ハマス、交渉は「振り出しに戻る」 イスラエルの軍事行動と提示条件を非難

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パレスチナ自治区のイスラム組織ハマスは8日、停戦と人質解放の交渉が「振り出しに戻る」可能性があると警告した。イスラエルがガザ地区で新たな軍事作戦を実施し、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が交渉で譲歩しない姿勢を取っていることが原因だとしている。こうしたなか、ガザでは避難場所の学校への空爆が相次いでいる。
双方の交渉をめぐっては、ハマスが先週、恒久的な停戦が前提条件だとする要求を取り下げ、打開への期待が高まった。
しかし、10日にカタールで間接協議が再開されるのを前に、ハマスは8日夜に声明を発表。イスラエル軍がパレスチナ人に対する「虐殺、殺害、強制移動」を続けていると主張した。
そして、ドーハにいるハマスの政治指導者イスマイル・ハニヤ氏が「ガザ市やラファ、その他のガザ地区各地で起きていることの悲惨な影響について警告するとともに、それが交渉を振り出しに戻す可能性があると指摘した」とした。
ハマスは別の声明で、ネタニヤフ氏が「交渉における新たな障害を作り出した」と主張。同氏がいかなる合意においても、イスラエル軍の戦闘再開を認めることなどを原則として提示したとしている。
イスラエルは、すぐにはこれに反応していない。アメリカとパレスチナの当局は、ハマスとイスラエルの公なコメントは重要なものではないとしている。
報道などによると、イスラエル軍の戦車と部隊は8日、ガザ市の中心部に侵入。パレスチナ人の住民数千人が避難した。
イスラエル軍は、ハマスと武装組織イスラム聖戦のインフラに関する情報に基づいて8日に作戦を開始し、「テロリスト数十人」を殺害したと発表した。
一方、パレスチナの保健当局は、ガザ各地で9日にイスラエル軍の空爆があり、少なくとも18人が殺害されたとした。

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ネタニヤフ氏は今月4日、イスラエルの担当者に交渉の再開を指示した。5月末にアメリカのジョー・バイデン大統領が示した合意案をめぐり、ハマスが恒久的な停戦の要求を取り下げたことを受けたものだった。
しかし、イスラエル首相官邸は7日、いかなる合意も四つの原則を盛り込む必要があるとする声明を発表。その一つは、イスラエルが「戦争のすべての目的を達成するまで戦闘を再開できる」という、ハマスが以前から拒否していたものだったことから、交渉打開の機運はしぼんだ。
四つの原則はそのほか、エジプトからガザへの武器密輸の禁止、武装戦闘員のガザ北部への帰還の禁止、人質解放の最大化――となっている。

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米ホワイトハウスのジョン・カービー戦略広報担当調整官は、イスラエルとハマスの立場にはまだ「いくらかの溝」があると認めた。
ただ同時に、そうした溝は埋められると考えるからこそ、ウィリアム・バーンズ米中央情報局(CIA)長官やブレット・マクガーク米中東特使が8日にエジプト・カイロに向かい、同国とイスラエル、ヨルダンの担当者と会談するのだと強調した。
避難場所の学校への攻撃相次ぐ
こうしたなか、ガザ南部の学校付近にある避難場所がイスラエル軍に空爆され、少なくとも29人が死亡、数十人が負傷した。病院当局が9日、発表した。
ハマスが運営するガザ保健当局によると、ハンユニス市の東にある町アバサン・アル・カビラの学校の門のわきに砲弾が落ちた。
攻撃は広い範囲を破壊し、女性や子どもも死亡した。一帯には遺体の一部が散乱し、学校のそばのテントの中にいた人々も多数負傷した。
現地の病院とされる映像には、床の上に十数人を超える死者と重傷者が映っている。子ども数人も含まれている。
イスラエル軍は、「ハマス軍事部門のテロリスト」を標的に「精密兵器」使用したと発表。学校付近で「民間人が被害を受けたという報告について調べている」とした。

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避難場所となっている学校やその付近が攻撃されたのは、ここ4日間でこれが4回目。ガザ中部ヌセイラト難民キャンプの国連運営の学校が6日に砲撃された際には、16人が殺害されたと、ガザ保健当局は発表した。
イスラエル軍はそれら最初の3回の攻撃について、ハマスの政治家、警官、戦闘員らが学校を拠点にしているためだと主張した。
イスラエルは、昨年10月7日に南部をハマスに攻撃され、約1200人が殺害され、251人が人質に取られたのを受け、ハマスを壊滅させるとしてガザで軍事作戦を開始した。
以来、ガザでは3万8240人以上が殺害されたと、ガザ保健当局は発表している。











