英首相、ウクライナ大統領に支持を強調 来週の訪米でトランプ氏にも伝えると

在英ロシア大使館の前でウクライナとの連帯を表明する人たち(22日、ロンドン)

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イギリスのキア・スターマー首相は22日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と電話で協議し、来週予定しているドナルド・トランプ米大統領との英米首脳会談でウクライナの主権の重要性について話し合うつもりだと伝えた。

スターマー氏はゼレンスキー氏との電話協議で、ウクライナ政府に対するイギリスの「揺るがない支持」を繰り返し伝えた。

トランプ氏がロシアとの関係を再構築し、ウクライナでの戦争終結を目指す姿勢をみせる中、スターマー氏とゼレンスキー氏はこの4日間で2度目の電話協議を行った。

ロシアによるウクライナ侵攻は24日で満3年になる。イギリスのデイヴィッド・ラミー外相は、この節目の日にロシアに追加制裁を科すつもりだと述べた。

イギリスでは22日、2000人の抗議者がロンドン西部にあるロシア大使館へと行進し、ウクライナとの連帯を表明した。

英首相官邸の報道官によると、スターマー氏は電話協議で「この戦争を終わらせるためのあらゆる交渉で、ウクライナはその中心にいなくてはならない」とゼレンスキー氏に伝え、「ロシアの違法な戦争に終止符を打つための、公正かつ永続的な平和の確保を目指して、イギリスは積極的に取り組んでいく」と念押ししたという。

官邸報道官によると、スターマー氏とゼレンスキー氏は「ウクライナの将来と欧州全体の安全保障にとって今は重要な瞬間だと、互いに同意」したという。

スターマー氏は、「ウクライナの主権の保護は、ロシアによる将来的な侵略行為を抑止するために不可欠」だともゼレンスキー氏に伝えた。

そして、「来週の米ワシントン訪問で予定しているトランプ氏との会談を含め、今後数日間、数週間でこれらの重要な話し合いを進めるつもり」だとも首相は、ゼレンスキー氏に述べたという。

ゼレンスキー氏はソーシャルメディア「X」への投稿で、スターマー氏と「生産的な協議」をしたと書き、「軍事協力や共同の対応、そして今後数週間で非常に活発になるだろう取り組み」について調整したと明らかにした。

さらに大統領は、「イギリスとイギリス国民はウクライナの最大の支持者の一つだ。我々はこれに深く感謝している」とも書いた。

イギリスのスターマー首相とウクライナのゼレンスキー大統領

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「今こそ行動を起こす時」と英首相

スターマー氏は英紙「サン」への寄稿で、欧州諸国がそれぞれの国の安全保障により大きな責任を負い、防衛支出を増やすべきだとのトランプ氏の意見は正しいと述べた。

「私たちはこのことについて、もう十分長いこと話し合ってきた。今こそ行動を起こす時だ」

また、「進んで困難と闘い、交渉のテーブルに好ましい和平協定があるかどうか確かめようとするトランプ大統領は正しい」とした。

「私は(トランプ氏と)話をするたび、彼の和平への意気込みに感銘を受けている」とも首相は書いた。

その上でスターマー氏は、交渉においてウクライナは発言権を持つべきだし、安全確保について強力な保証が必要だとも述べた。そして、「その保証にはアメリカの参加が必要だと、私は考えている」と付け加えた。

英首相官邸によると、スターマー氏はこの日、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長とも電話協議し、欧州が「集団的な欧州の安全保障のために、さらに力を入れなければならない」ことで一致した。

ラミー英外相は、イギリスが計画している対ロシア追加制裁は、プーチン氏の「軍事機構」を弱体化させるだろうと述べた。

「この戦争の開戦当初以来、最大の対ロシア制裁パッケージを発表する予定だ」と、ラミー氏は24日の節目の日を前に述べた。

また、イギリスは「持続可能で公正な平和」の実現のために、アメリカと欧州諸国と連携し続けていくと付け加えた。

ロシアに歩み寄るトランプ政権

スターマー氏とトランプ氏は28日にワシントンで会談する。欧州の指導者たちはこの1週間、トランプ氏がロシアとの関係改善にいきなり動いたことへの対応を模索し、会合や電話協議を相次いで行ってきた。

来週相次ぎホワイトハウスを訪問するエマニュエル・マクロン仏大統領とスターマー英首相について、トランプ氏は21日、二人がウクライナでの戦争終結のために「何もしていない」と批判した

さらにトランプ氏は、ウクライナのゼレンスキー大統領については、和平交渉で使える「切り札を何も持っていない」とし、ゼレンスキー氏の「会議出席はとても重要とは思えない」と付け加えた。

しかし、ジョン・ヒーリー英国防相は英紙サンデー・タイムズへの寄稿で、「ウクライナに関するどのような交渉も、ウクライナ抜きで行うことはできない。我々は皆、この戦闘の終結を望んでいるが、不安定な平和は戦争がさらに続く危険をもたらす」と述べた。

そして、「ウクライナに対するイギリスのリーダーシップと、イギリスの団結を誇りに思う」と付け加えた。

トランプ氏は18日、記者団に対し、戦争が始まった責任がウクライナ側にあるかのような発言をした。

トランプ氏は、裏切られたと感じているかもしれないウクライナの人々へメッセージはあるかと、BBCの記者から尋ねられると、ウクライナは交渉の場に自分たちの席がないことに「気分を害している」ようだが、「この3年間、そしてそれよりもずっと前から席はあった。(戦争は)かなり簡単に解決できていたはずだ」と答えた。

さらに、「そもそも(戦争を)始めるべきではなかった。取引できたはずだ」と述べた。

トランプ氏は翌19日には、ゼレンスキー大統領を「独裁者」と呼んだ。これは、和平交渉の場から除外されたゼレンスキー氏が、トランプ氏はロシアが支配する「偽の情報空間」に生きていると発言したことを受けてのもの。

ロンドンで数千人行進、ウクライナめぐるアメリカの立場に抗議

英ロンドンにあるウクライナ大使館からロシア大使館へと行進する抗議者たち

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ロシアによるウクライナ侵攻から丸3年を迎えるのを前に抗議する人々

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「ウクライナ東部ドンバス地方では戦争が11年続いている、ロシアは殺人者だ」と書かれたプラカードを掲げる抗議者

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英ロンドンでは22日、ウクライナをめぐるアメリカの立場に抗議する人々が、ウクライナ大使館からロシア大使館へ行進した。

参加者のマーガレット・オーウェンさん(93)は、トランプ氏のロシアに対する「宥和(ゆうわ)姿勢」を非難。1938年に西側諸国が ナチス・ドイツの指導者アドルフ・ヒトラーと合意したミュンヘン協定を思い起こしていた。この協定はヒトラーの自信を強め、第2次世界大戦を招いたとされる。

「とんでもないことだ。手におえない2人が世界のすべてを取り仕切るなど、そんなことは許してはならない」と、オーウェンさんはトランプ氏とプーチン氏のことを指して述べた。

一方、行進に参加した英下院外交委員会のエミリー・ソーンベリー委員長は、対決的ではない対応を勧めた。「私たちは米大統領を動かしたいし、和平が必要だという点でも一致している。なので(トランプ氏を)怒鳴りつけても仕方がない」。

「トランプ氏を怒鳴りつければ、自分は一瞬だけすっきりするだろうが、彼に影響を与えて動かしたいのなら、そのために取り組むべきだ」とソーンベリー氏は言い、「ウクライナは交渉のテーブルにつかなくてはならない。ウクライナの未来をウクライナ抜きで決めることはできないし、プーチンにただ屈するわけにはいかない」、「(ウクライナは)アメリカとロシアから(和平交渉)プロセスに招かれるべきだ」と述べた。

キーウ出身でイギリスに留学中のウクライナ人、オレクサンドラ・ウドヴェンコさんは、「私は自国の利益、自国の独立、自国の選択、そしてこの世界のいかなる帝国からも独立して存在するという自国の権利を守るため、ここにいる」と述べた。