中国で戦勝80年の記念式典と軍事パレード、プーチン氏と金氏が参加 最新ミサイルの披露も

動画説明, 中国が軍事力を誇示、朝ロ首脳も出席 戦勝80年記念式典を1分半で

第2次世界大戦における日本の正式な降伏から80年を迎えた3日、中国の北京で記念式典と軍事パレードが行われた。式典にはロシアのウラジーミル・プーチン大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記など、26カ国の首脳が出席した。

中国の習近平国家主席とプーチン大統領、金総書記が一堂に会したのは、確認されている限り今回が初めて。習主席にとっては外交的影響力を誇示し、中国がアメリカに匹敵する力を持ちつつあることを示す機会となった。

式典が始まると、ドナルド・トランプ米大統領がソーシャルメディアで反応を示した。

道沿いに整列した迷彩服姿の中国軍隊の前を、習主席が乗った黒い車が走っている

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画像説明, 軍隊を観閲する習主席

現地時間午前9時(日本時間同10時)から始まった式典では、国歌斉唱に続き、習主席が演説した。会場では約5万人の招待客が参加した。一人ひとりに中国国旗が配布され、式典開始前から招待客らは一斉にそれを高く掲げて振った。

その後に始まったパレードでは、各種軍事装備が披露された。専門家によると、新型核弾頭を搭載できる大陸間弾道ミサイル(ICBM)が含まれていたという。記念式典は、「歌唱祖国」の合唱で締めくくられた。この楽曲は、中国の事実上の国歌として広く知られている。

「新たな旅、新たな時代」が来たと習主席

習主席は天安門広場での演説で、「同志の皆さん、友人の皆さん」と語りかけ、「われわれは中国の勝利から80年を記念するために集まっている」と述べた。

そして、中国国民に対し歴史を記憶し、抗日戦争で戦った退役軍人を追悼するよう呼びかけた。また、抗日戦争に「重要な貢献をした」人々に対し、「心からの感謝」を表明した。

習氏は続けて、中国国民が人類文明を守るために払った「巨大な国家的犠牲」について言及した。

「歴史は、人類が共に興り、共に衰退することを警告している」

「中国国家は、いかなる脅しにも屈することなく、常に前進し続けてきた」

さらに、「新たな旅、新たな時代」が来たと演説を続け、「中国共産党のもとで、すべての民族の中国人民が団結すべきだ」と訴えた。

そして、「われわれは、中国の特色ある社会主義の道を堅持し、決意と活力をもって前進すべきだ」と語った。

新型の核弾頭搭載ミサイルやドローン技術を披露

ミサイルを載せたトラックが4列で移動している

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画像説明, 新型核弾頭搭載大陸間弾道ミサイルが初披露された

パレードで披露された各種軍事装備には、新型核弾頭搭載の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「東風(DF)-5C」が含まれている。

シンクタンク「太平洋フォーラム」の客員研究員で防衛アナリストのアレクサンダー・ニール氏によると、このICBMは射程が従来型よりも長く、最大で12個の弾頭を搭載可能とされている。

DF-5Cは液体燃料を使用する2段式の核ミサイルで、それぞれの段階に独立したエンジンが搭載されているため、連続的な推進が可能となっている。

また、地下に掘られた施設から発射されるサイロ型のため、戦略的抑止力として位置づけられているという。

また、注目されていた新型ミサイル「東風(DF)-61」も確認された。

このミサイルは、部分軌道に投入され、極超音速兵器を運搬するために設計されたプラットフォーム型兵器。ニール氏によれば、DF-61の特徴は機動性にあり、道路移動型である点が大きな利点だという。輸送・発射機(TEL)と組み合わせることで、容易に隠蔽(いんぺい)でき、迅速な燃料補給と展開が可能だという。

また、発射地点を柔軟に選べるため、敵にとっては位置の特定が困難となり、戦略的な優位性を持つとされている。

このほか、短・中距離ミサイル、多連装ロケットシステム、無人戦闘航空機(ステルスドローン)、極超音速滑空兵器、対艦巡航ミサイル「鹰擊(YJ)-21」、潜水艦発射弾道ミサイル「巨浪(JL)-3」高高度迎撃型地対空ミサイル「紅旗(HQ)-29」、水中車両などが確認された。

大型のステルスドローン機を載せた軍事車両が、カメラを構える報道陣の前を通過している。報道陣とパレードの間には、制服姿の兵士が等間隔に立っている

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白いミサイルを2基ずつ載せた軍事車両が4列で前進している。その横を3列に整列した兵士たちが伴走している

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空中編隊も登場し、中国人民解放軍の空中戦能力が披露された。

これらの機体は、沿岸部から内陸に向かって飛行しているように見えた。これは過去のパレードとは異なる展開だと、ニール氏は指摘。海上の空母から地上攻撃を行う能力を誇示しているものとみられるという。

また、ドローン技術も多数披露された。

戦車に搭載されたドローンプラットフォームのほか、対ドローン群制御システム、自動化ドローン、さらには「ロボット犬型」ドローンも確認された。

自動小銃を持った女性兵士たちが整列し、足並みをそろえて行進している。服装は迷彩服に茶色い軍靴、赤いネックチーフ、つばのある軍帽で、まとめ髪にしている

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シンクタンク「国際戦略研究所(IISS)」で中国プログラムの責任者を務めるメイア・ナウエンズ氏は、今回の軍事パレードが、将来的な台湾侵攻計画に関する手がかりを提供する可能性があると指摘している。

ナウエンズ氏が特に注目しているのは、展示された新技術の中に「台湾をめぐるシナリオに関連するもの」が含まれているかどうかだという。

一方で同氏は、「このパレードでは示されない、しかし同様に重要な要素も多く存在する」とも述べた。

「人民解放軍を実戦的な戦力にしている極めて重要な要素の多くは、パレードでは目に見えない。教義、戦略、そして何よりも各部隊間の接続性に関わる部分だ」と、同氏は説明。

そのうえで、「今回のパレードで、そうした点についてより深い洞察が得られるのだろうか」と問うた。

中ロと北朝鮮の3首脳が集結、トランプ氏も反応

赤いいじゅうたんの敷かれた会場でプーチン氏と金氏を歓迎する習氏。背後には他国の首脳や政府関係者が並んでいる

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画像説明, 中国の習主席(中央)はロシアのプーチン大統領(前左)と北朝鮮の金総書記(前右)を迎え入れた(3日)

今回の式典の主催者である習氏は先週末、天津で行われた上海協力機構(SCO)首脳会議に出席したプーチン大統領を迎え入れた。

一方、金総書記も中国を訪れた。訪中は2019年以来とみられている。

3者による首脳会談が行われるかどうかは依然として不明だ。これまでのところ、3者はそれぞれ2国間での会談しか行っておらず、仮に実現すれば前例のない出来事となる。

また、この日は金氏にとっても重要な節目となっている。金氏は国外訪問をほとんど行っておらず、多国間行事への出席も、2011年12月に父・金正日(キム・ジョンイル)氏の後継者となって以来、今回が初めてとなる。

式典の最中には、習氏と金氏が軍事パレードを観覧しながら言葉を交わす様子も確認された。

両首脳は並んで着席し、式典の進行を見守った。

また、式典が終わった後の午後には、プーチン氏と金氏による首脳会談が行われた。

こうしたなか、トランプ米大統領は、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に式典に関する投稿を行った。

「中国の習主席が、非常に友好的ではない外国の侵略者から自由を勝ち取るために、アメリカ合衆国が提供した膨大な支援と『血』について言及するかどうかが、大きな疑問だ」とトランプ氏は投稿した。

「中国の勝利と栄光のために、多くのアメリカ人が命を落とした。彼らの勇気と犠牲が正当にたたえられ、記憶されることを願っている!」

さらにトランプ氏は、プーチン大統領と金総書記を批判し、アメリカに対する共謀を非難した。

「ウラジーミル・プーチンと金正恩に、あなた方がアメリカ合衆国に対して共謀している最中であることを踏まえ、私の心からのあいさつを送ってほしい」と、トランプ氏は書き込んだ。

中国国務院は先に、戦勝記念日の式典に招待したとする26カ国の首脳の一覧を公表していた

式典では、スロヴァキアのロベルト・フィツォ首相やベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領の姿が確認された。両首脳がプーチン大統領と握手を交わす場面も見られた。

このほか、ヴェトナムのルオン・クオン国家主席、マレーシアのアンワル・イブラヒム首相、パキスタンのシャバズ・シャリフ首相、イランのマスード・ペゼシュキアン大統領、ジンバブエのエマーソン・ムナンガグワ大統領、セルビアのアレクサンダル・ヴチッチ大統領、キューバのミゲル・ディアス・カネル大統領、ミャンマーのミンアウンフライン代行大統領などが出席した。

式典に招待された各国首脳が出席した昼食会では、習氏が約5分間の演説を行った。

「80年前、中国人民は14年にわたる血のにじむ闘争の末、日本の軍国主義侵略者を完全に打ち破り、世界的な反ファシズム戦争の最終的な勝利を宣言した」と習氏は述べた。

続けて、「これは中国国家にとって歴史的な転換点だった。深刻な国家的危機の時代から、偉大な民族復興への転換を示すものだった。同時に、世界の発展においても重要な転換点だった」と、従来と同様の発言をした。

赤いパネルを背に、赤い花が飾られた演壇の前で、右手で赤ワインの入ったグラスを掲げて乾杯する習主席

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習氏はまた、中国が侵略に抵抗する過程で支援を提供した「外国政府および国際的な友人たちを決して忘れない」と述べた。アメリカを名指しすることはなかったが、トランプ大統領は、習主席がこの式典でアメリカの支援に言及することを期待していた。

ただし、世界で唯一、中国よりも経済規模が大きいアメリカに対し、習氏は含みのあるメッセージを送った。

「力は一時的には優位に立つかもしれないが、歴史の長い流れの中では理性が勝利する」と習氏は述べ、「正義、光、進歩は、常に悪、闇、反動に打ち勝つ」と語った。

「強者が弱者を食い物にするジャングルの法則に、世界は決して戻ってはならない」

習氏は特定の西側諸国を名指しはしなかったが、中国政府関係者はこれまで、世界各国に対する関税措置を理由に、アメリカを「いじめっこ」と非難してきた経緯がある。

習氏は最後に、「すべての国が歴史から教訓を得て、平和を重んじ、人類のより明るい未来を共に築くことを心から願っている」と語り、「人類全体の共通の繁栄」に乾杯した。

北京は厳戒態勢

天安門広場でパレードのために並ぶ迷彩服姿の中国兵たち。その手前に、スーツ姿の警備員が2人立っている。背後には式典の様子を映している巨大スクリーンがある

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北京の中心部には、中国の軍事力の誇示に向けた舞台が整えられた。

一方で、パレードの開催が迫るにつれて、北京市内は静けさを増した。これは、人口2100万人を超える首都において、共産党が都市全体を統制していることを示すものだ。

こうした慎重な準備の背景には、中国国内、特に若年層の間で不満が噴出することへの懸念があるとされている。

抗議活動を防ぐため、高架道路や橋の入口には24時間体制で警備員が配置されている。中には軍服を着用した警備員もいた。

式典会場の天安門広場では、各メディアのチームに指定の場所が割り当てられているが、それにも厳格な規則が伴っている。パレード開始の40分前からはその場を離れることが許されず、習主席が首脳らと並ぶ天安門の楼閣に向けてカメラを向けることも禁止されていた。