英政府、難民の家族再会申請の受け付けを一時停止

海岸の近くに、移民と思われるオレンジ色のライフジャケットを着た多数の人々を乗せた、過密状態の小型ゴムボートが浮かんでいる。また、数人が近くの海に入って泳いでいるか、ボートに向かって歩いている

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画像説明, 8月に英仏海峡を横断した小型ボートは55隻と、8月としては2019年以降で最低となった。

サム・フランシス政治記者

イギリス政府は1日、同国で難民資格を認められた人が家族を呼び寄せることを認める制度について、新規申請の受け付けを一時的に停止した。この措置は、小型ボートで到着した移民の宿泊先にホテルが使われていることへの批判がこの夏、イギリス各地で相次いだ後、議会が再開したこの日に発表された。

イヴェット・クーパー内相は下院で、イギリスで難民資格を認められた人が「無条件」で家族を呼び寄せることを可能にしている既存の制度について、新規申請の受理を一時的に停止すると発表した。

内相は、この規則は「戦争や紛争、迫害によって引き離された家族を支援するために何年も前に設計されたもの」と説明。しかし、現在ではイギリスの近隣諸国と釣り合いが取れておらず、制限が必要だと述べた。

内相は、今回の措置によって難民は、家族をイギリスに呼び寄せようとする他の移民と同じ制限を受けることになると述べた。

これは一般的には、申請者が少なくとも年収2万9000ポンド(約580万円)を得ており、適切な住居を提供できることを意味する。また呼び寄せる家族も場合によっては、基本的な英語力を証明する必要がある場合がある。

「ベル・ホテル」の閉鎖を求める抗議者たちが、エッピングの自治体事務所の前に集まった様子。大勢がイギリスやイングランドの国旗を掲げている

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画像説明, イギリスではこの夏、亡命希望者を収容するホテルに対する抗議が続いている。イングランドの旗には「子供たちを守れ」と書かれている(8月8日撮影)

内相によると、デンマークやスイスなどの欧州諸国では、難民が家族との再会を申請する前に2年間待機させ、その間に仕事や住居を見つけ、到着後に家族を支えられるようにしているという。

一方、イギリスでは「そうした申請は平均で約1カ月以内に行われる」ことが多く、難民が宿泊施設を出る前に申請する場合もあると内相は述べた。

その結果、多くの難民家族がホームレスになるのを防ぐために自治体に支援を求めており、一部の自治体ではホームレス事例の25%以上を占めていると、内相は指摘した。

家族をイギリスに呼び寄せるために申請する難民は今後、複数の制限を設けている通常の移民規則の対象となる。

政府は、家族再会の制度に関する追加の改革について、今年後半に概要を示し、来春までに変更を導入することを目指している。

イギリスではこの夏、小型ボートによる渡航や、難民申請者向けホテルをめぐる抗議に関する報道が続き、政府が圧力を受けてきた。

最大野党・保守党のクリス・フィルプ影の内相は政府の発表について、「家族再会の規則を微調整するだけ」では、イギリスの「国境安全保障の危機」の規模に対処するには不十分だと批判した。

フィルプ議員は、国境危機に対処できていない政府の「失敗」が、「全国各地での抗議」を引き起こしていると述べた。

また、「そうした抗議が平和的なら、私は支持する」、「この問題を本気で解決するつもりなら、政府は小手先の微調整では不十分だと分かっているはずだ」とも述べた。

フィルプ氏はまた、労働党政権が廃止を決定した、イギリスに不法に到着した一部の人々を東アフリカのルワンダに送る計画を復活させるよう政府に求めた。この計画は、英仏海峡での小型ボート渡航を抑止することを目的としていた。

動画説明, スターマー英政権、移民対策が急務 抗議続く難民申請者のホテル収容は廃止前倒しへ

政府は、亡命申請者をホテルに収容する措置を2029年までに終了させると約束している。

これについてキア・スターマー首相はBBCに対し、「それを前倒ししたい」と述べた。

スターマー首相は、BBCラジオ5ライブのマット・チョーリー司会者に対し、「地元の人々は概して、自分たちの町や地域にこうしたホテルを望んでいないし、私も同じだ」と話した。

ただし、ホテルを空にする唯一の方法は、亡命申請を「秩序立てて」できるだけ迅速に処理し、イギリスに滞在すべきでない人々を送還することだと述べた。

欧州人権条約をめぐる動きも

クーパー内相はまた、政府が、亡命申請を却下された人の強制送還を阻止しようとする弁護士たちが拠り所としてきた、欧州人権条約(ECHR)の「解釈」を変更する計画も進めていると明らかにした。

ここ数週間、右派だけでなく一部の労働党の閣僚経験者からも、同条約からの脱退や一部条項の国内履行停止を求める声が高まっている。

そのような対応はしないと政府は強調しているが、条約が定める家族として暮らす権利が移民案件にどのように適用されるかを見直しているという。

保守党は、移民問題に関してECHRを「適用除外」にすることを求めているほか、イギリスが条約を完全に離脱すべきかどうかを検討している。

野党リフォームUKは、条約からの離脱を支持している。

内相はまた、イギリスとフランスの間で結ばれた協定に基づく最初の移民送還が「今月後半」にも実施される見込みだと述べた。

今年に入ってから、2万8000人以上が小型ボートでイギリスに到着しており、2024年の同時期を上回っている。

8月には、55隻の小型ボートが英仏海峡を渡った。これは2019年以来、8月としては最も少ない数字だった。

しかし、密航組織は1隻あたりに乗せる人数を増やしているとみられ、先月は1隻あたり平均65人だった。