プーチン氏、ウクライナのエネルギー系攻撃停止に合意も全面停戦は拒否 トランプ氏と電話会談

トランプ大統領とプーチン大統領

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トム・ベイトマン、BBC米国務省担当特派員

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は18日、ドナルド・トランプ米大統領との電話会談後、ウクライナでの全面的な即時停戦を拒否し、エネルギー・インフラへの攻撃を停止することのみに同意した。

この電話会談に先立ちトランプ政権は、サウジアラビアでウクライナ代表団と協議し、30日間の包括的停戦案をまとめていたが、プーチン氏はこれに応じなかった。

プーチン氏は、諸外国がウクライナに提供している軍事援助と情報共有が終わらない限り、包括的な停戦には合意しないという姿勢を示した。ウクライナに協力する欧州諸国はこれまで、プーチン氏が示すこの条件を拒否してきた。

米ロの両大統領は、今後すぐにも中東で和平交渉を続けることで合意した。しかし、今回の電話会談によって、和平実現の可能性はトランプ政権が1週間前に主張していた位置から後退することになった。

トランプ政権の代表団は11日にサウジアラビア・ジッダでウクライナ側と会談し、陸、空、海での「即時」30日間停戦の提案に同意するよう促した。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ウクライナはエネルギー・インフラを対象にする停戦案に前向きだが、まずは詳細な情報が必要だと反応した。

ゼレンスキー氏は、「トランプ大統領と会談し、ロシアがアメリカに何を提案したのか、あるいはアメリカがロシアに何を提案したのか、詳細に知ることが正しいと思う」と述べた。

トランプ大統領はソーシャルメディアに、プーチン氏との今回の電話会談は「非常に良好で生産的だった」と投稿した。

「我々は、すべてのエネルギーとインフラの即時攻撃停止に合意した。これは、完全停戦を実現し、究極的には、ロシアとウクライナの間のこのとても恐ろしい戦争を終わらせるという理解の上でのことだ」とトランプ氏は書いた(編集注:太字は原文では大文字強調)。

トランプ氏はさらに、「平和のための契約について、たくさんの要素を話し合った。これには、何千人もの兵士が殺されている事実と、プーチン大統領もゼレンスキー大統領もこれが終わることを願っていることが含まれる」と書いた。

マルコ・ルビオ米国務長官は11日のジッダ会談後、ウクライナ側がワシントンの完全停戦案を受け入れたため、「ボール」はロシア側にあると述べていた

しかし、今回の米ロ首脳の電話会談後にホワイトハウスが出した声明は、ウクライナ政府との合意については言及がなかった。ホワイトハウスはその代わりに、米ロ首脳が「平和への動きはエネルギーとインフラへの攻撃停止から始まり」、その後に「黒海の海上停戦、完全停戦、恒久的な平和」について交渉することで合意したと発表した。

しかし、クレムリン(ロシア大統領府)側はこの電話会談について、ウクライナとの合意の確実な履行確保について、「さまざまな重大な問題」があると指摘。さらに、ウクライナへ外国からの支援と情報提供が停止されることが、ロシアにとって「重要な条件」だと述べた。

トランプ大統領とプーチン大統領は、長期的な合意に向けて直ちに実務者レベルの協議を行うことで合意した。クレムリンは、長期的な和平合意は「複雑で、安定的で、長期的なもの」でなくてはならないと主張している。

ただし、この実務者協議は、アメリカとロシアが交渉を続けるという意味なのか、それともロシアとウクライナの間の二国間協議を意味するのかは、はっきりしない。

注目された18日の米ロ首脳電話会談の結果について、ウクライナ政府はプーチン大統領による時間稼ぎと受け止めるものと思われる。プーチン氏が今後、ウクライナにとって大打撃となる内容を和平の条件にしてくることも、ウクライナ側は予想している様子だ。

トランプ氏にはウクライナへの支援をあっさり打ち切る用意があると、プーチン氏はすでに感じ取っている。プーチン氏は交渉のボールをウクライナに投げ返しながら、トランプ氏に再びウクライナ支援停止を働きかけたのだと言える。