北朝鮮・寧辺の原子炉で再稼働の兆候 核兵器用プルトニウムを抽出か=IAEA

A satellite image of the Yongbyon nuclear complex

画像提供, Getty Images

画像説明, 北朝鮮の寧辺核施設の衛星写真(2019年12月撮影)

国際原子力機関(IAEA)は27日、北朝鮮が寧辺にある原子炉を再稼働させているとみられるとの報告書をまとめた。寧辺の原子炉では、核兵器用のプルトニウムが生産されているとされる。

IAEAは2009年に北朝鮮を退去させられて以来、衛星写真を使って現地の状況を検討している。

IAEAの最新の報告書によると、7月初旬から「原子炉の稼働と一致する」活動の兆候が見られたという。

また、原子炉の稼働の兆候が見られたのは、ドナルド・トランプ前米大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記がシンガポールで会談した2018年12日以降で初めてだと付け加えた。

寧辺の原子炉については、北朝鮮の兵器製造能力を把握しようと、専門家が遠隔で監視を続けてきた。

IAEAは今回の兆候について、原子炉の使用済み核燃料から兵器級プルトニウムを分離する作業をしている可能性があると警告。「深く憂慮」すべき動きで、国連安全保障理事会の決議に対する明らかな違反行為だとした。

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<解説>米政権にとって新たな頭痛の種に――ローラ・ビッカー、BBCニュース・ソウル特派員

金正恩氏は、寧辺の核施設をドナルド・トランプ氏との交渉の中心テーマに据えていた。

同施設にある5メガワットの原子炉は、北朝鮮にとって兵器級プルトニウムの主な供給源となっている一方で、多くのアナリストが施設の老朽化を指摘してきた。

制裁緩和の見返りに核施設を解体するという取引は、トランプ氏に拒否されたと報じられた。私の理解では、このことが2019年のヴェトナム・ハノイ会談の決裂につながった。

金氏は1月、核兵器のさらなる開発を約束。科学者たちが核弾頭の小型化に取り組み、戦術兵器や「超大型の水素爆弾」を開発するとした。

これまでは、北朝鮮がこれらの計画に取り組んでいることを示す兆候はほとんど見られなかった。

金政権は核開発の代わりに、同国の経済状態の悪化や食糧不足に注力してきたが、何か変化があったようだ。

寧辺の原子炉で具体的に何が行われているのか、専門家が衛星写真から正確に把握するのは難しい。それでもIAEAは報告書の中で、北朝鮮の新たな活動について「非常に遺憾」だとしている。

ジョー・バイデン米政権にとっても、新たな頭痛の種になるかもしれない。

同政権は北朝鮮との対話に応じる意向を示しているものの、北朝鮮問題を政策の優先事項として扱ってはいない。

そのため北朝鮮は、米政府にとっての自分たちの優先順位を上げさせようと、自分たちをもっと重視させようと仕向けることにしたのかもしれない。