武漢は今……ゴーストタウンから満員の音楽フェスまでの半年

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数千人が水辺で肩を並べている。見渡す限りマスクをしている人はいない。音楽フェスが続く中、ゴムフロートの上ではしゃいだり歓声をあげたりしている。
2020年とは思えない光景だが、これが2019年末に新型コロナウイルスが世界で最初に流行した中国・武漢市の、先週末の様子だ。
武漢瑪雅海灘水上楽園の音楽フェスに集った人々の写真は、新型ウイルスによる感染症「COVID-19」のアウトブレイクと今なお闘う他の国々の様子とあまりにかけ離れており、世界中で注目を集めた。

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今年1月に武漢が世界で初めて新型ウイルス流行によるロックダウン(都市封鎖)を行った際、私たちが見たのは住民や車のいなくなった、ゴーストタウンの写真だった。
ロックダウンは4月に解除された。5月半ば以降、武漢を含む湖北省では市中感染は起きていない。
ゆっくりと日常へ
武漢が前例のないロックダウンに入ったのは1月23日。この時新型ウイルスの感染者は400人以上、死者は17人だった。
この1週間前、中国当局はこの新型ウイルスが人から人に感染するものだと発表したばかりだった。

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人口1100万人の武漢は完全に、残りの中国から遮断された。それから数カ月、数千人の住民が検査を受け、隔離された。大規模な集会はキャンセルされ、住民は人の集まりを避けるよう指示された。
まず、各世帯から1人ずつ、最長2時間の外出が認められた。
ショッピングモールの営業が再開し、公共交通機関も稼動し始め、人々は徐々に外に出るようになった。それでも、他人と距離を取る施策は続けられ、マスクの着用も義務付けられていた。
結婚を数カ月先延ばしにされていたカップルが、こぞって式を挙げ始めた。

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学校や企業活動も再開され、交通機関が動くようになって、しばらくの間は日常が戻って来るかのように思われた。

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武漢市はすぐに、住民1100万人全員を検査するという野心的な方針を発表。このアウトブレイクは間もなくおさまった。
6月までには、小さな通りに小さな店がひしめく夜市も再開が許可された。
1カ月後の7月には、中国のほとんどの地域に日常生活が戻った。多くの街で映画館が再開し、公園や図書館、博物館といった場所も、収容人数を半分にすることで営業が始まった。より大きな集会も開かれるようになった。

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そして現在、武漢では日常生活が完全に戻ってきたように思える。この週末に水上音楽フェスに参加した人たちの写真で分かるのはこの一点だけだ。主催者はできるだけ多くの参加者を募るため、女性観光客の入場料を半額に設定していた。
フェスの行われた武漢瑪雅海灘水上楽園のある武漢歡楽谷は、6月25日に営業を再開した。しかし副支配人によると、来場者が増えだしたのは8月に入ってからだという。
武漢歡楽谷の来場者数は、この週末に1万5000人だった。これは昨年の同じ時期の約半数だ。
中国のソーシャルメディアでは、武漢でこのような大規模イベントが許可されていることに驚く声も上がった。ツイッターやフェイスブックでも、警戒するコメントが寄せられた。
しかし武漢では5月半ば以降、市中感染が起きていない。また、これまでに市内の約990万人が検査を受けている。大規模集会を禁止する条例も出ていない。
一方、オーストラリア国立大学のサンジャヤ・セナナヤケ准教授(感染症専門)は、住民の大半が検査を受けているとはいえ、新型ウイルスがどこからか入り込んでくるリスクはなおあると指摘している。
「我々はCOVID-19を撲滅できていない。それが問題だ。つまり撲滅されていない限りは、海外などからウイルスが入り込むリスクがあるということだ」
セナナヤケ氏は、ニュージーランドを例に挙げた。ニュージーランドでは3カ月以上、市中感染がなかったが、先週になって新たな集団感染が報告された。
「またロンドンでの研究によると、ウイルス保持者の1~2割が、感染例全体の8割に関わっているという」
こうしている間にも、新型ウイルスはなお猛威を振るっている。米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、8月19日の時点で2200万人以上が感染している。ニュージーランドや韓国のように、ウイルスを押さえ込めたとされていた国でも、新たな感染者が報告されている。
他の国々で混雑したイベントが開けるようになるには、まだまだ時間がかかりそうだ。
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