イギリスは「腐敗した国ではない」と英首相 議員の副業めぐり懸念高まる

Boris Johnson

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画像説明, ボリス・ジョンソン英首相

英与党・保守党の下院議員による副業と便宜供与の関係について英政界で懸念が高まる中、ボリス・ジョンソン英首相は10日、イギリスは「腐敗した国とは程遠い」と強調した。気候変動対策を協議する国連の気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)が開かれている英グラスゴーで、記者会見を開いた際に述べた。

ジョンソン首相に近い保守党議員が副業で顧問を務めた企業のためロビー活動をしていたことが問題となり、さらに別の保守党下院議員が議会内の議員事務室で外部の有償の仕事をしていたことも発覚する中、下院議員の副業が英政界で問題となっている。

英下院議員が副業を持つことは議会規則で認められているものの、議会内で他の有償の仕事をすることや、議員としての立場を利用して議会や政府に働きかけ、報酬を得て外部に利益誘導することは、どちらも禁止されている。

与党内の「sleaze(汚職や腐敗)」を非難する見出しが連日のように新聞各紙に並ぶ状態について、COP26の記者会見で「有権者に何か言うことはあるか」と質問されたジョンソン首相は、「イギリスは腐敗した国とは程遠いと、私は心底信じているし、この国の諸機関も腐敗していないと心底信じている」と答えた。

「この国の議会制民主主義の仕組みはとてもとても強固で、しっかりした監視の仕組みもある。監視役にはマスコミもいる」

「ではどういうことかというと残念ながら、過去の下院議員が過去に規則に違反したし、現在も違反している議員もいるかもしれないと、そういう状況だ。そういう議員は適切な制裁を受けてほしい」

ジョンソン首相はこう述べた上で、イギリスでは「もう何百年も」下院議員の副業は認められてきたと指摘。議員が弁護士や医師などの仕事を続けるのは普通のことで、議員がそうして「世間を経験」することでイギリスの民主主義はむしろ強化されてきたと見解を示した。

動画説明, 英首相に近い下院議員が辞職 倫理ルールめぐる「身びいき」批判される英政府

議会規則に抵触する有償のロビー活動を続けていたと議会委員会に指摘され、結果的に辞職した保守党のオーウェン・パターソン氏の件に続き、保守党のサー・ジェフリー・コックス下院議員の副業が新たに問題となっている。コックス議員が、議会内の議員事務室で弁護士活動をする様子とされる映像が浮上したため。

元法務長官で現在も法廷弁護士として活動するコックス議員は、英領ヴァージン諸島における腐敗事件の訴訟に関わり、議員事務室からそのバーチャル審理に出席していたとされる。

議員の副業は認められているが、議員事務室など公的資産を「個人的もしくは金銭的利益」のために使ってはならないと議会規則は定めている。コックス議員は、自分の行動に問題はなかったと主張している。

Geoffrey Cox

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画像説明, 保守党のサー・ジェフリー・コックス下院議員

辞職したパターソン氏の件については、議会基準委員会が同氏を審査し、その処分を勧告したことを受けて、ジョンソン政権が基準委の審査手順そのものを変更すると今月3日にいったん議決。与党内からも厳しい批判の声が上がったため、翌4日には方針転換した。

リンジー・ホイル下院議員は10日、この顛末(てんまつ)について、議会にとって「暗い日」だったと述べ、各党の議員たちが協力して「議会をより良くするため」協力するよう呼びかけた。

野党の労働党や自由民主党は繰り返し、ジョンソン首相に混乱について謝罪するよう求め、8日には緊急審議が開かれたものの、ジョンソン首相はこれに欠席し、謝罪もしていない。

労働党のアンジェラ・レイナー副党首は10日、与党議員の行動や政府の方針転換について首相が謝罪しようとしないのは、「首相官邸とジョンソン政権と保守党を覆いつくす腐敗に、取り組もうとは特に思っていないことの証明」だと批判した。

ジョンソン氏も過去に数回、下院議員の行動基準規則に違反したことが発覚している。2019年には英南西部サマセットに区分所有する不動産について、適正な時期に申告していなかった。2018年にも著書の印税収入の申告が遅れ、謝罪するよう命じられている。