【解説】 中朝ロの3首脳が集結、どんな意味があるのか 特派員らが読み解く

3人とも濃い色の上下そろいの服を着て横並びに歩いている。習氏と金氏は笑顔を見せている。プーチン氏は左手で上着の第1ボタンの上あたりを触っている

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画像説明, 肩を並べて歩く(左から)ロシアのプーチン大統領、中国の習国家主席、北朝鮮の金総書記(2日、中国・北京)

中国・北京で3日、第2次世界大戦における日本の正式な降伏から80年の記念式典と軍事パレードが開かれ、中国の習近平国家主席、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記がそろって顔を合わせた。このかつてない出来事に、どんな意味があるのか。特派員らが解説する。

中国、そして世界で長く記憶されるイメージ

ローラ・ビッカー中国特派員

中国のテレビ放送で、プーチン大統領、習国会主席、金総書記が並んで歩いているのを見る人たち

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この日の軍事パレードで最も印象的だった光景の一つは、最初の礼砲が発射される前に見られた。習氏が金氏を長い握手で迎え、続いてプーチン氏にあいさつすると、3人は並んで歩き、パレード観覧へと向かったのだ。

まさに政治的なパフォーマンスだった。そして、パレードで披露された兵器や兵士ではなく、この3首脳の集結こそが、アメリカのドナルド・トランプ大統領の気を引いたとみられる。

3者が公の場でそろって姿を見せたのは初めてだった。そのタイミングは、まさに絶妙だった。その後には、精密さ、力強さ、愛国心を演出した、見事なスペクタクルが続いた。

合唱団は完璧に整列し、兵士らは一糸乱れず行進した。地面を踏み鳴らす音は、天安門広場に集まった5万人の観衆のスタンドに響き渡った。

そして、大型兵器が登場した。新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)、レーザー兵器、犬型ロボット——。観衆はスマートフォンを取り出した。軍事パレードは、観衆を沸かせる飛行展示で幕を閉じた。その後、数千羽のハトと風船が首都の空へと放たれた。

第2次世界大戦終結80年を記念したこの行事は、中国の歩みや発展の軌跡を示すだけではない。中国の行く末を示したのだ。習氏は、世界でも最も厳しい制裁を受けている指導者2人の隣に立つ覚悟をもつ、世界的リーダーの役割を演じたのだった。

そして彼の足元には、西側諸国に対抗すべく構築を進めている軍隊が控えている。

金氏には大舞台、プーチン氏や習氏と対等だとアピール

ジーン・マケンジー・ソウル特派員

中国の習主席を挟んで、ロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金総書記の3人が集まっている

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金氏がこの日の軍事パレードでこれほどの待遇を受けたのは、驚くべきことだ。

金氏は習氏とプーチン氏と並んで天安門広場に入り、彼らと並んで席に着いた。3人が気さくに言葉を交わす場面も見られた。

金氏は長年孤立し、世界の厄介者として扱われ、嘲笑すらされてきた。その人物がこの日は、2人の世界的に非常に有力な指導者らとほぼ同等の地位まで引き上げられたのだ。

世界の指導者らが集う国際行事に出席するのは、金氏にとって今回が初めてだ。彼が北朝鮮を離れることはめったになく、外国を訪れたとしても通常は一対一で首脳と会談する。

金氏が慣例を破ってこの日のパレードに出席したのは、習氏やプーチン氏と対等な立場で並び立つ機会を得るということが、動機の一部だったのは間違いない。

これらの指導者らは、西側、とりわけアメリカに向けて、明確なメッセージを発している。3人は今や緊密に連携している――というものだ。

トランプ氏は不在、習氏が主役……西側諸国にとっての意味

ジェイムズ・ランデイル外交担当編集委員

中国は戦勝80年の節目に、その地政学的な力と軍事力を誇示した。これに、西側諸国の指導者は驚きはしないだろう。

習氏が長らく、自らを新たな世界秩序の中心に据えようと模索してきたのは周知の事実だ。習氏は第2次世界大戦後に確立され、今や崩壊しつつある国際システムに代わる世界秩序を構築しようとしてきた。

しかし、西側の外交関係者の背筋を凍らせるであろう事態が二つ起きている。

一つは、アメリカが国際規範や国際機関から距離を取ったことで生じた空白を、中国が驚くべき速さで埋めていることだ。領土保全や人権よりも、むき出しの権力と経済発展が重視される中国主導の世界秩序は、多くの西側諸国にとって居心地の悪いものとなるかもしれない。

もう一つは、アメリカの厳しい関税措置が、世界最大の民主主義国家であるインドを、世界最大の専制国家である中国にこれほど急速に近づけていることだ。高関税に直面するインドに、中国は融和的な姿勢を見せている。これも、西側諸国にとっては懸念材料となるだろう。

西側諸国にとって、少しばかりの慰めになるとすれば、いわゆる「動乱の枢軸」が一枚岩ではないということが今回の式典で分かったことだろう。特にインドは、領土問題などをめぐり、中国と依然として対立している。

結局のところ、トランプ氏率いるアメリカが推進する経済ナショナリズムと破壊的結果をもたらしかねない外交が、中国にとてつもない外交機会をもたらしている。そして、習氏は首脳会談や軍事パレードを行い、この機会を喜んで生かそうとしている。

トランプ氏に明確なメッセージを発信

スティーヴ・ローゼンバーグ・ロシア編集長

今週、中国で繰り広げられた外交(と演出)は、トランプ政権に明確なメッセージを送るために設計されたものだった。

「アメリカを再び偉大にしたいのか? 『アメリカ・ファースト』を選ぶのか?」と。

「それならば我々は、アメリカ主導の秩序に代わる選択肢を提示しよう」と。

天津で2日間にわたって開催された上海協力機構(SCO)首脳会議で、中国、ロシア、インドの首脳たちが笑顔で登場して見せたのは、そうしたメッセージを伝えるためだった。

プーチン氏が習氏を「真の友人」と呼び、習氏がプーチン氏を「古くからの友人」と呼んだのも、そのためだ。

そして3日の軍事パレードで、習氏、プーチン氏、金氏がそろって姿を見せたのも、それが理由だった。

動画説明, 中国が軍事力を誇示、朝ロ首脳も出席 戦勝80年記念式典を1分半で

簡単にまとめると、地政学的な世界では、さまざまな勢力がアメリカの支配に対抗するために結束しつつあるということになる。もちろん、これらの国々や指導者たちが100%完全に足並みをそろえているわけではない。意見の相違は残ったままだ。

しかし、彼らが進もうとしている方向は明白だ。今週、ロシア紙コムソモリスカヤ・プラウダは、中国、ロシア、インドの3カ国を指して、ある見出しをつけた。

それは、「我々は新たな世界を築く」だった。