亡命ベラルーシ人グループのリーダー ウクライナで消息不明後、遺体で発見

Vitaly Shishov

画像提供, Tadeusz Giczan

画像説明, ヴィタリー・シショフさんはウクライナ・キーウで朝のジョギングから戻らなかった

東欧ベラルーシを脱出しようとする人たちを隣国ウクライナから支援する団体のリーダーが、ウクライナの首都キーウ(キエフ)で行方が分からなくなった後、遺体で発見された。

キーウを拠点にする「ウクライナ内のベラルーシの家(BHU)」を主催するヴィタリー・シショフ氏は3日早朝、首都の公園で首を吊られた状態で死亡しているのが発見された。警察は殺人事件として、捜査を開始した。

警察は、現場からシショフ氏の携帯電話と所持品を回収したと説明。最近の同氏の生活や精神状態、生命への危険の有無などについて情報提供を広く求めている。

この前日には、シショフ氏が朝のジョギングから帰宅しないとパートナーが警察に通報していた。

BHUの同僚たちは、自宅にジョギングのウェアがなかったため、ジョギングコースにしている森を探したが、手掛かりを見つけられなかったと話している。

昨年ベラルーシを出国して以来、常に監視されていると感じていたシショフ氏は、最近は尾行されているようだと同僚に話していたという。

同僚の1人、ユーリ・シュチュチュコ氏は、自由欧州放送(RFE)の「カレント・タイムTV」に対して、警察情報として、シショフ氏の遺体は顔に殴られたような形跡があったようだと話した。

シショフ氏の死去を受けて、国連は「ベラルーシの状況に対する懸念」がさらに深まったとして、真相究明を求めた。

「警告されていた」

A view of the site where Vitaly Shishov was found dead in Kyiv

画像提供, Reuters

画像説明, シショフ氏の遺体が発見された公園内の現場(3日、キーウ)

シュチュチュコ氏によると、ウクライナ治安当局や警察はBHUに対して内々に、活動家は危険な状態にあると警告していたという。

「ベラルーシ国家保安委員会(KGB)のネットワークがウクライナで活動しているので、何があってもおかしくない、気を付けるようにと言われていた」とシュチュチュコ氏は話した。

BHUは声明で、「地元当局やベラルーシの仲間たちから繰り返し、誘拐や暗殺に至るまで、様々な挑発があり得ると警告されていた。ヴィタリーはそうした警告にストイックに、そしてユーモアでもって反応していた」と述べた。

「ウクライナ内のベラルーシの家」は、ベラルーシから逃れてきた人たちに、住む場所や仕事、法的支援などを提供すると、公式サイトに書かれている。

アレクサンドル・ルカシェンコ大統領が1994年から長期政権を維持するベラルーシでは、独裁政権に批判的な反体制派を弾圧している。大統領が6選を決めた昨年8月の選挙後、国内各地の大規模な抗議は厳しく摘発され、多くのベラルーシ人が国を脱出した。特に隣国ウクライナ、ポーランド、リトアニアを目指す人が多い。

ベラルーシの反体制派メディア「ネフタ」のタデウシュ・ギチャン記者はツイッターで2日、シショフ氏の友人たちの話として、同氏が最近、尾行されていたと書いていた。

野党指導者「衝撃」

リトアニアに亡命中の野党指導者スヴェトラナ・ティハノフスカヤ氏は3日、ベラルーシ情勢をボリス・ジョンソン英首相と協議するため訪英。BBCに対して、シショフ氏の死に「衝撃で打ちのめされている」と述べ、「ベラルーシを逃れた人たちが国を出てもなお、安全ではいられない」ことを心配した。

ティハノフスカヤ氏は、ベラルーシ政府への制裁強化を含め「複数のポイントで圧力」をかけていくよう英政府に求める方針を示した。

ベラルーシ大使館前でルカシェンコ政権に抗議する人たち(7月23日、ウクライナ・キーウ)

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画像説明, ベラルーシ大使館前でルカシェンコ政権に抗議する人たち(7月23日、ウクライナ・キーウ)

同じ2日には東京オリンピックに出場していたベラルーシの陸上女子選手が、都内のポーランド大使館に入り、人道ビザの発行を受けた。

クリスティナ・ティマノフスカヤ選手(24)は前日夜、代表チームのコーチ陣をインスタグラムで批判したことを理由に強制帰国させられそうになったと主張し、羽田空港で警察の保護を求めた。ポーランド政府は、同選手が「スポーツ選手としてのキャリアを続けられるよう必要なことはなんでもする」方針を示している。

ルカシェンコ大統領の6選に反発した昨年夏の全国的なデモには、多くのアスリートも参加した。その後、代表選手になれるだけの技量をもつ優秀な選手たちが、訓練費用を絶たれ、代表チームから外され、拘束される事態になった。

今年5月には政権に批判的なジャーナリストが乗る旅客機がベラルーシに強制着陸させられ、ジャーナリストは拘束された。