊している国へ、避難するよう提案するなど、ばかげている」と述べた。
ロシアの新たな人道回廊の提案については、フランスのエマニュエル・マクロン大統領の働きかけを受けたものだとの情報が流れた。
しかし、仏メディアBFMTVによると、マクロン氏はロシアに通じる人道回廊を要求したことはないと主張しているという。
仏大統領府は、「大統領はウラジーミル・プーチンと協議後、ロシアへの回廊を要求も獲得もしていない」、「大統領は民間人を退避させ、支援の輸送を認めるよう主張している」とした。
その上で、「プーチンはまた自らの主張を前面に出し、ウクライナこそ侵略者で、自分たちこそあらゆる人に安全な避難先を提供しているのだと、そういう文脈の物語を推し進めている」と述べた。
人道回廊に「地雷が埋められていた」
赤十字国際委員会(ICRC)のドミニク・シュティルハルト事業局長は、ウクライナとロシアが人道回廊について「具体的かつ実行可能で詳細な」合意に至っていないのが問題だと、BBCのラジオ番組で話した。
シュティルハルト氏によると、先週末のマリウポリの人道回廊をめぐっては、双方が「原則論で」合意したものの、ルートや避難対象者の詳細を詰めていなかった。そのため、合意はすぐに破綻したという。
また、ICRCの職員が6日、合意されたルートに沿ってマリウポリから脱出しようとしたところ、「指示された道路には地雷が設置されていた」ことに気づいたという。
シュティルハルト氏は、「そうしたことがあるから、私たちが現地で(人道回廊を)円滑に進めるためには、両当事者が細かい点まで合意することが非常に大事だ」と話した。
(英語記事 Ukraine live updates)










