【米大統領選2020】 トランプ氏、どんな訴訟を繰り広げているのか
リアリティ・チェック(ファクトチェック)チーム、BBCニュース

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ジョー・バイデン氏が次期大統領に宣言されたが、ドナルド・トランプ大統領はまだ、いくつかの重要州で大統領選の結果を巡って法的に争う構えだ。
トランプ氏の弁護士ルディ・ジュリアーニ氏は8日、米FOXニュースに、トランプ氏が敗北を認めるのは間違いだと述べた。その理由は、「少なくとも3つか4つ、場合によっては10の州で選挙が盗まれたことを示す有力な証拠がある」からだとした。
トランプ陣営はまだ「有力な証拠」を提示していない。しかし、いくつかの重要州で週明けの9日に訴訟を起こす予定だとしている。
これまでに以下のことがわかっている。

ペンシルヴェニア州
ジュリアーニ氏は、ペンシルヴェニア州で立会人が十分なアクセスを得られなかったと述べている。
立会人とは、開票の透明性を確保する目的で、集計作業を監視する人たちのこと。ほとんどの州では、投票日前に党員登録されている立会人は、開票所への入場が認められる。
今年は場所によっては、新型コロナウイルスへの対策などから投票日前に規制が導入された。脅威を与えるのを防ぐためとして、人数も制限された。

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フィラデルフィアの開票所では、20フィート(約6メートル)以上離れるよう設定された。しかしこれには異議が唱えられ、裁判所は5日、立会人が新型ウイルス対策を取っている場合は、6フィート(約1.8メートル)まで近づけるようにすべきだとの判断を示した。
トランプ陣営は、この裁判所命令に選管当局が背いたとして、連邦裁判所に訴訟を起こしている。
ジュリアーニ氏は、「裁判所命令が共和党の立会人に6フィートまで近づくことを認めたのに、当局は開票作業者をさらに6フィート遠ざけた」と述べた。フィラデルフィアの開票所では、20フィート(約6メートル)以上離れるよう設定された。しかしこれには異議が唱えられ、裁判所は5日、立会人が新型ウイルス対策を取っている場合は、6フィート(約1.8メートル)まで近づけるようにすべきだとの判断を示した。

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しかし選管当局は、適切に対応したと主張している。
同州のキャシー・ブックヴァー州務長官は5日、「どの候補者も、どの政党も、権限を与えられた代表者1人が開票所内で作業を監視することが認められている。フィラデルフィアを含むいくつかの裁判所の管轄区域では動画のライブ配信もされており、誰でも集計作業を文字通り見ることができる」と述べた。
ペンシルヴェニア州での訴訟は、投票日とそれ以前の消印が押され、投票日の3日後までに届いた郵便投票を集計対象にするとした同州裁判所の決定も問題視している。共和党は上訴を検討している。
超党派政策調査センターのマシュー・ワイル氏は、連邦最高裁が選挙前にこの問題をめぐり紛糾したのが何より懸念されると話す。この事態が発生したのは、トランプ氏が連邦最高裁判事に指名した保守派のエイミー・コーニー・バレット判事が承認される前のことだった。
「投票日に投函されて金曜日(6日)までに届かなかった郵便投票の一部が廃棄される恐れはあると思う」とワイル氏は言う。
ただ同氏は、「たとえ廃棄される票が出ても、それほど大量なものにはならないだろう」とし、「この問題が影響を及ぼすのは、とてつもない接戦」になった場合だけだと話した。

ミシガン州
トランプ氏は2016年の前回大統領選で、ミシガン州をわずか1万700票の僅差で制した。バイデン氏は今回の選挙で、同州での勝利が確実視されている。
トランプ陣営は4日、同州の開票作業の打ち切りを求めて提訴した。作業を監視するためのアクセスが十分ではないと主張した。
同州の裁判所は、監視に関する手順が守られなかった証拠が不十分だとして、この訴えを却下した。

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ウィスコンシン州
トランプ陣営は、ウィスコンシン州で投開票日に「異常事態が見られたことに基づき」、再集計を求めるとしている。ただ、再集計は訴訟を起こす必要はない。
再集計がいつ実施されるかは不透明だ。通常は、当局が票の確認を終えてからとなっている。
同州はこの確認作業を17日までに終えるよう定めている。
コロンビア大学法科大学院のリチャード・ブリフォルト教授によると、ウィスコンシン州では2016年にも再集計があり、「約100票(の行方)が変わった」という。

ネヴァダ州
ネヴァダ州の共和党はツイッターで、「ネヴァダ州から転出した後に不法に投票したとみられる何千人もの個人が特定されている」と発表した。
トランプ氏の法律チームは、州外に転居したのに同州で投票したとする人々のリストを作成した。
しかし、米政治情報サイトのポリティファクトが指摘しているように、このリストは不法行為の証拠にはならない。
投票日までの30日間に州外に引っ越した人は、ネヴァダ州で投票することができる。同州出身で他州の学校に通っている学生も同様だ。
注目が集まっているのはクラーク郡の投票者だが、同郡の登録担当者は、「1票たりとも不適切な投票が集計されているとは認識していない」と述べた。
これとは別に連邦裁判所は、署名確認装置の使用をやめるよう求めた共和党の訴えを却下した。共和党は、装置が正しく署名をチェックできていないと主張していた。

ジョージア州
ジョージア州チャタム郡では、票の処理に問題があるとして、開票作業を停止するよう求める訴訟が提起された。
同州共和党トップのデイヴィッド・シェイファー氏はツイッターで、女性が「未集計の不在者投票の山に50票を加え入れた」のを、同党の監視者らが見たとした。
同州の裁判所は5日、不適切な票の交ぜ合わせの「証拠は全くない」として、この訴えを却下した。

アリゾナ州
トランプ陣営は7日、一部の正当な票が除外されたとして、アリゾナ州で訴訟を起こした。
訴えでは、何人かの選挙監視者と2人の投票者が、投票機に問題があったと申告していることに基づいている。
訴訟は現在、審査されているが、同州の州務長官は「わらをもつかむ」ものだと述べた。

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最高裁まで行く?
トランプ氏は4日未明、証拠を示さずに投票で不正があったと主張。「我々は連邦最高裁まで行く」と述べた。
選挙結果が争われた場合、まず州裁判所に訴える必要がある。
州裁判所が訴えを認め、再集計を命じて初めて、連邦最高裁に訴えることが可能になる。
ブリフォルト教授は、「選挙上の係争を最高裁に持ち込むための、標準手続きはない。かなり珍しいことで、重大な問題に関するものでなくてはならない」と話す。
米史上、連邦最高裁で決着がついた大統領選は2000年にあったものだけだ。
その年の大統領選では、民主党のアル・ゴア氏が投票総数約600万票のフロリダ州で537票差で敗れ、選挙全体の敗者となった。
その後、大きな論議を呼んだ再集計が1カ月以上続き、連邦最高裁が共和党のジョージ・W・ブッシュ氏の主張を受け入れる格好で、再集計の打ち切りを決定。ブッシュ大統領が誕生した。










