ドイツの殺人事件にロシア政府関与か 外交官2人を追放へ

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ドイツ政府は15日、ロシアの駐独外交官2人を国外追放すると発表した。2019年に首都ベルリンの公園で起きた殺人事件をめぐり、ロシア人被告に終身刑が言い渡されたことを受けた措置。この殺人は、ロシア政府の指示によるものとされている。
終身刑の判決を受けたのは、ヴァディム・クラシコフ被告。2019年8月、ベルリン市内の公園で、ジョージア国籍のゼリムハン・ハンゴシュヴィリ氏に至近距離から発砲し、殺害した罪に問われていた。
当時40歳だったハンゴシュヴィリ氏はチェチェン出身で、第2次チェチェン紛争の独立派の司令官だった。
今回の判決は、ドイツとロシア間の緊張をさらに高めるとみられている。
ドイツのアナレラ・ベアボック外相は、裁判によってハンゴシュヴィリ氏殺害が「ロシア連邦当局の指示によるもの」で、ドイツの法律と主権を著しく侵害するものだと判明したと語った。
一方、駐独ロシア大使のセルゲイ・ネチャイエフ氏はこの判決を、「政治的な目的のための裁定」だとして受け入れない考えを表明。ドイツ外務省に召喚され、外交官2人を追放する方針を告げられたと語った。

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ハンゴシュヴィリ氏は2000~2004年、チェチェン独立派の司令官として民兵を率いていた。
2016年からドイツに亡命を求めて移住。殺害された当時は、トルニケ・カフタラシュヴィリという名前で生活していたという。
検察当局によると、クラシコフ被告は2019年8月23日、ベルリンのティエルガルテンを歩いているハンゴシュヴィリ氏に背後から自転車で近付き、サイレンサーの付いたピストルを発砲。胴体と頭に銃弾を撃ち込んで射殺した。クラシコフ被告は事件直後に逮捕された。
検察側は、クラシコフ被告がロシアの情報機関、連邦保安局(FSB)の特別部隊に所属しており、政府の指示で殺害を行ったと述べた。
またクラシコフ被告は、「ヴァディム・クラシコフ」という名前のパスポートでモスクワからまずパリに飛び、さらにワルシャワを経由してベルリンに到着していたとした。
これに対し弁護側は、クラシコフ被告は建築作業員だと説明。被告は自分の名前は「ヴァディム・ソロコフ」だと述べ、クラシコフという名前は知らないと話した。
しかし判事は、クラシコフ被告がロシア当局の指示で活動していたことを確信していると述べた。
「政府が抹殺を指示した」
判決文を読み上げたオラフ・アルノルディ判事は、「ロシア政府当局は被告に対し、被害者を抹殺するよう指示した」と指摘した。
「一部のメディアは、ロシアやウラジーミル・プーチン(ロシア大統領)までもがこの裁判にかけられていると報じている。それはミスリードで、被告人席に座っているのは被告だけだ。だが、我々の仕事は、犯罪の状況を考慮することでもある」
ロシアはこれまでも、チェチェンからの亡命者の死亡と関係しているとされてきた。
2004年にはカタールで、チェチェン独立派の指導者だったゼリムハン・ヤンダルビエフ氏の殺害に絡み、ロシア人2人が有罪判決を受けている。2人はロシア政府の指示で活動していたとされ、終身刑を言い渡された。

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ロシア政府は以前、ハンゴシュヴィリ氏殺害計画を否定し、こうした疑惑は「全く根拠のないもの」だと批判している。
ドイツは事件から数カ月後にも、ロシア政府の関与が疑われるとしてロシア人外交官2人を追放。ロシアも同様の措置で報復した経緯がある。
ロシアは現在、ウクライナ国境に軍部隊を集結させている。ドイツで発足したばかりのオラフ・ショルツ政権は、ロシアに対して厳しい態度で臨むと述べている。今回の外交措置は、新政権のこうした方針を反映したものとなった。







