中国テニス選手のメール、「WTAは無視した」 友人名乗る男性が非難

Shuai Peng of China in action during her Women's Singles first round match against Nao Hibino of Japan on day two of the 2020 Australian Open at Melbourne Park on January 21, 2020 in Melbourne, Australia

画像提供, Fred Lee

画像説明, WTAのトップにメールを送ったとされる彭帥さん。メールは無視されたと、彭さんの「友人」が非難している

中国のテニス選手、彭帥さん(35)の安否が気遣われている問題で、彭さんの関係者だという男性が女子テニス協会(WTA)について、彭さんのメールを無視したと非難した。

WTAを批判している男性は、丁力さん。スポーツ大会の開催や選手のマネージメントをする会社の重役だと報じられているが、詳細はわかっていない。彭さんの友人だと自ら説明しているが、そうした関係性も不透明だ。

丁さんは、彭さんがWTAのスティーヴ・サイモン最高経営責任者(CEO)にメールを送っていたと主張。スクリーンショットをツイッターに投稿した

そのメールには、「現時点では気持ちを乱されたくない。特に、私の個人的なことを大げさにしないでもらいたい。静かに暮らしたい。あなたの気遣いに感謝する」と書いてあった。

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丁さんはBBCのメール取材に対して、サイモンCEOは彭さんのメールを受信したのに、彼女を「避けた」と説明した。

また、サイモン氏は彭さんの連絡先を、テニス選手とメディア関係者ら10人以上に知らせたとした。そのため彭さんには電話が次々とかかってくるようになり、「困ってしまった」と主張した。

そしてそのことが、彭さんがサイモン氏と話をしなかった「とても大きな要因」になったと述べた。

国営メディアと同じ説明

WTAは、彭さんの安全を示す証拠を出すよう求める活動の先頭に立ってきた。

丁さんは彭さんについて、北京におり、「移動の自由」があると説明した。また、「監視や圧力は皆無で、罰もまったくなかった」と主張した。

BBC記者が彭さんと話をしたいと求めると、「彼女は自宅で独りゆっくり休むことだけを希望している」と返答。彭さんが公の場に姿を見せないことについて、国営メディアと同じ言葉で説明した。

ただ、WTAや国連、米政府など多くの機関が、そうした説明を疑問視している。セリーナ・ウィリアムズ、大坂なおみ、ノヴァク・ジョコヴィッチの各トップテニス選手たちも、彭さんの居所に関する情報を出すよう求めている

「当局は調査していない」

中国で有力政治指導者に対し、性暴力の訴えがなされたのは初めて。中国の#MeToo運動としては、最も注目を集める事案となっている。

しかし丁さんは、彭さんの告発について、当局が調査などの対応を一切していないと述べた。その理由として、彼女がWTAへのメールで「性的暴行はなかった」と書いたからだとした。

だが、彭さんが今月2日にウェイボーに投稿した際には、張前副首相にセックスを強要されたとはっきり書いていた。

中国政府は、彭さんに注目が集まることに反発している。特に、国営メディア側が彼女の無事を表すものとして写真や動画を公表したにもかかわらず、その信ぴょう性を疑われたことに不快感を示している。

WTAは最近公表された動画について、「彼女の健康と、検閲や圧力のない状態で連絡を取り合うことができるのかについて、WTAは懸念を抱いているが、それを和らげも解消もしない」とした。

WTAは大会取りやめを示唆

彭さんの問題をめぐり、WTAは中国でのビジネス中止の可能性も示している。中国では来年、WTAの10大会が予定されており、中止は多大な影響が出る。

そうした大会の1つ、武漢オープンは、新型コロナウイルスの流行発生後に初めて、テニス選手たちが同市に戻る大会となる予定だ。

中国は数日前に、「意図的かつ悪意をもって(この問題を)誇大に扱うのはやめるべきだ。まして政治問題化するのは認められない」との声明を発表した。

(追加取材:テッサ・ウォン、BBC中国)