イスラエル、ガザ市を空爆 「進行中の飢饉」への対応をイギリスなど友好国が求めるなか

ガザ市ザイトゥン地区で、イスラエルの攻撃で複数の建物が破壊され、通りにはがれきが散乱している。がれきの上や、壁が落ちた建物の2階部分で、ガザ住民が被害状況を確認している。手前の赤いTシャツの男性は右手にスマートフォンを持ち、電話をかけている

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画像説明, イスラエルの攻撃を受けたガザ市ザイトゥン地区(8日)

パレスチナ・ガザ地区のイスラム組織ハマスが運営する民間防衛隊は12日、北部ガザ市がイスラエル軍の激しい空爆に見舞われていると発表した。イスラエル軍は、ガザ市占領に向けた作戦開始の準備を進めている。

民間防衛隊のマフムード・バサル広報担当によると、ガザ市の住宅地、ザイトゥン地区とサブラ地区が3日間にわたり爆撃やドローン攻撃を受け、「民間人の住宅に甚大な被害が出ている」という。住民たちは、死傷者を収容できない状況だという。

こうした中、イギリス、欧州連合(EU)、オーストラリア、カナダ、日本は共同声明を発表。飢饉(ききん)が目の前で進行しているとして、「飢餓を食い止める」ための行動を取るよう訴えた。

また、ガザへの援助物資の搬入を促進するための即時の、恒久的かつ具体的な措置を要求した。

イスラエルは、ガザでは飢餓は起きていないと主張。国連機関がガザ境界で援助物資を受け取らず、物資を届けていないと非難している。

共同声明はまた、物資の配給拠点やトラックの車列付近での致死的な武力行使の停止も求めている。国連によると、これらの場所ではこれまでに1300人以上のパレスチナ人が殺害されている。その大半はイスラエル軍によって殺害されたとしている。

これとは別に、世界保健機関(WHO)は12日、ガザ市を制圧する前に「壊滅的な」医療状況に対処するための医療物資の備蓄を許可するよう、イスラエルに要請した。

WHOのパレスチナ代表を務めるリック・ピーパーコーン氏は、「我々は皆、『より多くの人道物資の搬入が許可された』と聞いていたが、実際にはまだそうなっていない。あるいは、進行スピードがあまりにも遅すぎる」と述べた。

「迅速に、病院に物資を備蓄したい」とも、ピーパーコーン氏は述べた。「現状ではそれができていない。すべての不可欠な医薬品や医療品を搬入できるようにする必要がある」。

「ガザ市占領」計画

国連安全保障理事会は10日に緊急会合を開き、イスラエルの計画を非難した。イスラエル国防軍(IDF)は12日、IDFが「新たな戦闘状態の始まりにある」と発表した。

イスラエル政府は、IDF部隊がガザ市に入る時期について具体的な日程を示していない。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は10日、ガザ市と南部アルマワシ地区周辺に「残る、ハマスの二つの拠点」を解体するようIDFに指示したと述べた。

また、ガザへの援助を拡大するための3段階の計画を提示した。これには、援助物資を配給するための安全な回廊の指定や、IDFやパートナー国による物資の空中投下を増やすことなどが含まれる。

こうしたなか、ガザ市の住民は、上空から容赦ない攻撃を受けていると証言している。ザイトゥン地区の住民マジェド・アルホサリー氏はAFP通信に対し、「この2日間、とてつもなく激しい」攻撃が続いていると語った。

「攻撃のたびに地面が揺れる。がれきの下には殉教者がいるが、砲撃が止まらないので誰も近づけない」

アムル・サラフ氏(25)はロイター通信に対し、「戦争がまた始まったような音がした」と語った。「戦車が住宅を砲撃し、複数の家に直撃した。航空機は『火の輪』と呼ばれる攻撃を行い、複数のミサイルがガザ東部の複数の道路に着弾した」。

ハマスが運営するガザ保健省によると、過去24時間で100人の遺体がガザ各地の病院に運び込まれた。うち31人は、援助物資の配給拠点で殺害されたという。また、ほかに5人が栄養不良で死亡したという。

ハマスと1年10カ月にわたって戦争を続けているイスラエルに対しては、このところ国際的な批判が強まっている。国連が支援する専門家グループは、ガザで広範な飢饉が進行していると警告している。

12日には、各国の首脳経験者らからなる国際グループ「ザ・エルダーズ」が初めて、ガザでの戦争を「進行中のジェノサイド(集団虐殺)」と呼び、イスラエルがガザ住民の間で飢饉を引き起こしていると非難した。

ニュージーランドの元首相ヘレン・クラーク氏とアイルランドの元大統領メアリ・ロビンソン氏は、ガザ境界地域を訪問した後に共同声明を出し、「我々が見聞きしたことは、ガザで人為的に引き起こされた飢饉が進行しているだけでなく、ジェノサイドも進行しているという我々の個人的確信を裏付けるものだった」と述べた。

物資が投下されたガザ市西部にパレスチナ人が集まっている。周囲にはひどく損傷した建物や、倒壊した建物があり、散乱したがれきの上を人々が歩いている

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画像説明, ガザ市西部に物資が空中投下され、パレスチナの人々が集まった(7日)

この声明の内容は、イスラエルの人権団体「ベツェレム」などの主張と一致している。ベツェレムは、イスラエルが「ガザのパレスチナ社会を破壊」しようとしているという「疑う余地のない結論」に達したとしている。

イスラエルはこうした非難を強くはねつけている。同国は、標的は民間人ではなくテロリストだと説明している。また、ガザの苦しみの責任はハマスにあるとも主張している。

IDFは10日、ガザ市内に張られていた報道用テントを標的とした攻撃を実施し、カタールの衛星放送局アル・ジャジーラのジャーナリスト5人らを殺害し、国際的な非難を巻き起こした。イスラエルは、著名な記者アナス・アル・シャリフ氏が「ハマスのテロ小集団のリーダーを務めていた」として殺害したと発表した。ほかの犠牲者については言及しなかった。

報道の自由を擁護する複数の団体は、イスラエルは自国の主張を裏付ける証拠をほとんど提示していないと指摘している。アル・ジャジーラの編集長は、「イスラエルはガザ内部からの報道を封じ込めようとしている」と述べた。

イスラエルは、2023年10月7日にハマスがイスラエル南部を襲撃し、約1200人が殺害され、251人がガザに連れ去られたことへの報復として、ガザでの軍事作戦を開始した。

それ以降、イスラエル軍によって殺害されたパレスチナ人の数は少なくとも6万1599人に上ると、ハマスが運営するガザ保健省は発表している。

ガザ保健省の統計は、国連をはじめとする国際機関が信頼できる死傷者数の情報源だとしている。