中国と西側の衝突は近づいているのか 米英豪の原子力潜水艦配備計画で

フランク・ガードナー、BBC安全保障担当編集委員

Zhang Youxia (C), newly-elected Vice Chairman of the Central Military Commission of the People's Republic of China, swears an oath with Central Military Commission members He Weidong and Li Shangfu after they were elected

画像提供, Reuters

画像説明, 中国中央軍事委員会副主席に任命された張又侠氏(中央)、何衛東氏(左)、国防相兼国務委員に任命された李尚福氏(右)

米英豪による安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」の首脳は13日、次世代原子力潜水艦の艦隊を創設する計画を明らかにした。中国は大方の予想通り、怒りをあらわにしている。

米カリフォルニア州サンディエゴで開かれたAUKUS首脳会合で発表されたこの計画は、オーストラリア、イギリス、アメリカを結束させるものだった。AUKUSはインド太平洋地域における中国の軍拡に対抗することを目的とした、広範囲に及ぶ防衛・安全保障同盟だ。

「危険な道を進んでいる」、「国際社会の懸念を無視している」、さらには「新たな軍拡競争と核拡散のリスクを冒している」。これらは、中国政府が米英豪に放った非難の言葉のほんの一部に過ぎない。

昨夏にナンシー・ペロシ米下院議長(当時)が台湾を訪問して物議を醸して以来、中国が西側の行動に対してこれほど激しく非難したことはなかった。

世界で最も人口が多く、世界最大の陸軍と海軍を有する中国は、アメリカと、西太平洋のその同盟国によって「囲い込まれた」と感じ始めているのだと主張している。習近平国家主席は最近、同国が国防費の拡大を加速させること、そして今後数年間の一番の関心事は国家安全保障であることを表明した。

イギリスのリシ・スーナク首相が今週、この先には危険な10年間が待ち受けており、増大する安全保障上の課題に対応するための備えをしておく必要があると語ったのも、不思議なことではない。

ではどのようにして、こうした状況に陥ったのだろうか。世界は、太平洋地域における中国とアメリカ、そしてその同盟国との壊滅的な衝突へと向かっているのだろうか。

西側は中国を誤解

西側諸国は中国を誤解していた。各国外務省には長年にわたり、中国の経済自由化は必然的に社会の開放と政治的自由の拡大につながるという、単純な思い込みがあった。西側の他国製企業が合弁事業を立ち上げ、何億人もの中国人がより高い生活水準を享受するようになれば、きっと中国共産党(CCP)は国民への支配を緩め、民主改革を幾分か認め、いわゆる「ルールに基づく国際秩序」のれっきとした一員になるのだろうと。

しかし、そうはならなかった。

確かに中国は経済大国となり、世界のサプライチェーンに不可欠な存在となり、世界中の国々にとって最も重要な貿易相手国にもなった。その一方で、中国政府は民主化と自由化を進める代わりに、西側諸国の政府や、日本や韓国、フィリピンといった近隣諸国の多くを警戒させる方向へかじを切っている。

例えば? 数え上げればきりがないが、中国と西側の主な争点は次の通りだ。

  • 台湾:中国は自治権を有するこの島を、必要であれば武力で取り戻すと繰り返し宣言している。ジョー・バイデン米大統領は台湾の防衛に乗り出すとしているが、アメリカの公式な方針としては、軍事行動は約束されていない
  • 南シナ海:中国は近年、その巨大な海軍を展開させ、国際法に反して南シナ海の一部を植民地化し、自国の領土だと主張している
  • テクノロジー:中国は膨大な量の個人データを密かに収集し、商業上の優位性を得るために知的財産を盗んでいると、ますます非難されている
  • 香港:中国政府はイギリスの植民地だった香港の民主主義の粉砕に成功し、活動家たちに長期の禁錮刑を科している
  • イスラム教徒のウイグル族:衛星データや目撃証言が、新疆ウイグル自治区内の収容所に最大100万人のウイグル族が強制収容されていることを示している

軍事面は

軍事において、今日の中国は侮れない存在となっている。人民解放軍は近年、技術や革新、そしてその数においても飛躍的な進歩を遂げている。例えば同国の極超音速ミサイル「東風」は、高性能爆薬や核弾頭を搭載し、音速の5倍超の速度のマッハ5を超える速さで飛行する。そのため、日本の横須賀に駐留する米海軍第7艦隊は、中国の陸上に結集するミサイル発射台にどこまで接近して航行するか、そのリスクを負う覚悟があるのか、考えあぐねている。

核弾頭を搭載した弾道ミサイルについても同様のことが言える。西部の遠隔地で新しいサイロを建設しつつ、核弾頭の数を3倍に増やすことを目標とするなど、中国はミサイル計画の急速な拡大に乗り出している。

ただ、これらは必ずしも、中国が戦争を望んでいることを意味しているわけではない。中国は戦争を望んでいない。台湾については、十分な圧力をかけて一発も撃たずに降伏させ、中国中央政府の支配に服従させることを強く望んでいる。香港やウイグル、知的財産については、世界のほかの地域にとって中国との貿易はあまりにも重要であるため、時間がたてば批判が収まることを、中国は理解している。

現在は緊張が高まっており、今後も一触即発の状況に陥る可能性はあるものの、中国と西側の双方は、太平洋地域での戦争は誰にとっても壊滅的になり得ると理解している。怒りに満ちた表現で相手を非難してはいるものの、戦争は誰の利益にもならないということを、互いに認識している。