米中首脳がバーチャルで「対面」会談 台湾情勢など協議

U.S. President Biden speaks virtually with Chinese leader Xi from the White House in Washington

画像提供, Reuters

画像説明, バイデン米大統領はホワイトハウスから、中国の習主席とのバーチャル会談に臨んだ

ジョー・バイデン米大統領と中国の習近平国家主席は15日、バーチャル形式で初の「対面」会談を行った。バーチャル形式の会談は、台湾や貿易、人権などの問題をめぐり両国の緊張が高まる中で行われたものの、両首脳は旧知の間柄や和やかな空気を強調していた。

バイデン大統領と習主席は会談で、台湾情勢のほか、中国の新疆ウイグル自治区や香港の扱いなどについても話し合った。

両首脳の会談は、今年1月にバイデン氏が大統領に就任して以来、最も実質的な話し合いの場となった。

ロイター通信は中国国営メディアを引用し、習主席が、アメリカが台湾独立を支持することは「火遊び」するようなもので、「火遊びする者はやけどを負う」とバイデン氏に警告したと伝えた。

米ホワイトハウスによると、バイデン氏は「アメリカが『一つの中国』政策に引き続きコミットしていることを強調した」。

さらにバイデン氏は、「一つの中国」政策は両国関係の基礎で、アメリカ政府は台湾関係法などをもとにした従来の関係性の維持を重視していると強調。その上で、「現状を変更したり、台湾海峡の平和と安定を損なったりする一方的な試みに(アメリカは)強く反対する」と会談で述べたという。

アメリカはこれまで、台湾ではなく中国を承認し、中国と正式な関係を築いている。中国は台湾を分離した省とみなし、いずれは中国大陸と統一されるべきだと考えている。

ただ、アメリカは台湾が攻撃を受けた場合に、台湾の防衛を支援しなくてはならないとする台湾関係法も順守している。

バイデン氏は先月、中国が台湾を攻撃すれば、アメリカは台湾を防衛すると発言した。アメリカが台湾への防衛義務を認めることは、アメリカが中台関係について長く維持してきた「戦略的あいまいさ」方針からの明らかな離脱を意味する。

会談の雰囲気

会談は、両首脳が互いを温かく歓迎して始まった。習氏は「旧友」のバイデン氏に会えてうれしいと述べた。

バイデン氏も、「(会談を)もっとフォーマルに始めるべきかもしれないが、あなたと私がそれほど堅苦しい間柄だったことは1度もないので」と述べた。

そして、お互い「常に、非常に正直で率直なコミュニケーションを取ってきた」とし、「私たちは相手が何を考えているのか分からないと感じながら、その場を離れるようなことは決してない」と付け加えた。

習氏は両国が「コミュニケーション」を改善し、「共に」課題に立ち向かう必要があるとした。

「人類は地球村で暮らし、複数の課題に共に直面している。中国とアメリカはコミュニケーションと協力を強化する必要がある」

「私は、中米関係を良い方向に進めるため(中略)大統領、あなたと連携する準備ができている」

どんな問題が話し合われたのか

会談では貿易問題などが話し合われ、バイデン氏は「中国の不公正な貿易・経済慣行からアメリカの労働者や産業を保護する必要がある」と強調した。

ロイター通信によると、習氏は、アメリカは「国家安全保障の概念を乱用して中国企業を抑圧するのをやめる必要がある」と述べたという。

バイデン氏は新疆ウイグル自治区やチベット、香港の問題について懸念を示したが、詳細は明らかにされなかった。

両首脳は、インド太平洋地域の問題や気候変動危機、気候変動対策における米中の役割についても協議した。

米中は競合国同士でありながら、英スコットランド・グラスゴーで行われた国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で10日、気候変動対策での協力強化を盛り込んだ異例の共同宣言を発表して多くの人を驚かせた。

バイデン氏の大統領就任後に米中首脳が協議したのは今回で3回目だが、過去2回は電話での会談だった。

習氏はCOVID-19のパンデミックが始まって以降、約2年にわたり中国を離れていない。

米中関係は双方にとっても、世界全体にとっても極めて重要といえる。中国政府はドナルド・トランプ前米政権下で悪化した関係の改善を、バイデン新政権に繰り返し求めている。

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<解説> スティーヴン・マクドネル中国特派員

世界で最も有力な指導者2人が会談した。この会談が実現したという、その一点のみをとっても、これまでの敵対路線ではうまくいかないし、むしろ危険だと両政府が考えていることがわかる。

米中関係はこのところ、あまりにとげとげしいものになっていたし、機能不全にも陥っていた。そのため今回のビデオ会談は、どこか世界のホットスポットの偶発的な誤解が両国の武力衝突になだれこんでしまわないよう、相互認識を確認するための場でもあった。

しのぎを削る両国が誤解をきっかけに戦争するなど、そのような危険が遠のいたことは喜ぶべきかもしれない。他方で、戦争が起きる前に戦争から距離をおいておこうと、両首脳がその必要性を感じていたことは非常に興味深い。

実際、今回の会談で公表された映像からは、非常に和やかな空気がうかがえる。中国とアメリカの指導者がこれほど温かな雰囲気で一緒にいる光景は、久しぶりだ。

互いに手を振ったり、「地球村」や「人類の課題」について言及するなど、話し合いを友好的に進めようとする努力が見られた。今年3月に米アラスカ州で行われた初の米中高官級協議で、双方の代表が公の場で激しい応酬を繰り広げた時とは大違いだった。

米中は本気で関係を再構築しようとしている様子だ。このことから、世界の地政学的な関係に具体的な変化が起きると、期待してもよさそうだ。