英イングランドでCOVID-19の入院患者、25%近く増加

Hospital scene

画像提供, PA Media

英イングランドで4日、新型コロナウイルスによる感染症COVID-19のため478人が入院した。1日の人数としては6月初め以来、最多となった。前日は386人だったので、1日で25%近く増えたことになる。

イギリス全土では6日、新たに1万4542人の感染が確認された。1日の感染者数はここ2週間の間に3倍に増えている。

イングランドでCOVID-19のため新たに入院した人の3分の2以上が、北東部、北西部、ヨークシャーに集中している。

感染が再び拡大しているイギリスでは、スコットランドや北アイルランドを含む全国的な規制が強化されているほか、各自治体が様々な行動制限を再開している。

しかし、政府に新型ウイルス対策を助言するロンドン大学衛生熱帯医学大学院のジョン・エドモンズ教授は、パンデミックを制御するためにはさらに厳しい全国的なロックダウンが必要だとBBCに話した。

政府の非常時科学諮問委員会(SAGE)に参加しているエドモンズ教授は、イングランド北部の地域ごとの規制強化はあまり効果を出していないと説明。政府の今の「軽く厳しい」措置はただ単に「避けがたい展開を先延ばししているだけ」だと指摘した。

「病院が本格的に満員になり始めたら、非常に厳格な措置がどうしても必要になるので、いつかは必ずそういう対応をとることになる。正直言って、そういう厳しい措置は今実施したほうが、良い戦略だ」

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イングランド北部で入院急増

イングランドでは南部よりも北部で感染者や入院者の数が急増している。

北部マンチェスターでは人口10万人あたりの感染者は529人。マンチェスター大学とマンチェスター・メトロポリタン大学は、「少なくとも」10月いっぱいは授業をオンラインに限定するとしている。

同シェフィールドは人口10万人あたりの感染者は287人。シェフィールド大学でも対面授業を中断している。

同リヴァプールの感染率は人口10万人あたり487人、ニューカッスル・アポン・タインは435人。

これに対してイングランド南部の首都ロンドンは10万人あたり60人、南西部ブリストルは46人、南東部ノリッチは32人と、南北で大きな差が出ている。

イギリス全体では、陽性判定から28日以内に亡くなった人は、1日で76人だった。

4月の死者数レベルとはかけ離れているものの、イングランド北部の感染拡大を抑制できなければ、入院者数とゆくゆくは死者数が「ただひたすら増え続ける」懸念があると、BBCのファーガス・ウォルシュ医療担当編集長は言う。

Hospital admissions in England are rising again
画像説明, イングランドで新型コロナウイルスによる入院患者が再び増えている。グラフは3月19日から9月27日までの英政府統計による

日別の入院患者数が6月以来最多

イングランド全体では現在、2800人近くがCOVID-19で入院している。今年春のピーク時は1万7000人以上だった。

スコットランドでは、COVID-19患者が1日で44人増えて、262人なった。ウェールズでは政府集計によると、92人がCOVID-19を理由に入院した。ただしこの人数には、新型ウイルスの感染が疑われる人も含まれる。北アイルランドではCOVID-19による新規入院はなかった。

この間、イギリス政府はイングランドでの「6人ルール(同一世帯以外の人とまとめて会えるのは最大6人)」の継続を下院に提案し、下院は賛成287、反対17でこれを認めた。反対した中には、「理屈に合わない」個人の生活の侵害だと造反した与党・保守党議員12人もいた。

3段階の対応へ

スコットランドのニコラ・スタージョン自治政府首相は、7日に追加規制を発表する方針。ただし、今年春のような全面的ロックダウンにはならないという。

感染者が急増しているイングランド中部ノッティンガムでは、異なる世帯の人同士が直接会うことを禁止する可能性があるという。

英政府はイングランドにおいて、自治体ごとのばらばらな対応を平準化するため、新しく「3段階」方式の導入を目指していることが、BBCの取材で分かった。これによると、人口10万人ごとの感染者の数によって、自治体の対応を3段階に分ける。

レベル1は人口10万人ごとの感染者が100人未満の地域で、「6人ルール」や社会的距離の維持など、全国的なルールに従う必要がある。

レベル2は人口10万人ごとの感染者が100人超の地域で、現在イングランド北部のほとんどで実施されているように、別世帯の人たちが屋内で会うことは禁止される。

レベル3はさらに感染者が多い地域で、全面的なロックダウンの対象となる(学校やスーパー、礼拝所など生活に不可欠な場所は除く)。

ただし、感染者が急増しているイングランド北部のリーズ、リヴァプール、ニューカッスル、マンチェスターの各市長は、政府が検討する方式より「もっと細やかな対応」が必要だと反発している。

各市長は連名でマット・ハンコック保健相に宛てた手紙で、現行の規制は「効果的でなく、市民にとっては紛らわしく、(飲食店の営業を午後10時までに制限した)午後10時ルールのように逆効果のものもある」と書いた。

市長たちは地元警察や行政当局が「地元特有の知識に応じて」感染拡大に対応できるよう、権限強化を要求している。

「感染者の絶対数ではなく、地域へのもっと幅広い影響を考慮した対応が必要だ。雇用や経済活動への影響、貧困や困窮への打撃、人口グループによって異なる感染率などを考慮すべきだ」

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<解説> ニック・トリグル健康担当編集委員

これまで同様、1日の変化を深読みしすぎない方がいい。

しかしCOVID-19関連のあらゆる指標の中では、入院患者数が最も信頼できる。4日に一気に増える前から、徐々に増えつつあった。

残念ながら、感染者数は今後も増え続けるだろう。

さらにこの季節は、呼吸器系の病気による緊急入院が増え始める時期でもある。

普通の年には、12月までにインフルエンザや呼吸器系ウイルスによる入院は1日最大1000人にはなる。

COVID-19関連の患者数に、通常のこうした病気の患者数がどの程度合わさるのかが、まだ分かっていない。

入院患者が新たに一気に増えたことで、病床の約3%がCOVID-19患者によって使われていることになる。

またイングランド北部の病院が混雑し始めているという報告もある。

しかしイングランド北部以外では、病床に余裕がある。がん治療や通常の手術件数が減っているため、病床の利用率は通常より約25%少なくなっている。

一方で、医療従事者の労組は、スタッフ不足のため、患者の手当てに必要な医師や看護師の数が常に足りているわけではないと指摘する。

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