イスラエルとガザ、民間人の被害多数 米大統領が停戦支持

動画説明, ガザ地区への空爆続く ハマスはイスラエル南部にロケット弾

イスラエルとパレスチナ武装勢力の武力衝突が激しさを増す中、民間人の被害が拡大している。国際社会からは保護の必要性を訴える声が高まっており、アメリカのジョー・バイデン大統領も17日、停戦への支持を表明した。

衝突は2週目に入っているが、停戦の兆しはほとんどない。イスラエルは17日、攻撃の継続を宣言した。

パレスチナ自治区ガザ地区では、空爆後のがれきの中から子どもが救い出されている。一方、イスラエルでは、市民らがシェルターへと逃げ込んでいる。そうした場面の映像がメディアなどで流され、国際社会は懸念を強めている。

イスラエルはガザ地区における死者について、大多数が戦闘員だと主張。民間人の死は意図したものではないとしている。

ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスは、イスラエル側のこの主張を受け入れていない。

そうした中、バイデン米大統領は17日、エジプトなどの国々と停戦の実現に向けて協議していると、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に伝えた。

A Palestinian firefighter reacts as he participates in efforts to put out a fire at a sponge factory

画像提供, Reuters

画像説明, イスラエルの空爆を受けたガザ地区で消火活動に当たる人たち。イスラエルはハマスの施設を狙ったとしているが、民家などにも被害が出ている

バイデン氏が停戦支持を伝える

ホワイトハウスの声明によると、バイデン氏はネタニヤフ氏との電話会談で、「イスラエルに対し、罪のない民間人を保護するよう最大限の努力を求めた」。また、「両首脳はイスラエル軍による、ハマスなどガザ地区のテロリスト集団に対する作戦の進展について話し合った」という。

バイデン氏はさらに、「停戦への支持を表明し、アメリカがその目標に向けてエジプトなどの国々と協議していることについて話した」という。

ただ、アメリカは国連安全保障理事会で、停戦を求める声明を出すことに再び反対した。

今月10日にイスラエルとパレスチナ武装勢力の衝突が激化してから、ガザ地区では子ども61人を含め、少なくとも212人が死亡している。イスラエルの死者は、子ども2人を含め10人に上っている。

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国際社会が民間人保護求める

暴力の連鎖を受け、各国のリーダーや人道支援組織などは当事者に対し、死傷者を出さないよう強く求めている。

イギリスのボリス・ジョンソン首相は報道官を通し、民間人に被害を与えないようイスラエルに要求。同時に、「ハマスは再び、民間施設と市民を盾として利用している」と懸念を示した。

アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は、双方が民間人を保護する必要があると主張。とりわけ子どもを守ることが重要だとし、イスラエルには「民主国家としてより大きな責任がある」とした。

国連は、以前から住民が貧困状態にあるガザ地区で、インフラが被害を受けていることへの懸念を表明した。同地区には約200万人が暮らしている。国連によると、ここ数日で40の学校と4つの病院が「完全または部分的に破壊された」という。燃料も不足しており、生活の不便さが増しているという。

世界保健機関(WHO)の緊急対応責任者マイク・ライアン博士は、医療施設への攻撃は完全にやめるべきだと訴えた。

Grandmother of 15-year-old Mahmud Tolba, who was killed in Israeli air strike, mourns during his funeral in Al Zaitun neighbourhood in the east of Gaza City

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画像説明, イスラエルによる空爆で15歳の孫を失ったというパレスチナ・ガザ地区の女性

ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、イスラエルのネタニヤフ首相と協議する中で、戦闘を終わらせるよう要求した。メルケル氏の報道官によると、同氏はイスラエルの自衛権への支持を表明したという。

このほか、フランスとエジプトなども即時停戦を求めている。

今回の武力衝突は、東エルサレムで数週間にわたってイスラエルとパレスチナの緊張が高まり、イスラム教徒とユダヤ教徒の両方にとっての聖地で衝突が起きたことがきっかけとなっている。ハマスはイスラエルに対し、聖地から引き上げるよう求め、ロケット弾を発射。イスラエルは報復として空爆を実施した。

動画説明, アルジャジーラなど入居の高層ビルが空爆で倒壊 ガザ地区

シェルターに逃げ込む

イスラエルでは17日夜、またもサイレンが鳴り響き、南部とレバノン国境に近い北部にロケット弾が飛来した。

南部アシュドッドでは、集合住宅にロケット弾が着弾。数人が負傷したとされる。テクノロジー企業幹部で3人の子どもの父親のエイタン・シンガーさんは、「状況は楽ではない。7日連続で毎晩、寝たと思ったら子どもたちを起こし、シェルターに逃げ込んでいる。シェルターを見つけるまで30秒から60秒ほどしか時間はない」とBBCに話した。

A woman walks inside her parents" apartment after it was hit with a rocket fired from Gaza, in Ashdod, Israel

画像提供, Reuters

画像説明, パレスチナ武装勢力が発射したロケット弾で破壊されたイスラエル南部アシュドッドの住宅

イスラエルは、ここ1週間で3000発以上のロケット弾が同国に向けて発射されたとしている。前例のない多さだという。

ミサイル防衛システム「アイアン・ドーム」がロケット弾の90%を迎撃しているとされる。

イスラエルの救急当局によると、これまでのロケット弾攻撃で311人が負傷し、うち6人は重傷だという。

イスラエル国内では暴動も起きており、1人が死亡している。また、アラブ系市民とユダヤ人の衝突も起きており、これまでに193人がけがを負い、うち10人は重傷とされている。

「安全な場所ない」

一方、ガザ地区はこの日も、数十回にわたってイスラエルの空爆を受けた。空爆の前にはパレスチナ武装勢力が、イスラエル南部の都市に向けて多数のロケット弾を発射した。

ガザ地区の教師ハナンさん(26)は、「極めて恐ろしい」状況だとBBCに話した。

「まず家族を集め、それから安全な場所を探すが、空爆の中で安全な場所などない」

「家族が集まると、母親はいつも『死ぬならみんな一緒に死なせて』と言う」

Map showing Israel and the Gaza Strip

イスラエル軍は、パレスチナの「テロ攻撃目標」35カ所を攻撃し、ハマスの地下トンネル網を延長15キロ超破壊したと発表した。

また、空爆によって別のイスラム組織、イスラミック・ジハードのフサム・アブ・ハルビード司令官が死亡したと説明。さらに、ハマスの内部保安部門の本部を攻撃したと明らかにした。

一方、ガザ地区の当局は、イスラエルの空爆で住宅やビルが数百棟にわたり損壊し、広範囲で停電となったと発表した。けが人は累計で1400人に上ったとした。

エルサレムで取材するBBCのポール・アダムス外交問題担当編集委員は、イスラエルのガザ地区に対する攻撃はまだしばらく続くだろうと見ている。イスラエル当局は、ハマスのインフラと戦闘員に可能な限りダメージを与える攻撃を検討しているという。